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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第5章 高2春・新入生歓迎会

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第5章 最終話 ニュースタート

「ご愁傷様です……」



 いつものリルの挨拶がどうにも暗い。まぁ人が死んだから普通は暗いんだけどさ……とにかくこれだよな。



「なんでまた自室に戻ってきたんだ?」



 元の歴史で死んだ場所が、ここ。俺の部屋だった。そして幾度もの失敗を乗り越え、一人きりの死から友だちと一緒に打ち上げに行くところまで辿り着いたはずだった。救命措置のやり方も教えたし、もう本当に。これで終わりのはずだったんだ。



 それなのに、どういうわけかまたこの部屋に戻ってきてしまった。まるで友だちを全て失ってしまったかのような感覚だ。



「私にもわかりませんが……今回のやり直しで、友だちを失うような選択をしてしまったと捉えるよりほかないでしょう」



 いかに天使と言えど、この世のことを全て知っているわけではない。だが人間の範疇を超えているリルでさえ確かではないとすると、かなり厄介だ。



「そんなことした覚えないんだけどな……」

「私もそう思います。一番可能性が高いのは、主水さんが気を失い、私が何もできなかった最後の四日間で何かがあったか、神無さんの行動が未来を変えてしまったか、でしょうか」



 未来を変えるのに、劇的な変化はいらない。ほんのわずかな綻びからでも亀裂は徐々に広がり、全てが変わっていく。しかし以前にリルが言っていたように、未来を変えるのは継続が必要だという側面もある。変わりやすく、変わりづらい。そんな不確かな可能性の連続が未来というものだ。



「まぁとにかく原因究明が必要だよな……」

「それ以前の問題ですよ、主水さん」



 どうしたものかと困る俺に、リルの強い瞳が突き刺さる。



「あなたは生き返るのを諦めてしまった。神無さんに生存権を譲ってしまった。……その意志はまだ変わっていませんか」



 俺より天平の方が生き返るべき。その意見はまだ変わっていない。俺が馬鹿だってことはわかっている。ただ意地を張っているだけだって……わかってはいるんだ。



 それでも染みついたこの劣等感がなくなることはない。どれだけ友だちができようが、この呪いが解かれることはない。でも。



「リルのためになら……生きようと思うよ」



 俺は自分のためにがんばれない。自分に価値がないことがわかっているから。



 それでも他人のためなら。リルのためなら、俺は動ける。情けないが、俺はそういう人間だ。



「殺すより死ぬ方が楽なんだけどな……」

「死んで尚そう思えることが美徳ですよ。ですがそう思うことができるのも残り半分。既に折り返しは終わってしまいました」



 安心した顔で死んでいる俺の死体からリルが卒業アルバムを拾い上げる。俺が生き返るチャンスは全10回。その内今回で5回を消化してしまった。もういい加減焦らないといけないのだが、確か次のイベントは……。



「高2夏・林間学校ですっ!」

「また俺が知らないイベントが来たな……」



 普通やり直しと言ったら強くてニューゲームという感じだが、さすがは陰キャと言うべきか。イベントにとことん縁がない。卒業アルバムに載っている写真も、学校に帰ってきた際の記念撮影に補習帰りの俺がたまたま映り込んでしまったという感じだ。



「覚えていますか? 新入生歓迎会は、新1年生のオリエンテーションで使っていた宿舎が突然の改修で利用できず、急遽決まったものだと。その宿舎が夏休みに完成し、お詫びという意味で安く使えたんですよ。そこで生徒会が主導し、有志を募って六泊七日の旅行に出かけたというわけです。やり直し期間で言えば、翌日から帰還の日までフルで使用するという感じですね」

「うへぁ……」



 なんだその遊び全開のイベントは。陰キャにはきつすぎるぞ。いやそれ以前に、



「俺そのイベントに参加するのか……?」



 陰キャがそんな楽しそうなイベントに参加するわけがない。もしこれで俺だけ行きませんとかだったらこの1週間を完全に棒に振ることになる。



「問題ありません。生徒会主導ということは、つまりイベント同好会協力ということなので」



 あぁそうだった……。生徒会長の宍戸さんは、イベント同好会部長でもある。イベントを楽しくするという使命があるイベント同好会に所属している以上参加しないという選択肢はないか。



「ですが一つ……言っておかなければならないことがあります」



 俺を元気づけるためか、死んでからずっと明るい様子を見せてきたリルがここに来て顔を曇らせる。



「シールソイルによる封印に加え、ハロウさんに身体を貫かれたことで私の身体はボロボロです。無理をすれば何とかなりますが……正直。ここまでデバフを食らってしまっては、天使の力を行使するのは厳しいです」

「つまり……ハロウに対抗できないってことか?」

「そうなります。……ごめんなさい」



 それは……きついな。リルがハロウ単体なら何とでもできるという前提があったから無茶できたが……それができないとなると、俺ががんばるしかなくなる。まぁでも、



「謝らなくていいよ。ていうかリルがそうなったのも元はと言えば俺のせいだからな」

「ほんとその通りですよ! いい加減にしてくださいね!」

「わかってるって」



 怒ったフリをするリルと笑い合い、新たな旅が始まる。



「天使見習い・リル。通ります」



 本当にその通りだ。俺が不甲斐ないばかりに、リルを傷つけてしまった。俺が天平を殺すのを躊躇ったばかりに、リルが死にかけた。



 もう迷わない。今度こそ俺は、天平を――。




2019年 8月20日(火) 17:12





「というわけで、我々イベント同好会4人の使命は、急遽来れなくなった2人の補充よ! 暦学園の生徒以外でもいいから、暇な人がいたら誘っておいて!」



 過去に飛んだ時の気持ち悪さに耐えていると、宍戸さんの声が頭に響いた。ここは……イベント同好会の部室か……。ん……? イベント同好会……4人……?



 水菜と……宍戸さんと……俺と……。……は?



「「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」



 思わず大声を上げたのは俺と。



「なんで、大矢主水が……!」



 イベント同好会の新たな部員となった、天平神無だった。

これにて第5章終了です! 暗かったですね! ジャンル恋愛だったはずなんですけどね!



さて、第6章は陰鬱としていた第5章とは打って変わり、ラブコメ編です!


ヒロインは芽依、水菜、十六夜、リル、神無ときて……まさかまさかの絶賛不人気キャラ、ハロウちゃんです!


そして大矢主水が恋をする……? お楽しみに!


ここまで読んでいただきありがとうございました。おもしろかったら評価、ブクマ、レビュー、感想等々していただけるとやる気が……出ます!



そろそろ現実と作中時間の季節がリンクし始めますね……。みなさん体調にはお気をつけてください!

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― 新着の感想 ―
[一言] ハロウちゃんヒロインなんだ、、、
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