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過去に戻って高校生活をやり直してたら、知らない美少女後輩が俺のことを殺しにきている件。  作者: 松竹梅竹松
第5章 高2春・新入生歓迎会

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第5章 第17話 脅迫~神無の場合~ 終編

「その反応的に、クラスメイトに無視されるのはまずいんだよな。たぶんだけど、お前が死ぬことになったのは卯月関係だろ。まぁ陰湿な俺とは違って卯月はいじめとかしないだろうから、準一級の奴らがお前を使って卯月をハメようとして、俺に接触。それが回り回って死に至るって感じか。ていうか俺が覚えてない以上これくらいしか理由が思いつかないんだよ。間違ってるか?」



 陰キャのくせに偉そうにペラペラと。ほんとむかつく。



 しかもほとんど当たっているのが、余計腹立たしい。



「……だったらなんですか? あなたの言う通り、かんなはこれで詰みです。あなたを物理的に殺したからといって、生き返れる保証がなくなった。それなのに文字通り死体撃ちのつもりですか?」

「まだ間に合うだろ」

「は?」



 煽るような視線を向けていた大矢主水の瞳が強く、鈍く輝いた。



「お前を卯月のグループに入れる。そうすればお前は無事陽キャの仲間入り。前よりずっと満足できる高校生活を過ごせるはずだ」



 なに……言ってんだこいつは……。まさかかんなを。殺そうとしてきた相手を助けようとでも言うのか。



「無理ですね。かんなと大矢卯月たちとじゃ人種が違う。仲良くなれるわけがない」

「俺と水菜たちが仲良くできてるんだ。俺と比べたらよっぽど陽キャのお前が無理なわけがない」


「はっ。自分ができたから他人もできるって? 陰キャのくせに傲慢とか始末に負えませんね」

「いいや。俺の作戦が上手くいくわけがないことくらい俺が一番わかってる。だから死んでやる」


「死んでやるって……なにが……」

「お前が死ぬ時が来るまで、俺も生き返らずに付き合う。高2でやり直せる時間は8月と10月と2月。だいたい3カ月に一度のペースで間を取り持てばなんとかなるだろ。1年も一緒のグループにいればそうそう切れないだろうしな」



 ……確かに。それならかんなが死ぬあの日まで、なんとかなる……。



「駄目に決まっているでしょう?」



 その時、天使が舞い降りた。



 地から遠く離れた天から、ずっとかんなを見下ろしていたハロウちゃんが。かんなと大矢主水以外からは見えない天使態で現れた。



「別に神無様が死のうが生き返ろうがどうだっていいんですのよ。わたくしの目的はリル様。あなたを破滅させることだけ。その方法だと全てがハッピーエンドで終わってしまうではありませんの。そんなの認めませんわ」



 出会った当初、かんなに言った非情な言葉を繰り返すハロウちゃん。わかってはいたが、改めて口に出されるとやはり、少し。気分が悪い。特に、



「観察対象がどんな選択をしようが、基本全て受け入れるのが天使見習いのはずです」



 ずっと大矢主水の隣で、地面に触れているリルさんを見てしまうと。どうしても悲しくなってしまう。



「そんなの律儀に守っているのなんてリル様くらいですわ。たいてい自分の結論に繋げやすいように人間をコントロールするものでしょう?」

「だからあなたはいつまで経っても私に勝てないんですよ。たまには正攻法で向かってきてはどうです?」


「はみ出し者が正攻法とは笑わせてくれますわね。人間に肩入れする天使失格のくせに」

「誰よりも優秀な私こそが正義になるべきだと思いませんか?」

「思いませんわ。なぜならあなたは主席の座から堕ちるのですから」



 「とにかく」と。ハロウちゃんはかんなの頭に手をかざして言う。



「神無様が失敗するのなら、わたくしは神無様を殺して別の観察対象を見つけてあなたを追い詰めるのみです。そんな提案をするくらい人を殺したくないのなら、おとなしく退きなさい」

「……わかったよ! 俺が身を引く。せいぜい幸せになってくれ!」



 ハロウちゃんに返事をするように、大声を上げて教室を出ていく大矢主水。こんなの思考を読むまでもない。クラスメイトたちは、大矢主水ではなく樹来せんぱいを本命に選んだと思っていることだろう。



 つまり、交渉決裂。かんなが生き返れる可能性はもうほとんどない。



「……天平。おにぃについてなんだけど」

「ねー。天平さんお兄さんとどこまで進んだのー?」



 陽キャに疎まれ、生き返れる可能性を失ったかんなは、ハロウちゃんにとってもう用済み。ここでかんなは再び死――



「まだですわ」



 ハロウちゃんの声と共に指を打ち鳴らす音が教室中に響き。



「……え?」



 クラスメイトの動きが、止まった。



 時間停止……ではない。時計の針は動いているし、虚ろな目をしている大矢卯月の開いた口からは涎が滴り落ちている。



 時間は動いているが、人は止まっている。いや……意識を失っていると言った方が近いのかもしれない。



「クラスメイトに嫌われる? なら好きになってもらえばいいだけですわ」



 ハロウちゃんのその言葉は決して励ましなんかではなく。



「洗脳すれば、それで済む話ですことよ」



 ただの、脅迫だった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ヒェッ、、洗脳とか怖いめぅ、、
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