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36 見つからないから隠れ家と言う


「うーん……うっ、さむ」


 冬に入ったからか、朝は結構冷える。

 昨日は疲れと、温かいお風呂に入ったからぐっすり眠れるかと思ったら、中々寝付けなかった。

 いつもとベッドが違うっていうのもあるんだろうけど、やっぱり隣にルティがいないからかな……。たかだか一日でこれだから、飛行許可なくて徒歩で移動してたら、街に着く頃には参っちゃってたんじゃないだろうか。


「っんー! ふぅ、おはようございます」


「あおようございまふ」


 欠伸が……。ネラさんのほうはぐっすり眠れたみたい。伸びをしてすっきりした表情だ。

 まずいなぁ、今日は山間部に入るって言うのに、こんな調子で足引っ張ったりしないかな。


「ナツキさん大丈夫ですか? 大分眠そうですけど」


「疲れてた割には寝つきが悪くて……。ちょっと顔洗ってくるね」


 普段なら吐息や魔法で水を出して洗っちゃうけど、この時期の冷たい井戸水なら目も覚めるだろうと思い、もそもそ着替えて井戸まで向かうことにした。




 顔を洗って幾分か眠気がマシになり、軽い朝食を取って今日の打ち合わせ。


『目は覚めましたか? 今日は実際に調査に向かおうと思っていましたけど、日程は大幅に短縮できてますし、今日はお休みにしても大丈夫ですよ?』


『いや、大丈夫だよ。早く帰るってルティと約束したんだから、このくらいでめげていられないよ』


『まぁさっきも言った通り日程には余裕があります。無理だと判断したら街まで撤収しますから、その時には素直に従ってくださいね。


で、これからですが私が隠蔽の魔法を使いますのでその状態で目的地まで行きます。またナツキさんに抱えて飛んでもらうことになりますね。徒歩で二日計算ですが、来た時と同じように時間はかからないでしょう。

ざっと見回った後は、地上に降りて適当な場所で休憩した後、徒歩で調査です。

行動は全てツーマンセルで。ここまでで質問はありますか?』


『隠蔽の魔法って、僕達お互いは見えなくなったりとかしないの?』


『ええ、そこは大丈夫です。私の自慢の魔法の一つですからね』


 珍しい、相当自信があるのかネラさんがちょっと得意そうな顔してる。

 こういう魔法が使えて、経験も豊富だから今回選定されたんだね。


『あれ? そんな凄い魔法があるならルティが来ても大丈夫だったんじゃ?』


『……そうであればよかったんですが』


 ありゃ? ネラさんが見る見るうちに萎れていく。もしや?


『完全に隠蔽できるのは自分含めて二人まででして。それ以上になると増えれば増えるほど効果も時間も不安定になります。もう長い事訓練しているんですけどね……』


 あー、やっぱり欠点があったんだ。でも今完全隠蔽っていったよね。まったく感知されなくなるなら二人だけでも十分凄いことだと思う。




 気を取り直して、街を出発。ネラさんに隠蔽魔法をかけてもらってから飛び立つ。

 大して速度も出してないのに一時間ちょっとであっさり山間部に。昨日も思ったけど飛行移動はおかしいね。こんなんで賊に攻め込まれたならそりゃ禁止にして当たり前だし、問答無用で攻撃するのも当然だよ。


 候補になった場所を上空からざっくり確認していく。とは言っても案外木が多くていまいちよくわからない。


『予想より木が多くて見づらいですね。だからこそアジトも作れるんでしょうけど。

ナツキさん、もう降りて徒歩で確認しましょう』


『りょうかーい』


 一旦平原部まで戻って、予定通り小休止して再出発。

 ここからは徒歩、というか駆け足だ。なので準備運動ー、まずは全身をゆする運動から、おいっちにーさんしー。


『なんですか? その運動?』


『あ、僕の地元でやってた準備運動』


 この世界にも準備運動はあるけど、種類が違うから不思議がられた。


『へぇ、そう言えばナツキさんの故郷のお話は聞いたことないですね。どちらなんですか?』


『あーうん、ちょっと遠いとこで……。話すと長くなるし、また今度ね?』


 素直に話してもいいんだけど、信じてくれるかわからないからなぁ。ルティはあっさり信じてくれたけど、みんながそうとは限らないだろうし。



 準備運動も終えたので、上からよく見えなかった候補地を走り回り、丹念に調べていく。候補になるだけあって、どこも怪しい場所ばかり。でもどこにもアジトらしきものはなかった。


『おかしいですねぇ。被害の範囲から言ってもこの辺だと思うんですけど……』


『気は進まないけど、虱潰しに調べるしかないのかな?』


 正直、山間部はかなり広い。これを二人で虱潰しとなると何日かかるのかわかったもんじゃない。


『さすがに現実的ではないですね。仕方ありません、候補地周りをもう少し範囲を広げてもう一度調べましょう』


 うーん、虱潰しよりはマシかな。ネラさんと一緒に逆順で調べなおしていく。



 日が暮れるまで探したけれど、結局その日は見つけられず、街まで戻ることに。

 本当に山間部にアジトはあるんだろうか? でも実際被害は出てるわけだし、どこかにはあるはずなんだけど。


『これは長期戦になりそうですね。候補を絞りなおして調べましょう。……ナツキさん?』


「ふぁい、おきてまふ」


 翌朝の打ち合わせ中ちょっと意識が飛んだ。昨日もあんまり寝られなかったから眠くてしょうがない。



 ああ、早く帰ってルティに会いたいな……。



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