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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第5章 高2春・新入生歓迎会

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第5章 第21話 ただの人間

〇神無




2019年 4月4日(木) 12:26




(くふふ……。作戦成功みたいだね)



 2年A組の教室の外から、教室の惨状を覗き見る。昨日あんなに勝ち誇っていた奴がなんて様だ。



(でも十六夜碧と七海文はちょっと失敗しちゃったみたい)



 十六夜碧には大矢主水を陰キャに引き戻すように、七海文にはグループから排除するように刷り込みをかけたが、実際に現れたのは、一緒に陽キャになろうとする十六夜碧と、普段通りに不機嫌な七海文。



 おそらく十六夜碧は、大矢主水と一緒にいたかったのだろう。そして変わりたかった。二人きりで底辺にいるより、他のみんなと一緒にいることを選んだんだ。



 そして七海文は、普通に大矢主水をリア充グループの一員として認めている。いや、ここまで刷り込みが効かなかったことを考えると、それ以上。カースト上位の中でも上の方だと思っていたんだと思う。



 正直いまだに納得できない。あの陰キャボッチがここまで周りを変えるなんて。奴が過去をやり直したのはたった4週間だけのはずなのに、ここまで変わるとは思っていなかった。



 でもそれはここまでの話だ。大矢主水に好意を持っている翡翠芽依と、月長水菜。その想いが強ければ強いほど、刷り込みが上手く効いている。



 暴力を振るい、相手の心を折ることで好意を得ようとする翡翠芽依。



 普段押せ押せなのに、途端に引くことによって好意を得ようとする月長水菜。



 どちらも想いはどうあれ、大矢主水を苦しめることには変わりない。そこをかんなが殺す。これでハロウちゃんも納得するだろうし、かんなも生き返ることができる。



「それにしても意外ですわね。ここまで効果があるなんて。元々一人なら、周りから嫌われても大丈夫だと思っていましたのに」



 地面の近くにいたくないハロウちゃんが、廊下を浮きながら見当違いな論を語る。



 ハロウちゃんはわかっていないんだ。人間の。陰キャの生態を。



(本当に。一生一人でいたい人なんていないと思うんだよ。一人身が楽だと思っていても、結局孤独は辛いし、自分が楽な程度に人が恋しくなるものなんだと思う)

「ずいぶん身勝手ですわね」

(欲望だもん。身勝手で当然だよ)



 大矢主水も同じだ。たぶん根本的には一人でいるのが楽なタイプだと思う。



 それでも友だちが離れていくのは耐えられない。大切だったから。大事だったから、手放したくない。



 簡単に言うなら、こうだ。



(大矢主水は友だちに依存している)



 樹来せんぱいや七海文のような周りが勝手についてくるタイプでも、月長水菜のような自由にしていても自然と人が集まるようなタイプでもない。



 今の環境を手にするのに相当な努力をしたのだろう。その結果がこの結末に辿り着いた。



「ずいぶんつまらない人間になっちゃったね」



 過去の大矢主水はボッチながらも一人で生きていける人間だった。



 それが今はなんだ。自分を抑え、必死に周りに合わせようとしている。



 そんな普通の、どこにでもいる人間に成り下がってしまったんだ。



 今の大矢主水は陽キャでも陰キャでもない。



 ハロウちゃんのような天使でも、かんなのような神でもない。



 ただの、人間だ。

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