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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

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第6章 第16話 一皮

〇神無




2019年 8月22日(木) 16:08




「カレー作りぃぃぃぃっ!」

『ぎゃっほぉぉぉぉぉっ!』



 生徒会長さんのタイトルコールのような掛け声の後、リア充共が猿のような鳴き声を上げる。林間学校は基本的に自由だが、一応学校への手前、一日一つイベントを用意してある。今日は野外でのカレー作り。誰もが一度はやったことがあるあれだ。



「ちゃちゃっと終わらせるよ!」



 かんなが属している班は1年生グループ。大矢卯月たち3人と、ハロウちゃんとリルさんを加えた計6人。つまりかんなとハロウちゃんがハブになってしまっている。



「じー……」



 それに加え、さっきからずっとリルさんがかんなを見張っている。そんな心配しなくてもみんなが見ている前では殺さないって。



「ハロウちゃん、薪割りとかしてきたら?」

「嫌ですわ汚い」



 そういうの素直に言えるのいいなー。かんながそんなこと言ったら顰蹙買っちゃうよ。



「リルちゃん、薪割り任せていい?」

「かしこまりましたっ! うぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」



 ハロウちゃんに引き換え、リルさんはずいぶん社交的だ。めちゃくちゃ楽しそうに薪割りやってる。



 さて、こういう時困る。今までは取り巻きの男どもがやってくれたけど、今回はそういうわけにはいかない。



「意外と難しいねー」

「ねー」



 しかもこういう時ハブって仕事割り振られないんだよね。だからって楽というわけではないのがしんどい。罪悪感がすごい。



「かんな、何すればいいかな……?」

「あ? あー大丈夫」



 大矢卯月……! こういう扱いされるのが一番心にクるのに……!



「おにいさーん。ピーラーないー?」



 何やろうかとキョロキョロしていると、野菜を切っていた大雪晦花がうろついていた大矢主水に声をかける。



「ごめん、数足りなくてさ……」

「なら仕方ないですね。私、包丁でできるので大丈夫ですよ」



 女子力を見せつけたいのだろう。黄冬瑠璃がにんじんを手に取り、包丁で皮むきを始めようとしたところ、



「ふぇっ!?」

「いやいいよ。俺がやっとく」



 大矢主水が優しく右手首を掴み、包丁を取り上げた。



「包丁で皮むきなんてできなくて当然だよ。むしろ危ないからできない方がいい」



 そう言いながらするすると慣れた手つきで皮をむいていく大矢主水。おそらく手つきだけで黄冬瑠璃が皮むきができないことに気づいたのだろう。



「あとこれ、じゃがいも切っといたからこれ使って」



 さらにボウルに入ったじゃがいもを差し出し、大矢主水はリルさんの方に歩いていった。



「ごめんね。兄貴うざかったでしょ。頼んでもないのにやんなっての」

「でも料理できる男の人ってかっこいいよねー」

「普通の人ならね。あいつができてもキモいだけだって」



 悪態をつきながらも満足げな大矢卯月と、素直に感心している大雪晦花の会話が聞こえる。そして当の黄冬瑠璃は、



「おにいさん……すてき……」



 ぽーっとした顔で、大矢主水の後ろ姿を眺めていた。



 3人ともわかっていない。陰キャの生態を。



「……あんなの話したくないからさっさと終わらせただけでしょ」



 本当なら皮むきを教えるところ、大矢主水は自分が代わり、しかも面倒なじゃがいもの皮むきを事前に終わらせていた。あんなの何もすごくない。ただの逃げだ。



「あんたにうちのおにぃを悪く言われる筋合いないんだけど。つか何様? なんもやんないくせに」



 かんなは何も間違ったことは言っていない。それなのになんで責められなきゃいけないんだ。こんなのおかしい。



「……ごめんなさい」



 それでもかんなは全てを呑み込み、謝らざるを得なかった。

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[一言] ちょっと可哀想w
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