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PenGuin  作者: 万々時意
13/13

吼える鼠4



「はぁ!?本気で言ってんのか?」

キングは事情を聞き困惑する。

「それしか方法がないんだと。」イワトビはジェーンを見た。

「沖合いに停泊するタンカーに全てが有るんです。そこを狙わないと何の解決にもなりません。」

「だからって、襲撃かけるなんて狂気の沙汰としか思えない。」

「近く迄乗せてくれればいいさ。おやっさんは俺達を降ろしたら、とっとと逃げてくれて構わない。

キングはどうするべきか悩む「しかしだな......。」

「まっ、どうにかなるさ。」イワトビの余裕が余計怖かった。






真っ暗な海を進むとタンカーが見えてきた。

異様な雰囲気は直ぐに感じられ、寒気さえあった。


「今なら引き返せるぞ。」

「そうだな......ジェーン、どうする?」

「......行きます。」






「きゃ!!」

「うぉ!」

捕まったコガタとマカロニは暗い部屋に押し込まれた。


「すまない。守ると言いながらこれとは......。」

「う~ん。金塊恐るべしですね。」

コガタの金塊発言にマカロニは困った。

おそらく彼女は勘違いをして、その事で自分も勘違いし、巻き込む形になってしまったのだと......。

今さら言いづらく、どうしたものかと。


「......あのさ、イワトビの事を心配してくれてるのは分かるんだけど......なんでそんなに?」

「えっ?......同僚......先輩......?」

何故なのかコガタにもよく分からなかった。

「君がいい娘だってのは分かったよ。」

「......ありがとうございます。」


状況を確かめる様にマカロニは辺りを探る。

「あの、イワトビさんとはどういう関係なんですか?」

「前に話した通り軍の同期でね。空軍だよ。」

「空軍!って事は。」

「パイロットなんだ。」

イワトビの過去、訊いていいものかと思ったが好奇心が......。

「どんな人なんですか?イワトビさん。」

「......戦闘機に乗る為に産まれた様な奴だった。」

マカロニは懐かしそうに話す。

「トップクラスのパイロットで才能の塊だった。俺はそんなアイツに嫉妬して必死だったが、結局追い付けなかった。」

「......それで?」

「何年か経った頃、街で偶然会ったアイツは軍を辞めていたんだ。」

「何があったんですか?」

「詳しくは知らないんだが、訓練中の事故らしい。」


思わぬ過去、コガタはイワトビを知る。





「何をやっとるんだ!!!」

その怒声は、自らの失態と雇い主への畏怖で身を縮ませる。

「しかし、あの男を追えと言ったのはボスじゃないですか。」

「捕まえてこいとは言っとらん!しかも奴は警察なんだぞ!!」

迷彩の男が言う「バラせばいいだろ。」

「貴様も同じだ!女一人捕まえられんとは!!」

廊下を駆ける足音、男が部屋を開ける「侵入者です!!!」






「向こうだ!追え!!」

イワトビとジェーンは逃げる。

「静かにやるんじゃなかったんですか!?」

「甲板で見つかったのはアンタだろ!!」

忍び込むつもりがあっさりと見付かる2人。


狭い廊下を突き進むとジェーンが気付く「こっち!!」


逃げ込んだ場所でコンベヤーが薬を詰めて運ぶ。

「ここは......。」

「精製所のラインです。」

「心臓って事か。」イワトビはその量に驚く。


「こんなに作っていたなんて......。」

「罪を消したいなら、ケジメを付けなきゃな。」

研究者の欲、それが世界を苦しめても探求する。

「......欲の被害者だなんて、言えません。」

ジェーンは側のPCに座るとラインを止め、椅子を掴み叩き壊した。






部屋の外が騒がしい事にマカロニとコガタは気付く。

「何かあったんですかね?」

「分からないがチャンスかも......。」




「キャー!!」

男が1人部屋の中から聴こえた悲鳴に耳を傾ける。

「......どうした!?」部屋からの応答はない

不審に思い扉に手を掛ける。

ゆっくりと開く扉、暗い部屋に光が入ると中央に女が居た。

「ッ!!!」首もとの衝撃で男は倒れる。


「よし。」マカロニは男の懐を探り拳銃を奪う。

「上手くいきましたね!」

「離れない様に着いて来て。」

2人は部屋を出て行く。






いくつもの足音が船内に響く。

息を潜め、目的地を目指すイワトビとジェーン。


最後の扉。

「......ここに製造法と証拠があります。」

頷き手を掛ける。


例の2人組が銃を構え待ちぶせていた「動くな!!」

奥から厭らしい笑い声が聴こえた「クックッ......。」

「親玉の登場か。」イワトビは睨む。

「探す手間が省けたぞ、ジェーン。」

「アナタの為に戻ったわけじゃない!」

「黙れッ!!貴様は私の為に働けばいいのだ!ペットの様に懐けば今回の事は大目に見てやってもいいんだぞ。」

ギラギラとした目はジェーンの足を下がらせる。


イワトビは言う「気持ち悪ッ。」

「なんなんだ貴様!!」

「モテない男の(ひが)みにしか聴こえねーよ。」

「なんだと......!」


「女を口説くその1、まずは楽しませる事だ。」


「なら、俺を楽しませろ。」迷彩の男がイワトビの前に現れる。

「......男とボックス踏む趣味はないんだけど。」

「さっきの借りは返させてもらう。」

「......どっかで会った?」


「うらぁぁ!!」回し蹴りがイワトビを狙う。

それを容易にかわし後ろへ飛ぶ。


「ほぉ。改めて名乗ろう、戦場の電光石火リ......。」お返しとばかりにイワトビの回し蹴りが入る。

「あ、ごめん。まだ途中だった?」

迷彩の男は構える「もういい。貴様は一瞬で終わる!見せてやろう我が必殺の一撃!!音速ラッシュ!!!」

波打つ巨体がもの凄い速さで襲いかかる。


が、イワトビには一発も当たらない。

逆にカウンターをくらい、その巨体が下がって行く。

男の右ストレート、それに合わせたクロスカウンターが決まり呆気なく崩れ落ちた。


「なにが音速だ、パイロットなめるな!」


「なッ!う、撃て!!そいつを撃ち殺せ!!!」

2人組がイワトビを狙い撃つ。

物陰に逃げ込むが止まらない銃声に動けず「めんどくせ~。」


「キャー!」腕を捕まれるジェーンにボスは言う。

「逃がさんぞ!貴様は金のなる木なんだ!!」


弾切れを待つが止む事がなく考えるイワトビ。


「やーーッ!!」2人組を襲う影。

あっという間に倒すと、そのシルエットが現れる。

「......お前、コガタ?」

その正体にイワトビは拍子抜けした声をあげた......。


「押忍ッ!!」


「押忍じゃねー!何やってんだお前!!」

「助けに来ました!」

「は!?」

「ピンチでしたね。」

「ピンチじゃねー!今から倒すとこだったわ!!」


「黙れ!!貴様ら!!!」

ジェーンに向けられた銃、怯えた表情。

「好き勝手やりやがって!!」

「......ジェーン、罪の代償だな。」

「そうですね......。」

「何を言ってる!!!」

覚悟を決めたその顔は怯みなど微塵もない。

「撃つなら、撃ちなさい!私は逃げない!!」


引き金に手を掛ける。


一発の銃声が部屋をこだました。




ジェーンは自分が無事な事に気付く。

「......え?」

「ぐあああああ!!!」ボスは腕を押さえのた打ち回った。


「......間一髪だな。」撃ったのはマカロニだった。






警察の船がタンカーを囲み、慌しく動き回っていた。


「ありがとうございます。」

深々と頭を下げるジェーンにイワトビはそっけなくする。

「......どうするんだ、これから?」

「すべてを話します。」

「......そうか。」

「お礼は必ずしますので......。」

「ホットドッグ。アンタの奢りだ。」


ジェーンは警察と共にその場を去って行く、何度も頭を下げながら......。



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