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絶望に染まる少女と少女の幸せを願う青年 4




 アジトに戻ると、ゴードンが地図を見ながら考えている後ろ姿が見えた。

 ゴードンは俺達に気付き、


「帰ってきたか。いい情報は手に入ったか?」

「嫌な情報しか入ってこねえよ。札持ちが相手だ。」

「そうみたいだな。早く仕事終わらせて巻き込まれないようにするぞ。」

「ヴェノムのおっさんとフローリアの姉さんが絡んでるんだろ?巻き込まれたら命がいくつあっても足りねえ。」


 ゴードンとオリヴィアは話し合い素早く依頼を終わらせる事を確認した。

 俺はオリヴィアに、


「なあオリヴィア。ヴェノムって人とフローリアって人はどんな人なんだ?」

「上手く説明できねえな。簡単に言えば2人ともカーライルに負けないくらい頭がイカれてるよ。」


 その言葉だけで関わりたくないと心底思った。

 ゴードンの方を向き、


「アレックスファミリーのアジトはどこにあるかわかったのか?」

「人質の場所は断定出来ていないが、アレックスファミリーのアジト3つは突き止めた。恐らくそのどれかにいてる可能性が高い。」


 さすがはゴードンだ。仕事が早い。


「じゃあ片っ端から当たって行こうぜ。」


 オリヴィアがそう言い、俺の腕を掴んだ。

 ゴードンから地図を受け取り、俺達は商業街へ向け出発した。




 商業街に着くと俺は場所を確認する為、地図を見た。

 こうして見ると全てのアジトが近くにあるな。

 何か理由があるのか、それともボスのアレックスが面倒くさがりなのか。

 オリヴィアが横から地図を眺めると、


「まずはここから行こうぜ!1番近いし。」


 うちの面倒くさがり屋がそう言うので従うことにした。


「情報はこれだけだし、どこから行っても同じか。」


 なので、1番近くのアジトから行くことにした。




「当店は会員制のクラブになりますので、一見さんはお断りしています。」


 店の前に立っていた黒服の男にそう言われ、俺達は店に入る事が出来なかった。


 イラッ。

 あぁ。うちの先輩の機嫌がよろしくないぞ。


「オリヴィア。とりあえず次行こうか。ここは後回しにしよう。」

「ちっ!そうだな。」


 暴れ出さないかとヒヤヒヤしたが、何とか怒りを抑え次のアジトに向かう事にした。




「当店は会員制の遊技場になりますので、一見さんはお断りしています。」


 イライラッ。

 やばいぞ。うちの爆弾の導火線に火がついたかも……。


「オッオリヴィア!まだ次がある!だから怒るなよ!落ち着いたら酒買ってやるから!」

「……あぁ。」


 ヒィ〜!

 頼む!次こそは……。




「当店は会員制のオークション会場になりますので、一見さんはお断りしています。」


 イライライラッ!

 あっ。終わったかも……。

 オリヴィアは笑顔で黒服に近付き、


「なぁお兄さんや。どうしても無理なのかい?」

「ルールですので。またお越しください。」


 ……プチッ。

 …………なんか嫌な音が聞こえたような気が。

 オリヴィアは笑顔で俺の方を向き、


「ロイド。」

「なっなんだオリヴィア?酒が欲しいのか?買ってくるぞ?」

「今はいい。私がお願いしたい事わかるか?」

「それについては理解したくない……かな。」

「わからなかったら言ってやるよ。」

「頼む!それ以上言わないでくれ!」


 黒服の男が怪訝な顔をしてオリヴィアの事を見ている。

 オリヴィアが振り返り、


「後始末よろしく!ロイド。」


 ドッカーン!!!

 黒服が勢いよく店内に吹っ飛んで行く。

 あ〜あ。やっちゃった……。

 オリヴィアの顔が怒りに染まり、


「てめぇら調子に飲んなよ!何が会員制だ!私が来たんだから無条件で通しやがれ!」

「ぐふっ。お……お前ら〜。」


 黒服の男が起き上がり、


「おい!全員集まって来い!侵入者だ!」


 ダダダダダッ!

 武装した黒服達が集まってくる。

 オリヴィアがニヤリと笑い、


「ここまでイラつかせたんだ。手加減はしねえぞ!」

「撃て〜!!!」


 バンバンバンバンバン!

 パラララララッ!

 普通の銃どころか、こいつら機関銃まで持ってきやがった!

 昼間からする銃撃戦の規模じゃねえぞ!

 俺は急いで外に避難し、住民達を避難させた。


「きゃー!」

「アレックスファミリーの抗争だ!」

「あいつらまたか!誰か憲兵呼んでこい!」


 住民達が避難しながらそう言って去っていくのが聞こえた。

 くそっ!憲兵が来やがる!

 俺は中へ戻りオリヴィアの姿を確認した。すると、


 ドカン!ドカン!ドカーン!


「おらおらおら〜!!!」


 ドカン!ドカーン!!


「死にやがれクソガキ共ー!」


 ……そんなに歳は変わらんぞ?

 あまりもの惨劇に俺は変なツッコミを入れそうになった。

 オリヴィアは縦横無尽に駆け回り銃を乱射していた。

 その動きについてこれない黒服達は、爆風をくらい次から次へと倒れて行く。

 その時、幹部の男だろう。

 雰囲気のある男が登場し、ブンっと片手斧を投げてきた。


「あんまり調子に乗るんじゃねえぞお嬢ちゃん。」

「調子に乗ってんのはそっちだろうが!」


 オリヴィアは幹部の男に近付き、


 ドカン!ドカン!


 と、銃を連射した。

 しかし、煙が晴れた先にいた男は服が焼けただけで無傷で立っていた。

 ニヤリと笑い、


「そんな攻撃では俺には通用せん!」


 そう言い、オリヴィアに突っ込んだ!


「ははは!良いぞお前!少しは骨のある奴がきたな!」


 オリヴィアは突進を避けこめかみに銃口を当てる!

 そこで男は足を止めオリヴィアの方へ身体を回転させながらお腹に拳を放とうとする。


 ドカーン!

 ヒュン!ボコッ!


「ぐっ!?」


 銃を撃ったはずのオリヴィアがお腹を押さえ苦しんでいる。

 男はその場に立ち、オリヴィアの首を掴んだ。


「お嬢ちゃんは向こうで寝てな!」


 ブンッ!


 オリヴィアを投げ飛ばし壁にぶつける。


「かはっ!」


 身体の中の酸素が漏れ、苦しそうな声を出すオリヴィア。

 黒服の男が俺の方を向き、


「次は貴様だ坊主。」

「よくもオリヴィアを。許さねぇぞ!」


 俺はオリヴィアを投げ飛ばした男と対峙する。





本日もありがとうございました。


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