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深き愛情故に罪人となった男 終

本日2話目になります。

どうぞお楽しみください。



 最近は日差しが強くなり、そろそろ半袖に衣替えかなぁと思いつつ俺は貧困街を歩いていた。

 オリヴィアの家はアジトを出て数分の近場にあるマンションだった。


「え〜っと、地図の通りのマンションだとここだな。」


 そこは、貧困街らしくガタがきているマンションだった。

 オリヴィアはそこの4階に住んでいるらしい。

 マンションの階段を登り、部屋の前に行きオリヴィアの部屋のドアをノックする。


 コンコンコン。

 シーン……。


 あれ?留守なのか?もう一度ノックをしてみる。


 コンコンコン。

 シーン……。


 もしかしたら寝てるな?

 そう思いドアノブを回してみると、


 ガチャリ。


 鍵をかけておらず、ドアが開いた。

 不用心だなぁ〜。


「オリヴィア〜。起きてるか?」


 一応女の子の部屋だけど……仕方ない!

 俺は部屋の中に入ってオリヴィアを探してみた。

 オリヴィアの部屋は思ったよりも綺麗にされていて、意外だった。

 机に銃が置いてあり、壁にはトレーニング機材がある。

 見た感じは女の子の部屋!って感じはしないけどオリヴィアらしいな。

 と、部屋の中を見ていると奥のベッドで寝ているオリヴィアを見つけた。

 ベッドの方へ向かうと……って、下着姿かよ!

 なんとオリヴィアは、下着姿で大の字になって寝ていた。

 なんか、悪い事してる気分だよ……。

 オリヴィアの格好は気にしないようにし、起こす為に声をかけ揺らしてみる。


「おいオリヴィア。起きろよ。」

「んぅ〜。もう朝か?」

「もう昼だよ。」

「そっか。」


 …………。


「ってなんでロイドが私の部屋にいるんだよ!」

「反応が遅せぇ!」

「いくら私が美人だからって夜這いの時間じゃないだろ?」

「するか!ゴードンから起こして来いって言われたんだよ!あと伝言だ。飲みに行くから早く来いってさ。」


 バッ!

 とても素早い動きでオリヴィアが起きた。


「それを早く言えよ!用意しなきゃ!」

「俺は外に出てるから早く着替えろよ。」

「ん?着替え?」

「お前、自分の格好わかってないのか?」


 オリヴィアが自分の姿を見ると顔を真っ赤にし、


「てってめぇ!やっぱり夜這いかけようと脱がしたな!」

「お前がその姿で寝てたんだよ!」

「うっさい!死ね!」


 ヒュン!

 オリヴィアの綺麗な足が俺の腹に当たり、


 ドカーン!


「ぶふぉ!!!」


 俺は吹っ飛び部屋のドアを破壊する。


「犯罪者め!私が成敗してやる!」

「いや、お前も……犯罪……者。」


 パタッ。


 油断していた所にオリヴィアの爆発をくらった為、見事に俺は気絶した。




 30分後……。


「いつまで寝てるんだ!早く起きろ!」


 ドカッ!


「うっ。」


 お腹に受けた衝撃で俺は目を覚ました。

 オリヴィアは既に支度が済んでおり、早く行くぞと急かしていた。

 アジトに向かって歩きながら、


「これに懲りたら私に夜這いするなんて無茶はしないようにな。」

「もう起こしに来ねえよ。」

「それはイヤだ。」

「俺にどうしろと!?」


 今日もオリヴィアの理不尽さは絶好調だ。

 アジトの前に来るとゴードンが立っていて、


「おはようオリヴィア。ロイドもご苦労だった。」

「おはようゴードン。ロイドが私の身体を舐めるように見てきたよ。」

「いやいや見てないし!」

「あぁ、大丈夫だ。なんとなく予想はできる。よし、じゃあ行くか。」


 俺の受けた仕打ちは一体なんなんだ?

 新手の新人いじめか?

 俺は頭を傾けたがわからず、2人の後に着いて行った。




 【酒場 バッカス】


「さあ着いたぞ。ここが俺達の行きつけの酒場だ。」

「よし飲むぞー!」


 オリヴィアのテンションは高く、誰から見てもお酒好きなのがわかる。

 早く飲みたいとばかりに、店内に向かって走って行った。

 やれやれと、俺とゴードンも着いていく。


「あのおっさん捕まったのか。」

「あぁ。渡した薬が見つかったらしいぜ。」

「あらら。残念だね。」


 オリヴィアにフェーン子爵の話をすると、気にする素振りもなく聞き流していた。

 予想していたとはいえ、サバサバしてるなぁ。

 そう思っているとオリヴィアがドンッとジョッキを置き、


「人の事心配してる場合じゃないだろ?私達だってギリギリだったんだ。そこで生き残った私達はラッキー。捕まったおっさんはアンラッキーだったんだよ。」

「それでいいのかな?」

「人生なんてそんなもんよ。」


 言いたい事を言うとオリヴィアがグビグビとエールを飲む。

 先輩として良い事言っているのだろうが、辺りに散乱しているジョッキの量を見ていると冗談っぽく聞こえてしまう。


 バァン!


 飲んでいると酒場の扉が勢いよく開き、誰か入ってきた。


「おうおう!ここの奴等はしけた面してやがる。おいオヤジ!エールくれ!」


 いきなり偉そうにして現れた男がそう言った。


「おい!店を潰そうとするな!」

「小さい事は気にするなよオヤジ。しけた面ばっかりで空気が汚ねえから換気してやったんだろうが。」


 暴言を吐きながら椅子に座る。

 周りにいる客も嫌そうな顔をしているが、それよりも気になったのはオリヴィアのニヤケ顔だ。


「おいおっさん!調子乗るのはいいけど私がいる時にするのは間違えてるぜ〜。」

「誰だお前?客引きかなんかか?後で相手してやるから隅にでもいとけ。」


 チャリンチャリーン。

 何枚かの銀貨を床に投げ捨てオリヴィアにそう言った。

 その様子を見てマスターは焦り、オリヴィアは笑った。


「おっおい!お前誰に喧嘩売ってる!死にたいのか!」

「ははは!いいぜおっさん!やっぱり外から来たやつは面白ぇ!私の顔を見ても何とも思っちゃいない。最高だ。私の身体で遊びたいだと?いいぜ。私と飲み比べして勝つか、あそこの男に腕相撲で勝てばいくらでも相手してやるよ。」


 そう言い俺の方を指差してきた。

 巻き込むなよ〜。

 俺は頭を抱えた。


「ガハハ!威勢の良い小娘だな!いいだろう。おいお前!腕相撲だ。」


 ガヤガヤガヤ……。

 辺りは騒がしくなり、男は腕を鳴らしている。

 あいつはトラブルがないと生きていけないのかよ本当に……。

 急遽勝負をする事になり、俺が男と腕相撲の構えをとると耳元にオリヴィアが来て、


「おいロイド。私の身体がかかってるんだ。負けたらわかってるよな?」


 ゾクゾク……。

 やべぇ。負けたら殺される!


「おい坊主!お前の女か?今日は一晩中ヒィヒィ言わせてやるよ。」

「お前これ以上あいつを刺激するな。黙ってろ。」


 オリヴィアが両者の拳を握り、


「レディー……ゴー!!!」

「おらぁぁぁ!!!」


 ボキッ!


「ぎゃあああ!!!」


 勝負が始まると同時に俺は身体強化を使い、男を腕を叩きつけた!

 骨が折れる音が聞こえたが、そんな事より俺の命の方が優先だ。


「ははは!ロイドやるじゃねえか!負けたおっさんは有り金置いてさっさと出ていきやがれ!」


 ドカーン!!!

 男はオリヴィアの蹴られ、店の外まで吹っ飛んでいった。店を壊して。


「あー!店がー!オリヴィア!店を壊すなと何度行ってる!」

「マスターごめんよ。簡単に吹っ飛ぶあのおっさんが悪いんだよ。」

「「「そうだそうだ!」」」

「修理するのは誰だと思ってるんだよ……。」

「マスター。いつも済まないな。」


 そう言い、ゴードンは金貨を何枚か置いた。


「よしオリヴィア、ロイド。今日は帰るぞ。」

「やっぱ酒場は楽しいなぁ!」


 2人はいつもの事のように何事もなく店を出た。

 これからもあの2人に振り回されるのか……。

 仕事やめようかな……。


 これからもゴードンの無茶ぶりや、オリヴィアに理不尽な要求を言われるのだろう。

 そう考えた俺は、はぁ〜とため息をつきつつニヤリと笑った。




ありがとうございました。


明日は番外編と1話人物紹介をさせて頂きます。

どうぞよろしくお願いします。


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上記の2つをして頂けると、嬉しさで執筆活動に更に力が入ります。

どうぞよろしくお願いします。

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