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性癖が厄介な女の、友人をしている

作者: みそ
掲載日:2025/11/01

性癖だけ詰めました。よろしくお願いします。

 王立の学園に通う勤勉なる学生である公爵令嬢、マリアンヌ・フォン・アルテーヌの友人、同じく模範たる学生、辺境伯令嬢フレイア・フォン・ミネには些細なる問題がある。性癖が厄介すぎるのだ。


 その上、性癖に合致した人物でないと結婚したくないと言い、8歳の頃にせめて20歳まで婚約を待ってくれないのなら屋敷に放火して回ると言ってミネ辺境伯爵を大変困らせたそうである。辺境伯領は魔物も多く出る。本来ならひっくり返って気絶してもおかしくないこの物言いに、フレイアの母はむしろミネの女として素晴らしい気性だと言い、フレイアの父はフレイアとその母に弱かったので、フレイアの駄々こねは見事成功した。マリアンヌはフレイアのそう言う性格と家格が波長に合っていたので、フレイアと友人をしている。それ故、本来ならば14歳頃には婚約の内定じみたものがあってしかるべきであるのにフレイアは18歳まで婚約しなかった。そう、18歳までは。


 現れたのである。フレイアの性癖に合致する、そんな男が。ここで、フレイアの性癖を晒そう。フレイアは、強くてかわいそ可愛くてその上中性的なイケメンが好きだった。付け加えるなら、限られた人物、つまりフレイアには少し依存的な面がありつつも、他の人物には強気な態度を崩さない顔面国宝が好きだった。どちゃもりである。からあげエビフライカツカレーにアイスとショートケーキまで付けているような女だったのだ、フレイアは。もちろんそんな最高級ステーキとティラミスのセットはそうそう現れるはずもなく、マリアンヌはフレイアの好みの人がきっと現れるわよ、私も祈っているわ、とフレイアに言っていた。実際マリアンヌは教会で祈って、寄進もしてみた。全く効果はなかった。しかし、顔面偏差値75の高給取りが急激に現れたのだ。


 いきなりであるが、マリアンヌは公爵令嬢で、つまりめちゃくちゃ偉い。もちろん、婚約相手もめちゃくちゃ偉い。そんなめちゃくちゃ偉いマリアンヌのめちゃくちゃ偉い婚約相手は、第一王子ベルナード・フォン・アガレスだった。王太子第一候補のベルナードはめちゃくちゃ偉いのだが、偉さに実力が追いついていないところが大きかった。頭も、身体も。本来ならば、たとえ第一王子であろうとも補佐役やら護衛やらをセットで入学させることなどない。入学してから、結果として補佐や護衛を兼ねる子息を集める、という形を取る。もちろん、前々から交友がある取り巻きで、形だけではあるのだが、形式としてはそう言う風にずっとしてきた。しかし、ベルナードは学園に入学する前に、前例のないことがしたいなどと言って取り巻き全員と縁を切ってしまったから、仕方なく補佐と護衛をセットで入学させるしかなかったのだ。前例という建前をつけてはいるものの、要するにずっと周りにいて小言を言って来る連中が邪魔だっただけである。


 このベルナードの護衛兼補佐としてついてきたのが、ルベル・バルベロである。ルベルの父はドラゴンを討伐したことで騎士爵を得た人物で、つまりルベルはめちゃくちゃ爵位は低い。ドラゴンは一度現れれば大陸ごと滅びかねないので、倒した人物には褒賞を与えなければならないが、マリアンヌたちの国は財布が苦しくて、モノも爵位もケチりたかったので騎士爵を与えた。本来なら子爵くらいにはなっていてもおかしくないが、いかんせんない袖は振れなかったのだ。そして、そんなルベル・バルベロこそがフレイアの婚約者である。いや、今はバルベロ家は伯爵家になったので、ルベル・フォン・バルベロだが。


 3年前の春、マリアンヌとフレイアとベルナードとルベルは4人揃って学園に入学した。その時、同時に入学してきた人物がいる。男爵令嬢アリア・フォン・マリアベルだ。このアリア、大変な問題児であり、マリアンヌとフレイアとルベルもほとほと手を焼いた。なにせ、婚約者持ちで爵位も高い令息につぎつぎ粉をかけていくのだ。オマケに身体を許す。風紀に悪影響なんてものではない。先輩に任せてほっておこうとしたが、よりによってベルナードがアリアに引っかかりやがったのでマリアンヌとルベルは関わらざるを得ず、マリアンヌが困っているからとフレイアも手伝ってくれた。性癖以外はまともないい女なのだ、フレイアは。


1年の夏、マリアンヌはアリアとベルナードに声をかけた。

「マリアベルさん、ベルナード様。ベルナード様は私の婚約者ですわ。あまり周りが勘違いするようなことはなさらないでくださいな。」

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1年の秋、フレイアはアリアに声をかけた。

「マリアベル様。婚約者のいる殿方にそのように近づくべきではありません。」

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1年の冬、ルベルはベルナードに声をかけた。

「ベルナード様、あんまりアルテーヌ嬢を困らせるようなことはしないほうが良いと思いますが。」

--

2年の春、マリアンヌとフレイアはベルナードに詰め寄った。

「ベルナード様、アリア様との距離を少し離してほしいのです。」

「噂になっているんです。2人のことが。」

--

2年の夏、ルベルはアリアに詰め寄った。

「アリア嬢、ベルナード様にしなだれかかるようなことは困ります。控えて下さい。」


 これは随分と自分たちを馬鹿にしているぞと誰にでも分かるし、週一レベルで話しかけたのでますますアリアとベルナードはマリアンヌ達に反発するように距離を縮めていった。事件が起きたのは、マリアンヌたちが2年の秋になったころだった。その時、ベルナードはもともと低かった人望がアリア絡みでさらに下がっていたところだった。それの一発逆転の策が、ベルナード自身による魔物討伐の親政である。行き先はミネ領だった。そこでは、大した危険はないはずだった。前もってミネ辺境伯によって常にある程度魔物は狩られているし、先日大規模な魔物の進行をミネ辺境伯がぶっ潰したばかりで、もうそれほど魔物もいないだろうと思われていたのだ。


 たまたまだった。不運だった。そうとしか言えなかった。ベルナードの親政に、ドラゴンが現れたことは。ベルナードがしたことは、逃げることだった。これは全く正しい。ベルナードは騎士ではなく、王族なのだから。ただしくなかったのは、これからだ。ベルナードはルベル一人にドラゴンを押し付けた。他の騎士は全員自分の護衛として連れて行ってしまった。これは良くない。普通、ドラゴンは一人では、時間稼ぎすらできない。ドラゴンが現れたのは、平地だった。ルベルが大剣でドラゴンを斬りつけていたところを、魔道士に命じてルベルを離れたところ、それでもドラゴンからすれば近場に転移させた。ドラゴンは、ルベルを追った。その隙に、ベルナードと騎士たちは全員で逃げ出した。マイナスとマイナスがであってしまい、そしてそれは掛け算になった。満塁逆転ホームランだった。ルベルが一人でドラゴンを倒したからである。父もドラゴンを倒せたから息子もドラゴンを倒せる、そういうことだった。


 もちろん無傷とは行かなかった。ルベルは両腕に大やけどを負った。左目の視力も無くした。剣はもう握れない。騎士には戻れない。それでもドラゴンを二代続けて倒したものだからさすがに袖を振らなくてはならなくなった。それに、ルベルを黙らせないとまたベルナードの人望が急転直下しかねなかった。王はバルベロ家を伯爵にし、領地を与えた。その領地が、なぜかもとミネ領の領地を少し削って与えたものだった。なぜかなどではない。ミネ家がバルベロを取り込みに行ったのだ。バルベロの血は強者を産みそうだから。そして、ルベルがフレイアの性癖ピッタリだったから。


 ルベルは強い。ドラゴンを一人で倒せる奴を強くないとするとこの世界に強い奴は居なくなってしまう。ルベルは可哀想だ。もう二度と剣を振ることはできない。騎士になることもできない。ルベルはイケメンだ。髪を少し伸ばしている事もあって中性的である。ルベルはドラゴン事件以降フレイアに若干依存気味だ。なにせ手が不自由だからできないことも多い。フレイアはそれを支えたし、バルベロ家が伯爵家になったことによって騎士にならなくても生きて行けそうになった。バルベロ家を伯爵にと強く推したのがミネ家であることは誰でも知っている。ルベルは強気な性格だ。たとえ両手が使えなくとも決闘を受けたし、全部勝った。ルベルはフレイアにとってフルコンボだった。フレイアはルベルと3年の夏に婚約した。マリアンヌも祝福した。そして、マリアンヌたちの卒業パーティーがやってきた。


「マリアンヌ!お前との婚約を破棄する!」

ベルナードがお決まりのセリフを言った。アリアはお決まりのようにベルナードの腕にくっついていた。何から何まで完璧だ。マリアンヌは思わず拍手した。ベルナードは顔をゆがめてマリアンヌがやったという悪事を並べ立てる。全部マリアンヌの記憶になかった。うそだ。嫌みはめっちゃ言った。アリアに。でもそれくらいで婚約破棄などできないものである。ベルナードは周り中から白い目で見られた。王がやってきて、自分の立場を考えろ、とベルナードに言った。それで終わりだった。ベルナードとマリアンヌの婚約は破棄されなかった。マリアンヌもフレイアも1年後に結婚して、初夜が来た。


「ベルナード様、もう私以外の誰にも相手にされなくなっちゃいましたわね。王になれたのも私の実家のおかげ。もう、私しか、おりませんわね。」

「…っ、そう、そうだから、おねがっ、捨てないで、マリアンヌ…。」

「はいもちろん。捨てたりなんてしませんわ、私のかわいいベルナード様。」


ミネ次期女辺境伯フレイアの友人、次期王妃マリアンヌには些細なる問題がある。性癖が厄介すぎるのだ。マリアンヌは高貴だが自分しかすがれるものが無くなった強気だったが心が折れたイケメンが好きだった。ベルナードは高貴だ。第一王子だったし、今は王だ。これ以上高貴な存在などいない。ベルナードがすがれるものはもはやマリアンヌしかいない。下がりすぎた人望はマリアンヌとアルテーヌ家の力がなければ王位を維持するどころか早晩殺されてしまう。ベルナードは強気だった。婚約破棄劇場などやれるガッツがその証明だ。もう折れてしまったようだが。ベルナードはイケメンだ。たとえどれだけベルナードを悪しざまに罵ろうともイケメンではないと言える人物がいないくらいには。ベルナードはマリアンヌにとってフルコンボだった。


「結局、似たもの同士だったってことよね。」

「フレイア様、何か言ったか?」

「様は辞めてよ、夫婦なのだから、ね?」 


 ある時、王城でマリアンヌ王妃は言った。

「性癖が厄介な友人がいるのよ。それ以外はいい人なのだけれど。」


 ある時、ミネ辺境伯邸でフレイア女辺境伯は言った。

「性癖が厄介な友人がいるの。それ以外は完璧なんですけどね。」


「フレイアは幸運よ。ルベル様みたいな人、きっと二度と現れないもの。」

「マリアンヌは幸運ね。ベルナード様のような方、他にいるわけないわ。」


読んでくださりありがとうございました。

良ければ感想などいただけると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
どっちも性癖捻れて松坂牛A5ステーキにハーゲンダッツ付きクラスのレア物過ぎて失礼ながら笑ってしまった 破れ鍋に綴じ蓋ではあるけども2人して特濃ドロソース並に性癖濃いじゃないですかー!やだー! そりゃあ…
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