絶望に染まる少女と少女の幸せを願う青年 11
本日も2話投稿いきます!
風使いアレックスと、爆炎の魔女オリヴィアの死闘が再び始まった。
俺はミリアとアルの2人を避難させ、戦闘を見る事にした。
「これでもくらえ!かまいたち!」
ビュン!ビュン!
アレックスが風の刃を放ってくる。
オリヴィアは避けようとせず、そのまま前進していった。
当たる!と俺が思った瞬間、
ボンッ!
オリヴィアの進路が急に変わり刃を避けた!
どういう事だ?と思ったが床から立ちのぼる煙を見て分かった。
オリヴィアは足元を爆発させ強制的に進路を変えていた。
「おらよ!」
オリヴィアが拳を突き出していく!
アレックスは風を巻き上げ、
「吹き飛ばしてやる!スピードアッ……。」
そう言い、風の速度を上げようとしたがその瞬間、
ボンッ!ドカッ!
「ぐわっ!」
オリヴィアの拳のスピードが急に上がり、アレックスはまともに顔面にもらった!
これも爆発の力か。
俺は感心して見ていると、
「ごちゃごちゃ技の名前とか叫んでるバカに負けるかよ!」
……ごもっともだよ。
戦闘中に技の名前を叫ぶなんて、攻撃してくださいって言ってるようなもんだもんな。
オリヴィアは追撃を仕掛け、アレックスを殴打していく!
アレックスは堪らず風を使い一度距離を取った。
「クソが!」
口から出る血を拭いながら、アレックスは怒りの表情でオリヴィアを見つめた。
オリヴィアはニヤニヤと笑い、軽快なステップをその場で刻む。
そして再び突撃していった。
アレックスは再び吹き飛ばそうと手をオリヴィアの方へ向けると、
ヒュン!
アレックスの視界からオリヴィアが急に消え見失った。
「こっちだよ。」
ボンッ!
背後に回っていたオリヴィアがアレックスの背中に蹴りを入れる。
アレックスは吹き飛び床を転がった。
すぐに立ち上がるが既にオリヴィアは目の前におり、
ドガガガガッ!
アレックスの腹に連打連打連打!
苦しそうなアレックスの頬に1発入れ倒れ込むと、
「異能もまともに使いこなせねえ奴が私に勝てるかぁ!」
そう言い拳を突き上げた。
勝ったと言わんばかりのガッツポーズをしているが、まだ勝負終わってないだろ?とツッコミを心の中で入れた。
「これで……終わりだ!」
フィニッシュを決める為、オリヴィアは接近していく!
アレックスは苦しそうにしながらも、
「近付くんじゃねえ!」
そう言い、風の刃をがむしゃらに放った。
狙いを定めず、めちゃくちゃに刃を放つ!
俺達の方にも飛んでき、うおっ!?と俺は飛び込んで避ける。
はっ!
俺はミリアの方を向くと、刃がミリアの方に向かっていた。
「ミリア危ない!」
そう叫ぶが、ミリアの暗い目は刃を見つめたままで動こうとしなかった。その時、
ドンッ!
意識が混濁している筈のアルがミリアを押し飛ばし、
ズバッ!
変わりにアルが刃に当たり、彼の右腕が吹き飛んだ!
その様子を見たミリアの目が光を取り戻し、
「あっあああぁぁぁぁぁ!!!」
発狂しその場に座り込んだ。
「ミ……リ……ア。」
アルが蹲りながらそう呟いた。
ミリアはアルの元へ走り、
「アル!アル!」
「くそっ!てめぇ!」
俺がアレックスに向かい叫ぶと、オリヴィアの表情が怒りに変わっていた。
「くだらない真似しやがって!クソ野郎が!」
「来るな来るな来るなぁー!」
オリヴィアが近付き拳が光り出した。
アレックスは吹き飛ばそうと下から風を巻き上げる!がその時、
ヒュッ!
と、オリヴィアは体勢を低くし、
「下から風が来るって分かってたよ。くらえ!」
下から拳を突き上げ、アレックスの顎を打ち抜いた!
ボカーン!!!
風の勢いを利用し、更には爆発のおまけ付きの拳だ。
アレックスは口から血を吐き出し倒れた。
「ふん!私に喧嘩売るなんて10年早い!」
オリヴィアはそう吐き捨て、こちらに向け歩いてきた。
純粋に強い!
接近戦の方が得意と言うだけあって、オリヴィアの強さはかなりのものだった。
アレックスとの戦闘は終わったが、アルの右肩から血が流れ続けている。
「これやると私も熱いから嫌なんだけどな……。」
そう呟きながらオリヴィアはアルの隣に腰を降ろすと、
ボンボンボンボン!
と、握り拳の中で爆発音が聞こえる。しばらくして手を開くとオリヴィアの手から煙が出てきた。そして、
ジュ〜〜!!!
「ロイド!こいつを抑えてろ!」
オリヴィアはアルの右肩にその手を当て焼き出した。
あまりもの激痛に流石のアルも目を見開き暴れようとする!
そして、応急処置?が済むとアルは気絶した。
「よし!終わったし行くぞ。」
そう言い出て行こうとすると、
「まっ待ち……やがれ。」
アレックスが呟きながら起き上がってきた。
「顎を割った感触があったのに、まだ起き上がれる元気があったのかよ。」
オリヴィアがアレックスの方へ向き、拳を構える。そこへ、
コツコツコツコツ……。
と、正面玄関の方から誰かが来る足音が聞こえた。
見ると、銀色の髪をした美女が現れた。
オリヴィアはその姿を確認し、驚きで目を開いた。
「フローリアの姐さん。」
……なん……だと!?
この人がこの街最高賞金額の女帝か!
フローリアは俺達の方へ歩いてき、
「もう終わっただろうと思い来てみたらお前達、何故まだ全滅させていない?」
「今からやるよ!姐さんはそこで見てろ!」
「もういい。お前達には失望した。それは外にいるヴェノムの奴もだ。この程度の組織を半日で片付けられないとは。ボス以外は片付けているからイエローカードは解除しといてやる。さっさと失せろ。」
フローリアの言い方にオリヴィアは怒りだした。
「舐めんじゃねえよ!この喧嘩は私の喧嘩だ!姐さんと言えど邪魔はさせねえ!」
「喧嘩と考えている時点でお前の負けだ。私は何と言った?粛清だ。ならば建物が壊れようとも、市民が巻き込まれようとも関係ない。壊滅させるのが最優先事項だ。お前達の依頼とやらはその後ゆっくりやればいい。」
この人……考え方が俺達とは全然違う!
俺がそう思うとオリヴィアはフローリアの方へ向き、
「どうしても邪魔するってんなら、あんたを吹き飛ばしてやる!」
「ヴェノムにも勝てず、私に2回も叩きのめされてよくそんな愚かな事が言えるな。それに雑魚とはいえ、そいつと戦った後に私を相手にする?オリヴィア、笑いのセンスは腕を上げたな。」
「うるせぇ!」
「オリヴィア!やめろ!」
静止したがオリヴィアは聞かず、フローリアに向かって突撃した。
ヒュン!ドカーン!!!
強烈な爆発が発生する!しかし、
「その程度で挑む事が愚かだと言うのだ。」
フローリアは片手でオリヴィアの拳を掴んでいた。
そのままオリヴィアを引き寄せ、
ドゴッ!
「うっ!」
オリヴィアの腹に膝蹴りをくらわせた。
フローリアは首を掴み、
「さっさと帰って寝てろ。」
手を離すとその場で回転し、オリヴィアを蹴り飛ばした!
オリヴィアはそのまま外まで飛んで行ってしまった。
俺は急いで駆け寄り、
「オリヴィア!おい!大丈夫か!」
ダメだ。完全に気絶している。
「くそ!どうする!?」
俺は必死に頭を回転させ、この状況を打破する事を考える。
その時、後ろからヴェノムがやってきた。
「おい。お前はこの寝てるバカを連れてさっさと行け。俺はあの女が暴れるのを見届けて行く。」
そう言ったヴェノムはフローリアと戦ったのか、スーツのあちこちが破れ傷だらけだった。
俺は少し考えた後、この状況じゃ逃げるしかできないと悟り、
「わかった。」
悔しいが、そう答えるしかなかった。




