第6章 第7話 いざ! 林間学校! ~碧の場合~
水菜と瑠璃さんが言い争いを始めたのをいいことに、その場を脱出。リルと共に安全な場所に移動する。
「……あ、おはよう大矢くん」
「おはよう、十六夜」
陰キャが集まる場所はたいてい一つ。自然と一人でボーっとしていた十六夜に出くわした。
「十六夜も来たんだな」
「来たくなかった。でも文さんが来いって言うから……。本当に……帰りたい」
ああわかるよその気持ち。たぶん陽キャは良かれと思って誘ってくれてるんだけど、何で喜ぶかは正反対だからたいてい迷惑なんだよな。そして陰キャは断り切れないので詰む。よくあることだ。
「でもずいぶん気合い入ってるよな」
「文さんがジャージはだめだって言うから……」
十六夜の服装は、瑠璃さんと似ている山ガール的なもの。だが質は圧倒的に下で、見比べてみると圧倒的に安っぽいなと感じる。陰キャのおしゃれの限界という感じだ。
「大矢くんも気合い入ってる」
「リルと卯月がジャージはだめだって言うから……」
ちなみに俺もジャージで行こうと思ったが、リルと卯月に人間性を否定され、やむなく気温など一つも考慮されていない上着やスキニーを着ることになった。なんで暑いのにわざわざ上着着ないといけないの?
「ジャージを着ることで清潔感が増すと思いますか?」
「そうそう。ジャージなんて高校生が着るもんじゃないの」
ジャージのすばらしさを語り合おうと思っていると、リルと一緒に七海が一刀両断に否定してきた。
「かと言ってその服装もどうかと思うけどな」
「かわいいでしょ」
「まぁそうなんだけどさ……」
七海の服装は、オリエンテーションと似たノースリーブのシャツにミニスカート、厚底サンダルというもの。相変わらず山を舐めているとしか言いようがない。
「おはよう、主水」
「ねぇ宍戸さんおもくそジャージだけど」
「元が綺麗だと何着ても似合うのよね」
「私今ディスられた……?」
何の恥ずかしげもなく黒いジャージで登場した宍戸さん。そしてその後ろには、
「……よぉ、天平」
「……おはようございます、大矢せんぱい」
水菜と似た、オタサーの姫ファッションに身を包んだ天平が、とても嫌そうに微笑んでいた。
「突然お邪魔することになって申し訳ありません。一週間よろしくお願いします」
「こちらこそ突然誘って悪いわね。歓迎するわ」
さすがは人当たりのいいリル。きちんと挨拶をこなしてくれた。そして宍戸さんは彼女からしたら当たり前のことを訊ねる。
「ところでもう一人……。ハロウ・W・インデックスさんはどこ?」
リルは実体化してしまっている。それはつまり、俺とリルが常に一緒にいることはできないということ。当然防御はおろそかになる。
だから、だ。敵にも同じ目に遭ってもらうことにした。林間学校に来れなくなった人は二人。その穴埋めとして俺が申し出たのは、リルとそしてもう一人。
「ハロウ・W・インデックスですわ……」
ハロウを実体化させることに成功した。




