絶望に染まる少女と少女の幸せを願う青年 1
今日から第2話が始まります。
どうぞお楽しみくださいペコリ((・ω・)_ _))
本日は2話投稿します。
「どうも!SG商会です!こちらが依頼の品物です。」
「いつもありがとうね。貴方たちのおかげで助かってるわ。」
今日は、この街では手に入らない化粧品を納品する依頼だ。
依頼主の名前は言えないが、まあ貴族夫人様という事だな。
俺は今日も依頼を終え、アジトに戻っていく。
「ただいま〜。」
「戻ったかロイド。お疲れさん。」
「遅せぇよロイド〜。待ちくたびれたじゃねえか。早く飲みに行こうぜ。」
そう言葉をかけてきたのはSG商会のボス、ゴードンと先輩のオリヴィアだ。
「はいはい。じゃあ行こうぜ。」
「今日も飲むぞー!」
オリヴィアは酒場まで走っていき、俺とゴードンは取り残された。
「子供みたいだな。ゴードン行こうか。」
「ふぅ〜。あいつの面倒見るのはお互い大変だな。」
「ははっ!もう慣れたよ。」
ゴードンと話をしながらのんびり酒場へと向かった。
店に着くと、
「オヤジー!おかわりくれ!」
「オリヴィア!本当にゴードンとロイドは来るんだろうな!来なかったら支払いどうするんだ!」
「来るから心配しなさんな。だからおかわり!」
もう飲んでやがる。
店に入るとオリヴィアは既にグイグイと酒を飲み、頬がほんのり赤くなっていた。
テーブルの上には空のジョッキが何本も置かれている。
もうそんなに飲んだのかよ!早すぎる!
そう思っているとマスターが、
「やっと来たかお前ら!あのバカしか来なかったから内心ヒヤヒヤしてたんだ。」
「いつも迷惑かけるなマスター。」
俺とゴードンはカウンター席に座り、飲み始める事にした。
オリヴィアの座ってる席?あそこはあいつの独壇場だよ。
テーブルの上に置かれた大量のジョッキ。見るからに酔っている状態の本人。
絶対絡まれる!そんな席は嫌だ!
そう思い自然とカウンター席に座ったのだが、ゴードンも同じ気持ちだったそうだ。
「仕事にもだいぶ慣れてきたなロイド。見ていて安心感が増してきた。」
ウイスキーが入ったグラスを片手にゴードンがそう言う。
「まだまだだよ。最近は軽めの仕事が多いからそう思うだけだって。」
俺は照れながらそう答え、エールを飲んでいく。
こうやってゴードンとゆっくり飲む機会ってあんまりないよな。
その原因は後ろで飲み比べを始めたやつがいるからだけどな。
「まあそうそう大きな仕事は入ってこないからな。実入りの良い仕事が入ってきても、オリヴィアに合うか合わないかも検討しなければならんし。その分お前が入ってくれて助かっている。仕事の幅が広がったからな。」
そんな事を言われると嬉しいな。
自然と顔がニヤけてくる。
ゴクゴク……。今日も酒が美味いな。
気分良く飲んでいると、隣の席に人の気配がした。
「マスターさん。エールを1つください。」
お酒が置かれるとこちらを向き、
「乾杯。」
「えっ。か……乾杯。」
急に話を振られ、びっくりしながらも乾杯、と言い返した。
ふんわりとした雰囲気の美人さんがニコニコと笑いながら、
「また可愛らしい子が入ったのねゴードン。」
「あぁ。でも顔に似合わずいい仕事をするぞ。」
「へぇ〜。貴方がそこまで褒めるなんて珍しいわね。」
「ゴードン知り合いなのか?」
「まぁ、知り合いと言えば知り合いだな。久しぶりだなアリス。今日はどうした?仕事の依頼か?」
「話の早い男は好きよゴードン。」
「俺はそこまで好きではない。」
「ふふふっ。そんな冷たい事言わないで。」
隣で頬を膨らます美女の名前はアリスと言うのか。
仕事と言っていたが、一体どんな関係なんだろう。
「ゴードン。貴方たちじゃないと出来ない仕事があるの。」
「却下だ。」
「お願い〜。そんな事言わずにやってくれない?」
「内容も聞く前に却下するのかゴードン?」
俺がそう言うとアリスは俺の手を握り、
「なんて良い子なの!お姉さん好きになっちゃう。」
「おいアリス。うちの社員を誑かすな。オリヴィアが見たらぶっ飛ばされるぞ。」
「大丈夫よ。オリヴィアならあそこで寝てるし。」
振り向くと飲み比べをして満足したのか、オリヴィアが床で寝ている。
普通なら身ぐるみ剥がされる場面なのに、誰も近付かず空気の様になっている。
さすが四天王。ってそんな事思ってる場合じゃない!
そう思うとゴードンがグラスに残っているお酒を飲み干し、
「オリヴィアがあんな調子だし、今日は帰ることにしようロイド。アリス、詳しい話を聞くまでは返事はノーだ。また明日アジトに来てくれ。」
「わかったわ。私もお風呂に入りたいしそろそろ帰ろうかしら。」
アリスもお酒を飲み干し立ち上がると、
「じゃあまた明日ねゴードン。ロイドちゃんも明日会いましょ。」
チュッ。
!?!?!?
アリスは俺の頬にキスをして帰って行った。
ゴードンはため息をつき、
「気を付けろよロイド。あの女は男を誑かし、無茶な仕事をやらせる女狐だ。」
「そう……なのか。」
頬にキスされた俺はポーっと顔を赤くし、アリスが出て行った扉を見つめていた。
はぁ〜。と再びゴードンはため息をついた。




