#6 「パラグライダーの森」
平地はだんだん山道にさしかかる。
ユンは後ろで息を荒くして僕についてくる。
よく見るとこの山道...
僕らは林の中の道を歩いているが、
すぐ横はスキー場のような、草が整えられたきれいな坂道だった。
こうしてみるとおかしな風景だ。
とりあえず歩く。
しばらくして、僕らの目の前に小さなログハウスが現れる。
『ユキオ、ここで休もうよ、俺もう無理...』
なんて言って、ログハウスのベランダに座り込む。
まあ、実際僕も疲れたので休むことにした。
今まで歩いてきた道に向かって座っていた。
後ろからみればそれは下り坂だった。
林の中なので景色は大してよく見えない。
ユンはすぐ立ち上がった。
そして、隣のきれいな坂道に行った。
すごい回復力だ...。
僕もついていくようだ。
だって、ユンがいなくなれば僕は迷ってしまう。
このきれいな坂道から景色を見た。
どこを見ても山で、黄色い日差しが照らしている。
空気もよく、ずっと向こうまで見えた。
どこか懐かしかった。
僕らは仰向けになって倒れこんだ。
こうして大空を見上げると気持ちが良いものだ。
視界の隅っこになにやら見える。
黒い粒のようなもの。
よく見れば、それはパラグライダーだった。
誰かがパラグライダーに乗って空を飛んでいた。
いいなあ...。
人類の永遠の夢である「空を飛ぶ」ことを叶えたようなものだ。
見ると、2つ飛んでいた。
どうやらこの山の上から飛んでいるようだった。
下から見てる僕は、うらやましいと思った。
鳥と一緒に飛ぶ、鳥のような気分。
一度でいいから味わってみたいものだ。
もうそろそろ、行こうか。
太陽はいつまでも黄色い日差しを放っていた。
ユンに背中を押されて転びかける。
こんな日々はいつまでに続くのだろうか。