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20 新作


 その日はベースにしていた場所で泊まって、次の日から帰還となった。

 想定では駆除に数日を見ていたそうだから、結構な時間短縮だ。

 ただ、地形がちょっぴり変わっちゃったので後日何か言われるかも、なんてカインに脅された。適当なんて言ったのは誰ですかねぇ……。


「参考人として、その時は適当発言したカインも一緒に、どうぞ」


「ひでぇ!お前結構根に持つな!?」


 カインにちょっとだけ意趣返しして、野営の準備。さすがに場所取りとかも手慣れてきた。ここ数日の流れで、フィルと一緒に夕飯の支度をする。


「全く、胸とか見られるしついてないなぁ」


「思いっきり耳引っ張っておいたから、カインについては許してあげて欲しいです」


 知り合いに見られるのは、知らない人に見られるのとはまた違った恥ずかしさがある。


「そう言ってるフィルが一番許さなそうな気がするけど?」


「……ノーコメントです」


 愛してるなぁ。ニマニマとフィルを見てしまう。

 ん、なんか最近すっかり恋愛脳になってる。楽しいからいいけど。


 ちなみにその日は、ルティに強制的にお話合いさせられた。

 どうやら僕がみんなに見られたので、独占欲が刺激されたっぽい。

 テントだからって宥めたら、テント周りに真空の壁を作って防音された。なんという技術の無駄遣い……。





 帰りも行きと同じく特にトラブルなく済んだ。報酬も、帰って騎士さんが報告した後、順次手渡されて解散だから本当に遠足みたいだった。


「んじゃ俺達はもう宿行くわ。また後で時間合えば一緒に飯でも食おうぜ」


 疲れているのかカイン達はそう言って宿に向かっていった。


「さて、依頼も終わったし、帰ってきたってリーズナーさんに連絡しにいこっか」


「そうね。……新しい制服はどんなのかしら」


 う……、そういえば交換条件出されてたんだった。際どいのじゃなきゃいいな。

 思わず繋いでる手に少し力が入る。

 ルティが気づいて、握り返して微笑んでくれた。うん、大丈夫大丈夫。



「「お疲れ様でーす」」


「お、二人ともおかえり。丁度良かった、これで手間が省けた」


「丁度良かった?」


「新しい子が入ったんだ。ちょっと呼んでくるから待っててくれ」


 誰だろう?ルティと顔を見合わせてしまう。というか募集してたんだ。まぁ確かに満席になるとこの人数はきついからなぁ。


「初めましてぇ、チルセットと言いますぅ。よろしくお願いしますぅ。チルって呼んでくださいねぇ」


 奥からやってきた子が自己紹介をしてくれた。僕達も慌てて自己紹介をする。


「僕はナツキ。よろしくね、チル」


「私はルティモ。よろしく。ルティって呼んで頂戴」


 チルセットと名乗った子は、なんというかふわふわだった。

 軽くウェーブのかかったふわふわの金髪。ゴールデンレトリバーのように垂れた耳がついている。尻尾もふさふさだ。喋り方もふわふわしてるし、何より服装がブラウンの甘ロリ。


 うーん、可愛い。まぁ可愛いって言っても、なんていうか感覚としては子供を愛でるような感じ。

 なんてちょっと口元を緩ませていたら、腕を抓られた。


「いててて!?」


 丈夫といっても痛いものは痛い。ルティを見やると目を逸らして拗ねている。

 これは勘違いされてるなぁ。


「子供を可愛いと感じるのと同じだから安心して」


 耳元で囁く。納得したのか表情を和らげ、視線を合わせてくれる。

 勘違いばっかりするルティにはお仕置きしちゃうよ、と悪戯っぽく言うとちょっと目が輝いた。駄目だ、これは開けちゃいけない扉だった。


「今チルちゃんに着てもらってるのが新しい制服だよ。ナツキちゃんもルティちゃんも、それぞれ色は違うけどデザインは同じ物だからね」


 お、新しい制服は色違いで露出過剰じゃないらしい。凄い甘々だけど、かわいいデザインだし、これなら安心かな。心配して損したよ。


「いやぁ、最初は新しい制服こっちにしようと思ってたんだけど、チルちゃんを見てピン!ときてそれにしたんだよね。直感を信じてよかったよ」


 言いながら手に持っている服は、谷間を強調するような作りのベアトップのトップスに、際どいスカート。そして、ただでさえ際どいのにパニエもセット。あっぶなぁぁぁ!?


「あれはさすがにアウトだわ……」


 僕もルティの呟きに同意だ。あれを着たら絶対、別の職種になる。

 それにルティが着たら事故でポロリする可能性がありそう。それだけは頂けない。

 というかさぁ、そんなチョイスばっかりしてるから、みんな辞めてっちゃうんじゃない?


「チルがいなかったらどうなってたかな……」


「あれを着て…事故が起きて……ここが更地になってたかもしれないわね」


 否定できないのがなんとも。さて、着なくてよくなった服は置いといて、どうせだから新しい制服に袖を通しておこうかな。

 リーズナーさんに伝えて僕達の分も出してもらう。


「白がルティちゃんで、黒がナツキちゃんね」


 白ロリと黒ロリ。徹底してるなぁ。あと僕達に角があるからかヘッドドレスのかわりにリボンを用意したっぽい。

 というか、サイズぴったりなのはなぜですかね。前のやつもそうだったけど……。


 リーズナーさんをチラッと見るけど相変わらずニコニコしてるだけだ。こういう時の笑顔って変に怖いよね。




お読みいただきありがとうございます。

宜しければ評価ブクマ等お願い致します_(:3」∠)_

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