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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第6章 高2夏・林間学校

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第6章 第12話 大人への変化

〇主水




2019年 8月21日(水) 12:49




 太陽の熱に、虫の声。草木が肌に当たり、視界は自然で満ち溢れる。



「到着した……」



 喧嘩と後悔、失敗を繰り返した、この山に。着いてしまった。帰りたい……。



「うわぁ~なつかし~」



 俺の隣で水菜が空気をめいっぱい吸い込む。こいつらにとっては約1年半ぶり。俺にとっては1ヶ月ぶりの再会だ。改修が行われたと聞いていたが、見た目にそこまでの変化はなく、新鮮味は薄い。



「荷物を拾ったらコテージに持ってってっ!」



 宍戸さんがそう指示を出しながら、運転手さんと一緒に荷物をバスから降ろしていく。このコテージは男子用、女子用、共用の三つに分かれており、各部屋への誘導は生徒会が行ってくれている。ならば俺たちイベント同好会の仕事は宍戸さんの補助。宍戸さんから荷物を受け取り、どんどん地面に置いていく。



「みんなおつかれ。この後1時30分から昼食よ。同好会は食堂準備。私は管理人さんへの挨拶に行くから水菜、指示お願いね」

「りょ~」



 汗を垂れ流しながら一仕事終えると、すぐに新しい仕事が振りかかってくる。暦祭や聖夜祭でこういうのは慣れたが、夏となるとまた話が変わってくる。めちゃくちゃしんどい。陰キャと夏は相性が悪いのだ。



「じゃあとりあえず荷物だけ部屋に置いてこよっか~」

「いや、それは天平だけで大丈夫だ」


「重いし一人だときついと思うけど~?」

「天平って意外とちからもちなんだよ。な?」

「……はぁ。まぁいいですけど……」



 こんな暑い中、天平の天使パワーを出し惜しみにする意味がない。効率最優先で天平に力仕事は任せ、俺と水菜は共用スペースにある食堂に向かう。



「この後のスケジュール覚えてる~?」

「山の散策だろ? 一応全部頭に入れてきた」



 陰キャの癖だが、イベントのスケジュールはだいたい把握している。頼る人がいないから一人で考え行動するしかないのだ。



 とは言ってもいつもより入念に覚えてきてはいる。イベント同好会として最低限の仕事は果たすつもりだ。



「はぁ……」



 少し、自己嫌悪。俺ってこんな人間だったか……?



 俺は俺が嫌いだ。理由はありすぎて語り切れない。まとめて言えば、駄目人間だから。



 でも率先して動き、効率を考えて指示を出し、予習を済ませてしまっては。まるで出来る側の人間みたいじゃないか。どうせ上手くはいかないとわかっていても、現状では。最善策を打てている自信がある。



「きもちわる……」



 結局のところ、俺は自分を好きになることはない。どれだけ出来ていても、それがハリボテだとわかっているし、なにイキってんだと思ってしまうから。



 それでも変わっていることは事実だし、それは客観的に見たら、いい変化なのだろう。



 周りに溶け込むことができるようになった。



 その誰もがいつかは辿り着く場所に立ち、なんだかとても嫌な気持ちになる。



 昔の俺も、今の俺もどちらも嫌いだ。だが昔の俺にはプライドがあった。陰キャを貫き通すプライドが。絶対に必要ないけれど、確かに俺にはあったのだ。



 それを失い、今の俺には何があるのだと。自己の喪失に気づかされた。

ちょっとポエミーですねきもちわる……。大矢主水は既に高校生活を終えていることを念頭に置いて読んでいただけると助かります。前話の神無も含め、複雑な青春事情です。

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