背中
この小説は自殺を助長するものではありません。
その後ろ姿は今日が最後となった。いつものように送り出した自分を悔いた。いや。それ以上に憎かった。私の夫は骨ひとつ残らなかった。戦争は終わった。あなたの身に何が起こったのか全く分からない。分からないままひどい現実を突きつけられる。
フラッと家を出て、目的も何もないまま歩いた。世界が憎い。国が憎い。自分が憎い…。何もかもが憎い…。だから凶器を自分に向けてくれ。私が今望むものは死以外の何者でもない。
だから最愛の夫にお願いする。私を。あなたの背中で導いてほしい…。
物語の妻がこの後どうなったか。それは想像にお任せします。私の中では彼女は…です。
大事なのでもう一度言います。自殺を助長する小説ではありません。