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PenGuin  作者: 万々時意
12/13

吼える鼠3



路地裏、ゴミ箱を蹴飛ばして走る2人。

通りに出ると人の姿は(まば)らで建設途中の一画へと走る。


スラムと化したその場所は良い噂を聞く事はなく、不法滞在や浮浪移民などが多く住み着いていた。


走り続けたジェーンは足を止める「まっ!待って......。」

仕様がなく止まり、辺りを見回す。

「ここまで来れば大丈夫か。」

「す、すいません。」

頭を抱え苛立つイワトビは訊く「なんなんだアイツら?」

「私を捕まえるつもりなんです。」

「そんな奴らがブッぱなすか?ありゃ殺しに来てたぞ。」

「......アナタを狙った?とか。」

「昼間のアレでそんな恨み買ったか?」溜め息が出る。


ここまでやられて黙ってるのは(しゃく)に触ると詳しく訊く事にした。

「話しの続きだが、意図的ってどういう事なんだ?」

押し黙り決意して話す「......私なんです。」






マカロニはイワトビとの会話を思い出す。

「......ラット・マット製薬。」

デスクの上、PCを操作する。

「火星移住に対する身体のメカニズム......それに合わせ循環を促進させる薬『syt』人類の新しい門出に......怪しさ全開だな。」

あの落し物からコレに捲き込まれたとほぼ確信し、次に取るべき行動に移る「行ってみるか。」






広い室内、置かれた家具はどれもスタイリッシュで見ただけで値の張る物だと分かった。ベッドルームで眠るジェンツーは気持ち良さそうに寝息を発て夢の中にいた。

突然鳴り響く電話の音に無理やり起こされ、寝惚けながら出る。

「はい、もしもし。」

「ジェンツーさん!私です!コガタです!!」

息巻くコガタの声が苛立った。

「アンタ、何時だと思って......。」

「そんな事より大変なんですよ!イワトビさんが爆発して!!」

「は!?」

「じゃなかった。イワトビさんの家が爆発したんですよ!」

煙草に火を点ける「で、死んだのアイツ?」

「いや、どこ行ったのか......。」

「そりゃ残念。おやすみ。」

「あの金塊ですよ!アレが関わって......。」

「んな訳ないでしょ。アタシ明日早いから、じゃ。」

「ちょ!ジェンツーさん!!」電話は無情に切れた。






「私なんです。」

その言葉の意味をくみ取り落ち着かせる様に穏やかに訊く。

「作ったのはアンタって事か?」

「......はい。最初は偶然だったんです、効能や依存性なんて考えてもいなかった。けど、それが分かると会社側が黙る様に言ってきて。」

「発表した後だった。」

「そうです。火星移住へ向けての新薬。その利益が失われるのを恐れて、拘束され無理矢理作らされました。」

「アンタはそこから逃げ、奴らが追って来た。」

ジェーンは自らの愚かさを悔やむ様に俯いた。


「話しは分かった。」

そう言って差し伸べられた手は救いに見え、心を奮い立たせる様に握り返した。






ラットマット製薬

製薬会社としては新しく革新的なやり方で上場企業へと躍進その発端が学生による新薬の開発であった。

柔軟な物事の考え方を取り入れ、次々に発表される新薬はその効能も相まって高い評判を呼び今の地位へと至る。

だがその反面、キナ臭い噂が後を経たなかった。


地上12階、入り口にマカロニの姿があった。


「......さて。」

建物には明かりがあり、深夜を迎え作業をする人が疎らに見えた。

入り口は閉まっていたので通用口のインターホンを押す。

《本日の業務は終了しました。ご用件は何でしょう?》聴こえてきたのはAIによるガイダンス。

「警察だが、誰かいないか?」

《身分証の提示をお願いします。》

カメラに向けバッジを見せる《少々お待ち下さい。》


《ご用件は?》AIではなく低い男の声。

「捜査上のアドバイスを頂きたく伺ったのですが。」

《我々が協力出来る事はありません。お引き取りを。》

「『syt』に関わる案件なのですが......。」

《......令状はお持ちですか?》

「いや、何分急ぎなものだったので。」

《『syt』は当社の機密に関わる物ですので、令状を持ってお越しください。》

「そこをなんとか、お願いできませんかね?開発過程を見学させてもらうだけでも......。」


《......申し訳ございません。》

これ以上はムダだと判断する「分かりました。またいずれ。」

通用口を離れ、車へと向かう時監視の目がある事に気付く。

「......それでいい。」




マカロニはわざと遅い速度で車を走らせる。

追ってくる者がどう行動を起こすのかそれが知りたかった。


携帯の着信「もしもし。」

《あ、あの、先程はどうも。》電話の相手はコガタだった。

「あぁ、こんなに早く連絡が来るとは。何か?」

《イワトビさんの事で......お話しが......。》

歯切れの悪い物言いに関わっているのかと思う。

「分かった。1人は危ない、迎えに行くよ。」

《......はい。》






港で待つ2人。

ジェーンは沖合いに停泊するタンカーから脱出した事を告げ、イワトビは終わらせる事を提案した。

「本当に行くんですか?」

「......アンタ次第さ。行かなきゃ終わらないんだろ?」

「薬の製造を止めるのと、証拠はあそこにしか......。」

「決めるのはアンタだ。」


一隻の船が近付く、操舵を握るキングは困り顔だった。

「ったく、こんな時間に船を出せなんて、一体どういう了見だ?」

停泊するや否や、文句が先に出た。

「頼れるのはおやっさんだけなんだよ。」

「その娘は?」

大きな身体と厳つい顔に緊張する「ジェーンと言います!」

「また面倒事かよ。」

「そう言うなって、説明は中でする。」






「お待たせ。」

コガタは車に乗り込むと深呼吸して話す。

「実は......イワトビさん。」

「追っては?」

その問いに対する顔が理解してない事を物語っていた。

「製薬会社なんて名ばかりだよ。ヤツラ君や俺を狙っている。」

話しの流れが掴めず困惑する。

「まぁ、何があっても君は守るよ。」

「......製薬会社が金塊なんですか?」

聞きなれないワードにマカロニは聞き返す「金塊?」

「そうです!イワトビさんが盗んだ金塊です!!」

「え?」

「え?」


追っての車が距離を詰め体当たりすると、マカロニはハンドルを取られ車はガードレールに当たり止まった。

男達が取り囲み銃を向けた。

「......ごめん。」

状況が飲み込めずコガタは叫ぶ。

「なんなんですかーーッ!!!」






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