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夢の遊園地
幼い頃から繰り返し見る夢がある。
最初はどこへ向かっているか分からなかったのだが、大人になるにつれ、遊園地を目指していることが分かった。
ある時は徒歩で、ある時は自転車で、ある時はバスで、その場所に行くための道を進んでいる。風景は常に同じで賑やかなアーケードや、緑溢れる公園、大きなターミナルなどを行きすぎる。登場する人たちは、皆自分が好きだった人、好いてくれた人ばかりで、自然とウキウキしながら、遊園地を目指す。
残念なことに、あと少しで遊園地が見える頃合いで、その時々で一番自分の身近にいる人がふと現れ、どんどん間違った方向へと導いていくので、終いには工場のような場所に出てしまい、目が覚めるのが常である。
本日は若い頃の細君が登場した。夢とて分かるのだが、彼女は数年前に老衰で死んだ。今日こそは間違えずに遊園地に連れて行ってくれるらしい…若返った二人は浮かれて遊園地の門をくぐった―。
「…午前5時20分、ご臨終です」
その老人は何とも安らかな顔で永遠の眠りについたという。