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19 溶解


 準備時間にルティに髪を編み込んでもらう。結構本気でやるつもりなので邪魔にならないようにね。


「ルティも髪伸ばそうよ。一緒に編み込みにしたいし」


「一人で編み込むのは大変だったし、邪魔になるからって切ってたけど、これからはそれもいいかもしれないわね」


 確か一月で一センチくらい伸びるはずだから、満足に編み込めるのは一年後くらいかな。むぅ、結構先は長い。




 準備も終わり、いざ!…という時に思い当たった。

 連携とかどうすんのこれ?


「ところでさ、カイン」


「ん?どうした?」


「みんな顔合わせしたわけでもなく作戦もなく、どう立ち回るの?」


「何言ってんだ適当に決まってんだろ」


 えー……。いや、全然知らない人と連携取れって言われても無理なんだけど、適当って言われても…その、困る。


「じゃあサボってもわかんなくない?」


「それは騎士達が見張ってるから無理だな。駆除確認だけじゃなくて、そういう意味でもついてきてるのさ」


 うわー、過去になんかあったんだろうねこの対応は。組合って信用されてるのか不安になるね。あれ?組合って各国が運営してるんじゃ……。うん、これ以上考えるのはよそう。


 とりあえず策も何もないし、真っ先に突っ込んで全力全壊すればいいかな。


「じゃあルティ突っ込もうか」


「いいわよ。私もちょっと本気出してみようかしら」


「じゃあいっくよー!」


 翼を大きく広げ全力で飛ぶ。先行していた人達をあっという間に追い抜き、山肌に近づく。

 うわ、山肌がスライムで埋まって文字通りスライムの山になってる。これ百人くらいじゃ駆除に相当時間かかりそう。


 ということでレーザーブレス解禁っ!


「いっけぇぇぇぇ!!」


 ズバッ!と麓から山頂まで切れ目が入り爆散。うん、地図の書き換えが必要じゃないからセーフ。セーフだよ?


「やるわねナツキ!負けないわよ!」


 そう言ってルティの方は二メートルくらいの火球をチェーンガンの如く撃ち込んでいく。

 ゴッ!ゴッ!ゴッ!とクレーターが次々と出来上がる。こちらも問題はない、いいね?


 というかレーザーブレスは面制圧に向いてないなぁ。ということで僕も火球にチェンジ。ルティみたいに連打はできないので特大のを一つ。


「もういっちょー!」


 たーまやー!とばかりに特大クレーターを作る。うーん爽快。


「やっぱり単純な威力じゃナツキには勝てないわねぇ。でもそれなら技で勝負よ!」


 力のナツキに、技のルティ。ん?なんか聞いたことがあるような…。そもそもいつから勝負になった?

 そんなことを思っていると、いつぞやの御柱(おんばしら)より大きい氷柱が現れ、次の瞬間ドンッ!と爆散。大量の氷片が凄い勢いで降り注いでいく。

 氷柱の中に、火と風の魔法で指向性の爆轟を発生させたっぽい。器用だなぁ。


「おい!二人ともやりすぎだ!てか俺達突っ込めないだろこれじゃ!」


 あ、カインが追い付いてきた。よく見ると、他の人は僕達の後ろで足踏みしてる。


「えー、だって適当って言うしさぁ」


「悪かった!適当って言って悪かったから、普通にやってくれ!」


 ここで、これが普通です、とか冗談でも言ったら怒られるんだろうなぁ。言わないけど。

 まぁ三分の二くらい片付いたし、後は爪でいっか。


「しょうがないなぁ。それじゃ接近戦に切り替えるよ」


「私あんまり変わらないんだけど…。しかたないわね」


 ルティがちょっと不満そう。僕と違って、接近戦でも魔法で立ち回るから、わざわざ近づくより今のほうが楽なんだろう。


「じゃあルティお先っ!」


「あ、待ちなさいよ!」






 みんなでぷちぷちスライムを潰し始めて大分経った。後少し経てば夕日が見られるだろう時間。


「そろそろ終わりかな?」


「見渡す限りでは、ほとんど残ってないわね」


 周りでは何人かがスライムを潰しているくらいで、大体の人はスライムを探しているだけの状態だ。


「うーん、楽しかったけど、やっぱりスライムはスライムだったなぁ」


「この数でトロールやオーガだったら、もっと楽しかったわね」


「お前達……いや、もういいや」


 ついにカインに匙を投げられた。


「ちょっと酷くない?」


「突っ込んだら負けかなと思い始めたんだよ」


 言い方も扱いも酷い。改善を要求する!なんて、ぶーぶー文句を言っていた時だった。


「おい!後ろ!」


「!ナツキ避けて!」


 え?と思っている間に視界が濁る。なんかぬるぬるした感触が……あ、僕スライムに飲まれてる。

 ちょぉぉぉお!?


「がぼぼ!?」


 どこから出てきたこの巨大スライム!?それより早くしないと溶かされる。


 そう言えば、こういう場合って柔らかい眼とかから溶けるのかなぁ。あ、ジリジリ焼けるように痛いから眼からだ。

 いやいや、冷静にレポートしてる場合じゃない。食べるのはともかく、食べられるのは御免だ。でも体が浮いていてうまく力が入れられない。


「…ツキ……とだ……慢…てね!!」


 じたばたしてるとルティが何やら言いながら火球を撃ち込んできた。

 これは救助(物理)ですね、わかります。わかりたくないけど!


 目をギュッと閉じ衝撃に備える。でも予想した衝撃は来なかった。代わりに一瞬落下する感覚とお尻を打った痛みが来る。

 お尻を打った勢いで目を開けてみると、綺麗にスライムだけ吹き飛ばされている。コントロールうますぎぃ……。技のルティは伊達ではなかった。


「大丈夫!?水出すから念のためよく洗って」


 若干咳き込みながら、出してもらった水で露出した(・・・・)肌を洗い流していく。肌は丈夫だからあんまり心配してなかったけど、髪も眼も無事なようだ。よかった……ん?


 まだちょっとひりつく眼で自身を確認する。我ながら綺麗な肌だ。うん、見えてるね?

 ルティも落ち着いたのか状況に気づいた。


「わわわわ!?」


「カインあっち向いて!?他の人も!見ちゃダメぇ!」


 カインはフィルに耳を引っ張られて無理やり後ろを向かされている。周りの人達も回れ右してくれた。呆けてる人はルティが片っ端から風でビンタして無理やり後ろ向かせた。


 急いでルティに服を出してもらって着替える。どうもスライムに溶かされかけてた部分が、ルティの魔法で吹き飛んでボロボロになったっぽい。

 体は回避できたけど、服までは対象外にできなかったみたい。


 もうスライムだからって油断するのはやめよう。とほほ。




すみません、ストックがもうあまりない事と、

書き溜めがちょっと思わしくないので投稿間隔を二日にします……遅筆ぇ…(´・ω...:.;::..


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