愛と理の共闘、マモン王の恩返し
療養所の病室で、クレナイから氷の大陸への使命を受けた****グリムとマスター。しかし、王都には**「憤怒」のサマエルが刻一刻と迫っていた**。
マスターの決断とクレナイの論理
クレナイの言葉を聞いたマスターは、左腕の激痛を無視して立ち上がった。
「行かなくちゃいけないのはわかっているわ。でも、サマエルを野放しにはできない。あんな荒々しい破壊の魔力を王都に好き勝手させるなんて、狂気の愛が許さない。私は残るわ、サマエルを抑えるために!」
その時、部屋の隅でグリムの治癒を見守っていた****緑の錬金術師が立ち上がり、クレナイに声をかけた。
「クレナイ、僕は悪いけどそろそろ帰らせてもらうよ。王都の魔力核の修復はシエルくんに引き継いだし、君はどうするの**?」
クレナイは頬を緩めることなく、マスターに鋭い視線を向けた。
「言ったでしょ。行くのはグリムとマスター、あなたたち二人です。サマエルが刻一刻と王都に攻めて来ているのに、時間稼ぎをするのにこんな老いぼれの私一人でどうにかできる訳ない**でしょ」
「えっ?」マスターは驚きで目を見開いた。
マモン王の恩返しと共闘の理
「おいおい、婆さん1人に任せるとは緑の錬金術師も名が廃るぜ」
クレナイの背後の扉が静かに開き、巨漢のマモン王が顔を出した。グリムはその場で跳び起きるほど驚愕した。マモン王は以前**、グリムたちの危機を救ったものの、ホムンクルス側に協力しているという噂もあった人物**だ。
「マモン王!?どうしてここに…**!」
マモン王は豪快に笑い、グリムの驚きを意に介さない。「仮を返そうと思ってな。お前さんたちには色々と助けてもらった**。その恩を返すのは、俺の流儀**だ」
そしてマモン王は緑の錬金術師へと向き直り、深く頭を下げた。
「緑の錬金術師よ。済まないが、嫁さんにはもう少し時間かけて帰ると俺から言っておいたから、もう少し一緒にここを守ってくれない**か」
緑の錬金術師は大きなため息をついた。その顔には心底、面倒臭いという感情がにじみ出ていた。
「あーもう!いつも僕が振り回しているのに、仕方ないね。シエルくんの守ってる王都を見捨てるのも正直気が乗らなかったし今回限りだからね」
緑の錬金術師はクレナイとマモン王を見渡した。「その代わりクレナイさん、貴方も悪いけど僕以上に働いて貰うからね。君の情熱の魔力は、僕の防御の理を安定させるのに最も効率的**だから」
クレナイは腕を組み、不敵に笑った。
「当たり前じゃ。ほら、さっさとグリムを回復してやら**んか、緑!」
緑の錬金術師は渋々と面倒臭いという顔をしながらも、グリムの左肩に手をかざした**。生命の理の魔力がグリムの身体を優しく包み込み**、みるみるうちに傷が塞がっていった。
グリムは左腕の力を確かめ、立ち上がった。
「師匠、マモン王、緑の錬金術師……ありがとうございます。俺とマスターは、必ず、氷の大陸から鍵を持って帰ります!」
新たな****防御陣が王都に敷かれ、グリムとマスターの運命を懸けた最後の旅が始まろうとしていた。




