表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/88

第6章 第18話 インターバル

〇主水




2019年 8月22日(木) 21:12




「カブトにクワガタハチトンボ~!」



 なんかリルが変な歌を歌っているが、気にせず夜の森を歩いていく。リルと約束した通り、虫を捕る罠を仕掛けるためだ。そしてもう一人。



「ねぇ、あ、あそこ、人の顔見えない……?」



 俺の服の袖を掴み、ビクビク震える芽依も共に来ていた。



「なんでわたしも誘ったの……?」

「いやリルが暴走したら一人ぼっちになるだろ……? 夜の森で一人とか耐えられない……死ぬ……」

「死ぬなら一人で死んでよぉ!」



 もちろん冗談だろうが、中々心にクる台詞だ。死にたくなってきた。



「ていうか虫! 光に集まってないっ!?」

「懐中電灯消すわけにもいかないだろうが!」

「主水さん見てくださいあれ! うおおおおおおおおっ!」

「待ってリルさん置いてかないでっ!」



 やばい。案の定テンションが上がったリルが一人突っ走っていった。



「主水ぉ……どうしよ……」

「とりあえずあれだ……真面目な話しようか……」

「絶対今じゃないぃ……」



 芽依が泣き言を言っているが、元々このために芽依を呼んだんだ。



 それに、こんな話をすることより怖いものなんてない。



「芽依……ごめん」

「ほんとだよぉ……早く帰ろうよぉ……」

「そうじゃなくて……1年前のことだ」



 芽依の震えが一瞬止まり。そしてさっきまでより遥かに速く、小刻みに震え出す。



「俺は芽依にひどいことを言った。芽依は優しいから許してくれたけど……俺はまだ、ちゃんと謝れてない」

「謝ってた……と、思うけどな」

「俺は。まだ謝れてない」



 今ここにいる俺は、まだ何も。だから、



「芽依、あの時はごめん。俺が間違っていた」

「そうだね。主水が悪い。でもいいよ、許す」



 しかしそう言ってもまだ。芽依の震えは止まらない。



「ただ……。これだけはまだ、返せない」



 俺の生徒手帳を持った芽依の手は、依然怯えたままだ。



「まだそれ持ってたのかよ……」

「わたしには、これくらいしかないからね」



 夜の森に、芽依の自嘲染みた笑いがこぼれる。



「あのオタサーの姫っぽい子に言われた、気がする」

「天平のことか?」

「そう。あんまりはっきりとは覚えてないけどさ、言われた気がするんだよね。わたしには、何もないって」



 その言葉が何を指しているのかはわからない。それでも、



「わたしには……これしかない」



 ぎゅっと握りしめられた生徒手帳を見て、たぶんその答えは俺にあるのだと思った。



「わたしは主水が好き。水菜ほど好きじゃないと思うけど、好き。碧ほど付き合いは長くないけど、好き。文ほど強くないけど、好き」



震えは止まらない。それでも止めることなく、芽依は続ける。



「主水は最近1年生とも仲いいよね。ほんと陰キャのくせに……どこまでも遠くに、行っちゃうから」



 一瞬言い澱み、それでも言う。



生徒手帳(これ)さえ持ってれば、戻ってきてくれるでしょ?」



 芽依は待つと言ってくれた。同時に、ずっとではないとも。



「……そうだな」



 俺もそろそろ答えを出さなければならない。



 芽依と水菜。2人に告白されている現状に、答えを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] どっちに行くんだ、、、?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ