絶望に染まる少女と少女の幸せを願う青年 7
ヴェノムが吸っていたタバコの火を消し、
「まっ。そう言うことだ。早く終わらせて欲しいのはうちも同じだから、手を貸してやる。」
そう言うと電話を鳴らし、
「もしもし。俺だ。今、手が空いてる奴いるか?ああそうだ。例の件で動きが出た。SGの奴等に力を貸してやるから誰か用意させろ。」
そう言い電話を切ると、
「今うちの奴等に連絡を入れた。幹部1人貸してやるよ。貸しひとつだから覚えとけ。」
「お前の手を借りなくても大丈夫だよ!」
「オリヴィア。今回は素直に借りておくぞ。ヴェノム。お前の持ってくる依頼ひとつタダで受けるでどうだ?」
「充分だ。お前等を1回タダで使えるのは強力なカードになる。」
ヴェノムは満足そうに頷き、席を立った。
「用事も済んだことだし、帰るか。あぁそうそう、SGは携帯を持っていないのか?」
「あれは金持ちが使う道具だからな。うちみたいな小さい商会が持てる訳ないだろ。」
「それじゃ不便だな。必要ならうちが用意してやるよ。金貨3枚でどうだ?」
「……そうだな。持っていて困る物でもないし、手に入るなら頼む。」
ゴードンはそう言い、金貨をヴェノムに手渡した。
「商談成立だ。明日敵アジトで合流する時に持っていく。」
「お前余ってるやつを私達に渡す訳じゃねえだろうな?」
フローリアとの電話から不機嫌になったオリヴィアが言う。
「お前は本当にバカだな。便利な物だから壊れてもいいように予備を持ってんだよ。じゃ俺は帰る。せいぜい頑張れや。」
そう言い残し、ヴェノムは去って行った。
「ちっ!あいつら好き放題言いやがって!」
「仕方ない。知らなかったとは言え今回は俺達に非がある。」
ゴードンはそう言い、オリヴィアを宥めた。
オリヴィアは固まった身体をほぐし、
「おいロイド。明日はヴェノムの奴等に負けないように気合い入れるぞ!」
「そうだな。手を借りないと解決できないとか言われるのは嫌だしな。」
「そう言うこった。だから私はもう帰って寝る。」
オリヴィアは気合い充分に寝ると言って帰っていった。
あれで寝れるのか?
寝るのに気合い入れたらダメだろう。
そんな事を思ったが、俺も明日に備えようと思い、
「ゴードン。俺も今日は帰って体調整えとくよ。」
「あぁ。そうしてくれ。明日はかなり忙しくなりそうだからな。」
席を立ち、帰ろうと扉の方へ向かうとゴードンが、
「明日来るヴェノムの所の奴は誰だか知らんが、一癖も二癖もある奴なのは間違いない。オリヴィアの手綱は頼むぞ。」
「そのお願いはここ最近で1番難しいお願いだな。」
俺は苦笑しそのままアジトを出た。
翌日……。
アジトに着いた俺はゴードンの部屋へ行き、
「おはよう。」
「ロイド遅い!もっと気合い入れろよ!」
珍しく早起きしたからって威張るなよ。
朝からテンションが仕上がっているオリヴィアを見て、早起きできるんなら普段からしろよと思った。
ゴードンは俺とオリヴィアの分のコーヒーを机に置き、
「2人共体調は万全のようだな。」
「当たり前だ!今日は暴れてやる!」
「頼むからあんまりやり過ぎないようにしてくれよ。」
俺はあんまり意味のない注意をオリヴィアにするが、全く聞いていない。
オリヴィアはコーヒーに砂糖をこれでもか!というくらい入れて一気に飲み干した。
入れすぎだし、混ぜてないから砂糖が溶けてないのでは?
意外と甘党だというオリヴィアの新しい姿を見た所で本人は立ち上がり、
「よし!行くぞロイド!」
オリヴィアが外に向かって歩き出す。
俺まだ一口も飲んでないんだけど……。
ゴードンは苦笑し、
「ロイド。頼むぞ。」
「はぁ。了解ボス。」
コーヒーは飲めなかったが気持ちを切り替えオリヴィアを追った。
俺達は商業街のアジト前に着き待機していると、遠くから歩いてくる2人の人物が見えた。
その姿を見たオリヴィアは、
「遅せぇ!早く来いよ!」
「うるせえなバカが。そんな大声出さなくても聞こえてる。」
「ぎゃはは!相変わらずうるせえなオリヴィアちゃんは。」
ヴェノムともう1人、オリヴィアに負けないくらいテンションが高い奴がいた。
オリヴィアはそいつの姿を見て、
「うるさいのはお前だろ!ブラン!」
「お前には負けるよ〜。」
「黙れ。お前等どっちもうるせえよ。」
ヴェノムは二人を睨みそう言った。
そして俺の方に来て、
「この中じゃお前が1番まともだな。ほら携帯だ。ゴードンに渡しておけ。」
「おぉ。わかった。」
携帯を渡した後、ヴェノムは全員を見渡し、
「人数も揃った事だしさっさと始めるか。」
「お前も参加すんのかよヴェノム!」
「する訳ないだろ。本当にお前は1回死ななきゃその頭は治らないらしいな。」
「それは私に喧嘩売ってるのか?そうだよな?」
「お前なんぞの相手しても時間の無駄だ。」
オリヴィアとヴェノムが睨み合いをしている。
おいおい。作戦開始前に暴れるなよ……。
オリヴィアを止めようとしたが、先にヴェノムが目線を外し、
「このバカはほっといて、今から作戦開始だ。」
そう言うとヴェノムが作戦内容を話し出した。




