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17 準備


 昨日は楽しく食事をしてそのまま解散となった。まぁその後お風呂でフィルと一緒になったけど。

 お風呂場で僕がフィルの方向に顔を向けるたび、ルティの視線に殺気が篭っていたのは気のせい。

 …なわけない。話すために顔を向けただけなので、危ない発言も含めて部屋に戻ってからちょっとお話合いをした。

 肉体言語だったのでなんとか納得してもらえた。危うくこっちが負けそうにもなったけど。



「昨日はああ言ったけど、あんまり他の人見ないでよね?」


 朝食のため食堂に向かう間、腕を絡めながらそんなことを言われる。


「わかったよ。それに大丈夫だって。僕が好きなのはルティだけなんだから」


「本当?」


「本当だって」


 その証拠とばかりにキスをする。

 ルティは一瞬びっくりしたような表情をした後、ちょっと顔を赤らめながらはにかんでくれた。


「……朝から胸焼けしそうなんだが」


 振り返るとぐったりした顔のカインと苦笑いしているフィルがいた。


「「空気の読めない男…」」


「また俺が悪いのかよ…」


 片手で目を覆いながら天を仰いでいる。だってしょうがないじゃない、甘々な空気に水を差されたんだから。



 成り行きで一緒に朝食をとることになった。二人きりもいいけど、四人でわいわい食べるのも悪くはない。


「僕達は昨日言った通りだけど、カイン達は今日どうするの?」


「俺達は準備がてら観光でもしようと思ってる。どこかお勧めとかあるか?」


「お勧めねぇ…」


 正直お勧めと言えるほどのところは…。僕達もお城見られないから適当にぶらついてたくらいだしね。


「あんまりないわねぇ。強いて言うなら露店街くらいかしら?」


 露店街は僕達がアクセサリーを買った場所だ。確かにザンブルにはないからいいかもしれない。


「ん、フィルにアクセサリーの一つでも買ってあげれば?」


「ば、馬鹿言うなよ!なんで俺が買わなきゃいけないんだよ!」


 お?この反応はもしかしてもしかするのかな?チラッとフィルを見ると苦笑している。

 あー、なんとなく関係がわかってきたかも。


「飯も食い終わったしもう行くからな!」


「ツンデレは流行らないらしいわよー?」

「らしいよー?」


 二人でニヤニヤしながら揶揄ったら、うるせぇ!なんて言いながらフィルと一緒に宿を出て行った。素直じゃないなぁ。




 二人を見送った後、僕達もリーズナーさんのところに行くことにした。

 どうやって話すかはノープラン。というより素直に話す。嘘とか苦手だしね。


「「おはようございます」」


「おはよう。昨日言った通りしばらく休みだけど、どうしたんだい?」


「実は……」


 国から出ている依頼に行きたいけど、行ってしまうとお店の再開までに帰ってこられないことをそのまま伝える。


「うーん、正直この休みは痛手なんだよね。だから修理が終わり次第再開したいんだけど」


「なんとかなりませんか?」


「うーん……」


 唸ってそのまま黙り込んでしまった。やっぱり無理なのかなぁ…。お店の休業は僕達の責任なので余り強くは出られない。


「………一つ条件をつけていいなら許可できるけど、どうする?」


「え?僕にできることならいいですけど」


「ちょっとナツキ!?」


 もう駄目かと思っていたので、つい条件も聞かずに了承してしまう。


「じゃあ交渉成立ってことで。条件は再開時に新しい制服を着てもらうことだから、よろしくね」


 なんだ、暫く只働きとかを想像したけど、思ったより大したことなかった。

 早速組合に向かおうと、ありがとうございますと言いながらルティの手を引いてお店を出た。


「ねぇナツキ、本当によかったの?」


 何か心配そうに聞いてくる。別に制服変わるくらいでそこまで深刻な事かなぁ。


「だって制服変わるだけだよ?」


「今よりもっと際どい制服だったらどうするのよ…。私もナツキも着ることになるのよ?」


 あ…しまった。その可能性は考えてなかった。しかもルティまで巻き込んで…。


「ごめん…。依頼を受けられるのが嬉しくて全然考えてなかった…」


「…しょうがないわね、それだけ受けたかったって事でしょう?

あそこの制服可愛いのは確かだから、ナツキの可愛い姿が見られると前向きに考えるわ。

それにもし、ナツキの事を如何わしい目で見る奴がいたらまた吹っ飛ばすだけだしね」


 吹っ飛ばす宣言頂きました。僕の考えなしの行動で、昨日のお話合いが無駄になってしまった。僕の馬鹿…。




 ルティにまで際どい制服を着せちゃうかもしれない申し訳なさと、その姿を他の人に見られたくない思いから、つい組み付いて歩く。僕って結構独占欲が強いのかもしれない。


 ん、何だろう、なんか温かくて凄い安心する。組まれる方もいいけど、組む方もいいなぁ。ずっとこうしていたい。

 なんか僕もあんまりルティの事言えなくなってきたなぁ。


「すみません、国から出されているスライム駆除の依頼を受けたいんですけれど、まだ間に合います?」


 組合についてからも心地よさにぽやぽやしていたら、代わりに受付の人に聞いてくれた。


「ええ、ギリギリですけどなんとか。受注されるのであれば、手続きを行いますので組合員証をお願いします」


 渋々手を放しポーチから組合員証を出す。ん?これじゃ依頼を受けたいのか受けたくないのかわからないや。



「後は準備だね」


「と言っても買わなきゃいけないのは、食料とか消耗品関係だけね」


 露店街とは別の、商店街に足を延ばし買い物をしていく。

 保存食に生鮮食品と…。魔道具のコンロとランプがあるから燃料系はいらないっと。

 他は特にないかな。ザンブルで揃えたから道具類は一通りあるし、水は魔法でだせる。本当に買うもの少ないや。


 あっさり買い物が終わったので、昼食をとった後、明日に備えて宿でゆっくりしながら道具の点検をすることに。終わったらルティに抱き着いてゴロゴロしよ。






じわじわとブクマと評価が増えております。ありがとうございます!

これからも拙作をよろしくお願いいたします。

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