200文字話集『浮間舟渡』
200文字集三弾です。
浮間舟渡
収録
01.北区
02.心ココ
03.花火大会
04.LDS~ライナスドップラーシンドローム~
05.食中毒男
06.黒男 あるいは(ムチがもたらす予期せぬ奇跡)
07.板橋区
08.皆既日食
09.奥床式
01.北区
東京都北区には浮間という土地がある。
「あ、ラピュタなんじゃない?」
私はその日、金曜ロードショーである映画を観ていて、気がついた。
だから次の日、私は電車で浮間舟渡に向かった。
が、しかし、
突然、埼京線はある駅とある駅の間で、停止した。
何だ!どうした!
私は思った。
「線路上に不審物が・・・」
アナウンスが聞こえた。
でも私は違うと思う。
これは陰謀だと思った。
NASAとかの。
だってラピュタってばれたから。
私に。
02.心ココ
『心ココ』という名前のドローンが最近人気だ。
そのドローンは名前の通り、心の形をしている。
ちなみにそれはハートという事じゃない。
それぞれ違う形をしている。
皆、一様に歪だ。
色だって汚い色が多い。
でも僕にはなんとなく判る気がする。
だって人を愛するのも殺すのも心なのだから、それが単純にハートであっていいわけないんだ。
僕も持っている。
それを飛ばすと、まるで本当に心だけが飛んで行ってしまうような気がするんだ。
03.花火大会
戸田橋花火大会といたばし花火大会は同日、荒川を挟んで両岸で行われることもあり、大変に派手です。
両岸で約12,000が上がります。
それは、まさに合戦です。
両岸から夜空に向けてバッカンバッカンと上がるのです。
その威力もすごくて、
少し離れた所でも煙が漂っていたりします。
で、
私はその煙をビニール袋に集める仕事をしています。
そして『煙袋』として売るのです。
ヤフオクとかで。
驚くほど売れます。
副業にいいですよ。
04.LDS~ライナスドップラーシンドローム~
以前、病院の近くに住んでいたという彼と付き合うと大変だ。
「なあ、寝れない」
彼は、長く病院の近くに住んでいた為、救急車の音がしないと寝られない体になってしまっていた。
だから、最初は私が、
「ピーポーピーポー」
言ってあげていた。ちゃんとドップラー効果もつけて。
でも、
最近私は絞め技を勉強している。
だって、
彼、眠るまでの間に、
「なあ、ええやんけ、ええやんけ」
とか言って、エロい事をしてくるのだ。
さっさと寝ろ!
05.食中毒男
知り合いに食べたものを吐く奴が居る。
聞くと、食中毒だという。
「拒食症じゃん?」
私は以前、そう聞いたことがある。
「違う。食中毒」
奴は言った。吐いた後だった。
奴は自分が食中毒である事を少しも疑っていなかった。
それから数年後、
『結婚しました』
奴からそういう年賀ハガキが届いた。
私は何故結婚できたのかラインで聞いてみた。
「彼、私のモノを飲むのが好きなの」
そう返ってきた。
それ以降、私は奴と連絡は取っていない。
06.黒男 あるいは(ムチがもたらす予期せぬ奇跡)
ブラック企業という言葉が市民権を得て久しい。
しかしおかげで、黒色は以前にも増して人々から嫌われるようになった。
その為に、黒男は頭を抱えた。
彼は黒である事で仕事を得て、生活をしていた。
色は色。
しかし一度意味を宿した言葉は、一生無くならない。
ある日、失意の中、黒男は趣味のSMバーに行った。
そしてそこでムチで叩かれ、ある事を思いついた。
ホワイト企業は本当にホワイトか?
黒男はそれを確かめる戦いに向かった。
07.板橋区
その昔、舟渡では荒川が大雨等で洪水になる度に大変な被害があったそうだ。
それだから蛇行している川を工事して、まっすぐにしたそうだ。
さぞ、大変だったろう。
ただ、
それは同時に人間が龍になるのを諦めたということでもある。
鯉が滝を登ることで龍になるように、かつての蛇行していた荒川では、洪水で氾濫する川を逆流して龍になる人間がいた。
龍になれば神になったも同じだ。
昔、人間は龍になれた。
まあ、
今となっては昔の話。
08.皆既日食
昨今、浮間舟渡駅界隈にはマンション、高層マンション、中高層マンションとマンション群が乱立している。
そんな中でも最近人々の注目を集めたのは、
『2063年の皆既日食を見れる超高層マンション』
という代物だ。
聞くと、値段もアホみたいに高いが、それに比例して入居応募者もアホみたいに多いそうだ。
皆、皆既日食が見たいらしい。
2063年か。
僕には現実味がない。
その時、自分が一体どうなっているのかもわからないのに。
09.奥床式
襖があった。
そこはまた四方が襖の部屋だった。
これは一体どうなっている?
大きな屋敷だった。
屋敷の玄関先に女が立って、通りかかった俺の事を見ていた。
その屋敷の雰囲気に合った奥ゆかしそうな娘だった。
「もし、いい事をしませう?」
娘はそう言って俺の事を屋敷の中に連れ込んだ。
そこで、ある部屋に通されて、
それから女は奥に消えた。
いくら待っても戻ってこない。
そして、
もうずっとこうだ。
果たして俺は帰れるのだろうか?
※ちなみにタイトル、並びに空白は文字数には含みません。
浮間舟渡って名前がかっちょいい!超カッチョいい!




