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ifストーリー怠惰の霧と行動の論理



ゲームオリジナルスペシャルストーリー

ゴレモリーの撤退により、シズク、シエル、グリムは一時的な静寂を得た。しかし、シエルの演算がビアスの最終演算の座標を割り出した瞬間、闘技場全体にねっとりとした停滞感が広がり始めた。

 

アザゼルの無気力の霧

闘技場の床や壁から、魔力を極限まで冷やし固めたような、鈍い灰色の霧が立ち込めてきた。それは、あらゆる活動や思考を**「無駄」**だと感じさせる、怠惰の魔力だった。

 

「これは…! 魔力の波長が極端に遅延している!」シエルが盾を構え、即座に演算を開始した。

 

空中の高い位置に、黒いローブに身を包んだ最後の七天ホムンクルスが静かに漂っていた。彼の顔は虚無的で、目には一切の光がない。

 

「無駄だ。賢者の狂気に付き合うのも、勇者の無謀な行動も、論理的に見て、無意味な活動だ」

 

怠惰を司るホムンクルス、アザゼル(Azazel)が、静かに無気力の論理を放った。

 

「貴様たちの命の努力は、世界破壊という結果の前には価値を喪失する。戦うな。動くな。思考を停止しろ。それが、最も安楽な選択だ」

 

停止する演算と狂気のフィジカル

アザゼルの魔力は、シエルの思考回路に直接作用した。

 

「演算停止…」シエルの頭の中に、「動いてもどうせ負ける」「努力は非効率」という怠惰な論理が響き渡る。七賢者の秘宝の力で命の代償は消えたが、「思考の無気力化」という精神的な攻撃には、論理だけでは対抗できない。

シエルの演算速度が急激に低下し、盾の光が弱まっていく。

 

一方、シズクにも怠惰の魔力が襲いかかるが、彼女の狂気の愛は、「無意味」という論理を完全には受け付けなかった。

 

「無駄だと? 息子を護るのに、無駄な努力などあるものか!」

 

シズクの狂気的なまでの愛情は、論理的な判断を逸脱しており、アザゼルの魔力が前提とする**「理性的な思考」が働かない。彼女はフィジカルを本能的に動かし、鈍い霧をかき分けてアザゼル**めがけて突進した。

 

グリムの反抗と緑の囁き

しかし、鈍い霧はシズクの運動速度すら著しく低下させる。フィジカルの純粋な力を持つ彼女ですら、重い鉛の鎧を身に纏ったように動きが鈍る。

 

「くそっ! 体が動かねぇ… 矢も錬成できねぇ…」

 

グリムもまた、無気力感に苛まれ、弓を構えることすら困難になっていた。

その時、シエルの盾に組み込まれた秘宝から、緑の錬金術師の微かな声が精神に響いた。

 

「グリムよ。怠惰に対抗するのは論理ではない… 行動だ。そして、生命だ。お前の弓は、創造の力を宿す。『生命の数式』を矢に変えろ!」

 

緑の錬金術師の囁きは、怠惰の霧の中でも創造の論理を唯一維持していたシエルの演算回路を経由して、グリムの精神に届いた。

 

グリムは震える指に闘志を込めた。「生命の数式」とは、「動くことの意義」。彼は一本の矢に、「生きる、動く、戦う」という純粋な意志を込めて錬成した。矢は鈍い銀色の光を放ち、鈍い空間を唯一の速度で切り裂いた。

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