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11 奴が来た


 依頼をこなしたり甘いもの食べたりして楽しく過ごしていたある日、奴は突然来た。


「お腹痛い…」


 ええ、そうです。アレです。毎月きちゃうやつです。

 元男といえど話に聞いたことはあるから若干覚悟はしてたんだけど…結構キツイ、これ…


「あんまり痛いとか言わないでよ。こっちまで酷くなるじゃない」


 ちなみにルティも仲良くきているので、二人で宿に篭っている。こんなところで気が合ってもしょうがないんだけどね。

 いや、でもルティがいてくれて本当に助かった。朝に違和感を感じて見てみたらステキな事になってた訳で。ルティもしんどいだろうに色々手伝ってもらった。もう足向けて寝られない。


 下着はもちろん、パジャマも汚れたのでまた買わないといけない。なんか街に着いてから服ばっかり買ってる気がする。ルティの影倉庫(勝手に命名)は二人分の服が入ってるから結構いっぱいになってそう。そういやベッドのシーツも汚したから弁償か…へこむ…


「私ちょっと重めなんだけど、まさかナツキまで重いなんてねぇ…仕事のペースとか考えないとまずいかもしれないわね」


「こんな時まで仕事の話とか勘弁してください…というかこれ何とかならないの?」


 これとは股に挟んでいるやつのこと。この世界のは布みたい。そりゃ元の世界のコマーシャルでやっていたような奴はあるわけないか。普段ないものが股にあるわけだから違和感が凄い。


「なんとかなるくらいならとっくに何とかしてるわよ…」


 使い捨てらしいのが救いか。お腹痛いのに洗えとか言われたら泣くと思う。



「あー、そういえばくる(・・)ってことはデキる(・・・)ってことか…」


「相手がいればねー…」


 お互いぐったりしながら話す。相手…相手かぁ…この場合相手っていうのは男なわけで…

 いくら思考が寄っていると言っても、ちょっと想像ができない。そのうちそういう相手も出来るのかなぁ。




 昼過ぎくらいにちょっと余裕ができたので、パジャマと布を買いに出た。ルティは駄目そうなので留守番だ。


「いらっしゃいませ!あ、あの時の!…って大丈夫ですか?」


 プティベールに着くと、前に公開ストリップショーをさせてくれた店員さんがいた。トリシャさんと言うらしい。顔色と雰囲気が酷かったのだろう。心配そうに声をかけてくれた。

 アレだとこっそり伝えると、「あー…」と同情するような表情を浮かべた。


「その反応は…トリシャさんもそれなりに?」


「ああ、いえ私は軽いほうなんですけどね。友達がそうらしくて毎月死にそうになってるんですよ」


 軽いのか…いいなぁと若干羨むような視線を向けると、何かを思いついたのか手をポンと合わせた。


「そうだ、その友達が言ってたんですけど、お腹を温めると楽になるらしいですよ。ちょっと待ってくださいね」


 そう言って何かを探しに行って戻ってくる。手に持ってきたのは…腹巻だ。

 友達も愛用してるタイプらしい。ポケットが付いてるので、そこに保温用魔道具を入れるといいとか。カイロみたいなものかな?少し高いけど雑貨屋に売っているらしいので、後で行くことにしよう。どうせなのでルティの分も買うことにした。


「ありがとうございました。あまり無理はしないでくださいね」


 そう言ってもらえるだけで大分気分的に楽になる。色々教えてもらってありがとうと言って雑貨屋へ向かった。



 雑貨屋では、女性の店員さんに買った腹巻を見せながら、これに入る保温用魔道具が欲しいと言ったらすぐに出てきた。割とポピュラーなのかもしれない。

 念のため使い方を聞き、布と合わせて購入。もうちょっと見て回ろうかと思っていたら痛みがまた酷くなり始めたので、そのまま宿に戻ることにした。






「おかえりー」


「ただいまー」


 買い物を終え、部屋に戻るとルティがお茶を飲んでいた。少しは楽になったらしい。

 僕にもお茶を入れてもらいながらプティベールでの事を話す。ルティの分も買ってきたからね、というと喜んでくれた。


 お茶を飲み終わってから早速試してみる。


「「ぉー…」」


 じわじわと温まって、暫くすると少しずつ楽になってくる。


「これは知らなかったわ…大分違うのねぇ」


「本当だね…いいこと聞けて良かったー…」


 朝に比べると大分体調も良くなったので、食堂に行き夕食をとった。

 その後お風呂に入ろうとしたら、お湯を汚したりするから宿のお風呂は使えないわよと言われた。体調だけじゃなくてそういう不便なところも出てくるのか…せっかく良くなっていた気分がまた悪くなる。気分や体調が色々と不安定だ。

 結局、こういう時は濡れタオルで拭くのが定番らしいので、お互いに拭きあうことにした。


 あと数日の辛抱よ、と言われたけど逆にまだ数日もあるのかと、ぐったりしながらベッドに横になった。

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