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紅の錬金術師と火の国へ



 

シエルたちがマモン王国から王都に帰還してから数日、持ち帰られた七賢者の秘宝やホムンクルスに関する情報は、王都の上層部を大きく揺さぶっていた。

 

王都では、民の声を取り入れる評議会と、王室派と騎士派の大臣が話し合う緊急会議が連日行われていた。アリア様もまた、王都の門番としての代表取締役という立場から会議に出席し、国を護るために尽力していた。

 

その間、シエルはリリアンヌ姫の私室に挨拶へ伺っていた。

 

「ふーん、なるほどね。これが例の海底神殿の水晶に刻まれていた古代のシンボル...」

 

リリアンヌ姫はシエルが提出したスケッチを興味深げに眺めた。「確かに私の学校のシンボルと似ているわね」

 

シエルは尋ねた。「リリアンヌ姫は、このシンボルに心当たりは無いですか?」

 

「元々、私の通う学園のシンボルは、火の国の国旗のシンボルを友好の証として使っているのよ。王都とよろしくしたい国も色々あるけど、歴史が最も長いと言われるのは火の国だからね」

 

リリアンヌ姫は思案顔になった。「もしかしたら、火の国の学園長を務めているくれないの錬金術師なら、このシンボルの事について詳しく分かるかもしれないわね」

 

シエルは「そうですか、ありがとうございます」と深く礼をした。

 

喫茶店での新たな旅立ち

夜になり、シエルはマスター(シズク)とグリムが居る喫茶店に顔を出した。

シエルからリリアンヌ姫との会話の内容を伝え聞いたマスターが頷いた。「なるほどな、その紅の錬金術師なら七賢者の秘宝の事について分かるかもしれないわけね」

 

グリムが尋ねる。「マスターはこれからどうするのか決まったのかよ?」

マスターは珈琲を飲み干した。「どうもこうもないよ。この王都にも七賢者の秘宝がある限り、ホムンクルスが攻めて来る可能性がある以上、私も含めた勇者の一族は離れられない事になったから、もう少し此処に滞在させて貰うさ」

「ふーん、良かったじゃん」とグリムが素直に返答する。

 

「素直に喜べよ!」とマスターはグリムの首を絞めて揶揄った。

シエルが次の行動を確認する。「これから火の国はどうしますか?」

 

「俺が1人で行くよ」とグリムが即答した。「マスターもシエルも持ち場がある以上離れられないだろうし、今回ただ聞きに行くだけなら別に今までみたいに3人で行動しなくても良いだろ?」

 

マスターは腕を組み、「まあ、そうだな。私も立て込んでいる仕事が少しあるから、その事は任せるよ」と言った。

 

シエルも「了解しました。帰ってきたら連絡お願いします」と言い、珈琲をゆっくり堪能する。

 

緑の錬金術師の乱入

「それにしても、こいつを此処に連れてきて良かったのかよ」と、グリムが親指で後ろの席に座っている緑の錬金術師を指した。

 

マスターは呆れたように返す。「一緒に来るって聞かないから仕方ないだろ? それとマモン王から聞いたけど、奥さん置いて行って大丈夫なのかよって」

 

緑の錬金術師は優雅に微笑んだ。「今回はホムンクルスの事で色々混み合った理由が君たちにはあるんだろ? 僕も例の紅の錬金術師と知り合いだからね、友達の所に遊びに行こうかな」

 

「ふざけんな!?誰が連れて行くかよ!? アンタの気まぐれにはもううんざりなんだよ!」とグリムは叫んだ。

 

緑の錬金術師は、静かに魔法の言葉を放った。「そんな事言って良いのかな? 僕は一応これでも七賢者の弟子の1人なんだよ?」

 

マスターが顔を上げた。「七賢者って数世紀前の存在だよな? アンタ以外に弟子の子孫とか存在してるのか?」

 

「さっきから言ってるその紅の錬金術師さんは、その七賢者の弟子の子孫にあたる存在だけど?」

 

「それを早く言えよ!?」とグリムが最大のツッコミを入れた。

 

シエルはその紅の錬金術師について尋ねた。「その紅の錬金術師はどんな方なんですか?」

 

緑の錬金術師は端的に答えた。「端的に言えば、情熱的なおばあちゃんかな? とにかく僕よりも熱量が凄いおばあちゃんって考えれば良いよ」

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