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14 予想外

17時にも投稿しています。


 仕事は翌日からということだったので、その日は王都を観光してゆったり過ごすことにした。

 とは言っても一番見たいお城の中は立ち入りできないので、適当なところをルティと手を繋ぎながら(・・・・・・・)ぷらぷら歩いているだけだ。


「ところで、いきなり手を繋ごうなんてどうしたの?」


「えー、ほら、人も多いしはぐれないように?」


 なんで疑問形。まぁ女の子同士ならそうおかしくもないだろうし、いっか。


「あ、ねぇあれ可愛くない?」


「本当ね、ちょっと見ていきましょ」


 アクセサリーを売っている出店が目につき近寄っていく。宝石を使ったものだけでなく、綺麗なガラスや石を使った物など様々なものが置いてあった。


「随分とまぁ綺麗なお嬢さん方だね。どうだい?ちょっとは安くするから買ってかないかい?」


 なんて煽てながら売り込んでくる店主のお爺さん。綺麗なんて言われると満更でもなくなってくるから不思議。


「んー、どうしようかな。……そうだルティ、お互い選んでプレゼントし合わない?」


「え…うん。いいわよ」


 うーん、ルティなら何が似合うだろう…。色々見ていると、ふと一つ目についた。銀のチェーンに赤い石がワンポイントでついたペンダント。あれなら…。


「お爺さん、それください」


「このガーネットのやつかい?これなら…金貨二枚になるよ」


 値引いてくれてるんだろうけど結構高い…。けどせっかくのプレゼントなので奮発してしまおう。


「ルティ、ちょっといい?」


 早速首元に手を回し、着けてあげる。うん、想像通り似合う。

 僕の髪色のチェーンに、ルティの瞳色の石。…チェーンは銀じゃなくてもよかったかな。ちょっと気恥しい。


「この色…」


 あ、気づかれた。余計に恥ずかしい。


「せっかくだし、お互いに(ゆかり)のある色で選んだんだけど…」


「そういう…ふふ、じゃあナツキにはこれかしら」


 そう言ってルティが選んだのは金の装飾がワンポイントで付いた黒革のチョーカー。

 お爺さんにお金を渡し、そのまま僕に着けてくれる。


「うん、やっぱり似合うわね」


 なんとなくくすぐったい気持ちになり、二人でクスクス笑い合う。


「なんだい、お嬢さん達そういう関係なのかい?」


 ニコニコしながら突然お爺さんがそんなことを言った。え?そういうって、ああいう意味?


「い、いえ!ち、違います!」


「ありゃ?そうかい。いや、ついこの間もそういう人達が来たもんでね。てっきりそうかと」


「い、いこ!ルティ!」


 一気に顔が熱くなったので、ルティを手を引いて出店から離れる。毎度ーなんて声が聞こえる。ルティの顔も真っ赤だ。握り返してくる手もちょっと強い。まったく!あのお爺さんめ!






 翌日、指定の時間になったのでカフェに向かった。名前はサンルークというらしい。

 テラスはないが、観葉植物を置いたりしてリラックスできる雰囲気に仕立ててある。


「やぁ、いらっしゃい。君達が今日から入ってくれる子達かな?」


 そう言って出迎えてくれたのはオーナーのリーズナーさん。耳が長いのでエルフかな?聞いてみたらこの世界では森人というらしい。


「それじゃあオープンまであと少しだから、これに着替えてくれるかい」


 そうして渡されたのはメイド服。ただし凄いスカートが短い。え?本当にこれ着るの?


「制服可愛いって評判なんだけど、みんな恥ずかしがってやめてっちゃうんだよね。君達が来てくれて助かったよ」


 なるほど、報酬がいい理由は出来るだけ辞めてもらいたくないからか。

 ううーん、しかしこのスカート丈は…かなり恥ずかしい。油断すると見えそう。スパッツとかも禁止みたいだし…。もうすぐ秋で寒くもなってくるのになぁ。…あ、それでテラスないのか。通年通して出来るように。制服ありきのお店って…。ここカフェだよね?


 もやもやと悩んでいると、ルティが先に着替えていた。


「ナツキも早く着替えないと。そろそろ時間になるわよ?」


 そう言いながらルティも恥ずかしいのか、スカートの裾をちょくちょく気にしている。薄っすら顔を赤くしているせいもあって可愛い。僕も似合うかな…。覚悟を決めて着替える。


「どうかな?」


「うん、凄い似合ってるわよ」


 よかった。なんてホッとしていたらオープンの時間となった。






「いらっしゃいませ!」


 時刻は昼を過ぎたあたり。店内は満席で、空席待ちの人がちらほら出始めていた。


「午前中はそんなでもなかったのに、なんか凄いことになってきたよ!」


 食器を裏に片付けながらついそんな事を口に出す。


「多分午前のお客さんが広めたんだろうね。凄く可愛い子が入ったって。それが二人もだから余計に反応がいいのかも」


 お店が繁盛してニコニコ顔なリーズナーさんがそう言う。

 ルティはわかるけど、僕もなのか。前にかっこかわいいなんて自画自賛してみたけど、そこまでとは思わなかったよ。


「とりあえず三番テーブルさん、コーヒーと紅茶、スコーンでお願いします。」


「了解。これ六番テーブルさんの分ね」


 店員が僕達二人とリーズナーさんだけだからてんてこ舞いだ。僕達二人がホール担当なので必然的にリーズナーさんが調理担当となる。カフェだからまだしも、普通の食事処とかだと回ってないね、これ。


 その日は結局閉店まで満席状態だった。初日でこれはしんどいなぁ。明日以降大丈夫かな?そんな風に思いながら、疲れた体を引きずって二人で宿に戻っていった。

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