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31 福利厚生って大事だよね


 お客さん(ファン)は強敵でした……。みんな純粋に心配して聞いてくるもんだから無下にも出来ない。

 あ、でも掛け算について聞いてきた人には営業スマイルで返しておいた。それセクハラなんで。後でリーズナーさん(会長)に報告しておこう。


「というわけでその日は団長が来たせいで仕事にならなかったよ」


「あの馬鹿団長……」


 訓練後にネラさんからお昼に誘われたので、その時に団長の件を話した。

 それにしてもスープ料理が美味しい。ポトフっぽいけどなんだろう?

 騎士団や魔法士団、その他事務方の人達等々、城で働く人達用の食堂なんだけど割と味いいんだよね。しかもこれが無料。若い男の人なんか凄い大盛りにしてもらってるし、こういうのも含めて待遇いいってことなんだろうなぁ。


「団長が、誤解があるから話し合いたいなんて言ってたんですよね?その時は私も立ち会いますから安心してください」


 やった。これで万が一の時も安心。もうネラさん団長でいいと思います。


「団長の事もそうだけど、さっきの訓練のアレ大丈夫なの?」


 ルティが心配してくれる。というのも午前に魔力循環の訓練をやったんだけど、やっぱり我流で癖ついちゃってたんだよね。でもなんとか基本のやり方が出来るようになって嬉しくなって……はいすいません、調子乗って全力で魔力循環させました。

 そしたら腕とか脚に鱗が生えてきたんだよね。顔のとこにも額や頬骨のあたりにちょこっと出てたみたい。慌てて循環をやめたら元に戻ったんだけど、周りから見たらそりゃ心配にもなるよね。


「鱗人の私でもああはなりませんからね。竜人特有なのかもしれませんが……何分資料が少ないので正確にはわかりませんね」


「何か違和感あったりしたらすぐに言ってね? ここならお抱えのお医者さんもいるんだし」


 食堂と同じように、城勤めの人用にお医者さんが常勤している。こちらも基本無料。騎士団とかが訓練で怪我したりするのもあるからだろうけど、この辺も福利厚生の一環なんだろうね。


「大丈夫大丈夫。逆に体調いいくらいだから。心配してくれてありがとね」


 そう、逆に体調がいい。なんか体の澱んだ部分がなくなった感じ。例えるならマッサージで肩こりがなくなったような?


「ところでルティの方は体の調子どうなの?」


「う……私もよくはなってるわよ? でも私はナツキと違って他に変わったところないもの」


 確かに僕は見た目で変化があったけど、それがないだけでルティだって似たようなものだと思うけどなぁ。


「ナツキはちょっと楽観的なとこがあるから……はぁ、私が気を付けるようにするわ。様子がおかしかったらお医者さんとこ連れて行くからね?」


 むぅ、信用無いなぁ。でも僕が抜けてるのは事実だから素直に頼っちゃおうかな。




 午後からは魔力循環を使用した上での詠唱魔法訓練。講師は団長じゃなくて別の隊長クラスの人だった。安心は安心だけど、あれから姿を見てないから別の意味で不安にはなる。さすがに行方不明とかはやめて欲しいからね。


「ところで詠唱はどうする?」


 詠唱の語句は特に決まってないってこの間習った。自分のイメージを補強する為だから、連想する言葉を発して一種の自己暗示みたいにするみたい。

 でも僕の場合、黒歴史が頭をよぎって逆にイメージ崩れそうなんだよね……。いや、ほら、かっこいい呪文だとか考えた時期が誰にでもあると思うんだ。……あるよね?


「頭に浮かんだ言葉でやるしかないでしょ? えーと、例えば……《凍れ、凍れ、時よ凍れ、全てよ止まれ》」


 スッとルティの雰囲気が変わって、嫌な予感がした瞬間訓練場が凍った。詠唱句の通り、時が止まったかの様。僕は無意識に範囲外にしたのか大丈夫だけど、他の人達は凍ってる。まずいまずい死んじゃう!


「ルティやりすぎ! 《春風よ、全てを癒す春の息吹よ》」


 暖かで傷も癒えていくイメージを意識して語句を重ねる。黒歴史も邪魔をせずうまくイメージが固まったおかげか、出された吐息で辺りが溶けていく。魔力循環と詠唱はコントロールにも効果があるみたい。前だったら下手すると辺りが燃えてたかもしれない。


 あまりに一瞬だったので凍った人は気づいてないのが幸い。すぐに溶かしたから後遺症もなさそう……かな? 後で噂になったりしなければいいけど。


「ごめんなさい、軽くのつもりだったんだけど……。イメージが強くなり過ぎたみたい」


 午前の訓練で効率がよくなっているところに、詠唱の自己暗示が強くかかったから僕とは逆にコントロールがブレたらしい。

 しかし軽くのつもりでこれかぁ。前に僕が森でやらかした時より酷いんじゃないかな。きちんと基礎を修めるって色々と大切なんだね。

 あとこれがもし全力だったら……いや、これ以上考えるのはやめよう、恐ろしい。


「でも、ルティも失敗することあるんだね」


「んー、なまじ我流でやってた期間が長かったから、余計に勝手がわからなかったのもあるかしら。

ナツキは逆に、我流でもそこまで長期間じゃないから割とすんなり矯正できたんじゃない?」


 そう言えばルティは魔力循環のほうでも僕より苦労してたっけ。と言ってもちょっとだけだけど。元々センスいいんだろうなぁ。


 ともあれ、これで一応基礎は習って実践もできたから、後は反復練習するのみ。

 ルティはどこまでも伸ばせそうだけど、僕はどこまで伸ばせるかな?




お読み頂き有難うございます。



最近あんまりにも詰まるもんだから、小プロットを作って書いてみることにしました。


え、なにこれ快適……。

基本は大事ってはっきりわかんだね。


次回の更新は日曜の予定です。

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