賢者の森の惨劇と七天のホムンクルス
マスターの提案を受け、シエルとグリムは、賢者の森へ向かうマスターに同行した。しかし、彼らが辿り着いた森は、もはや安息の地ではなかった。
大木は根こそぎ地面から引き抜かれたような痛々しい跡を残し、森の守護者たる精霊の気配は完全に消え失せていた。エルフたちが倒れて血を流しており、辺りは凄惨な状況だった。
「ひどい……この状況を引き起こしたのが、ホムンクルスだと?」シエルは静かに怒りを滲ませた。
彼らは、かろうじて息のあるエルフから古老の場所を尋ねたが、エルフは力なく答えた。「古老様は既に……この状況を引き起こされた奴らに、命を狩られてしまいました」
その時、彼らの背後からふざけた声が響いた。
「おうおう、団体様かと思ったら、たった3人ぽっちなんて面白くねーぜ全くよー」
二人の男が姿を現した。一人は荒々しく肌けた格好で、右の胸に天秤の模様がある男。もう一人は落ち着いた雰囲気で黒装束の姿で指揮棒を持っていた。
上級ホムンクルス「七天」の登場
マスターが警戒を強め、「何者だ」と尋ねると、黒装束の男が冷静に淡々と言い放った。
「我はホムンクルスだ。ただのホムンクルスだとは思うなよ」
隣の荒々しい男がニヤリと笑う。「俺たちはホムンクルスの中でも上級と言われる、そこらの同じ顔の奴等とは違うホムンクルスだけどな」
グリムは槍を顕現させ、「ホムンクルスに上級とか下級とかあるなんて初めて知ったけどな」と答える。
黒装束の男は、指揮棒を優雅に回しながらグリムを見やった。
「ベリアル、お前と同じタイプの男が向こうにもいるようだぞ」
ベリアルと呼ばれた荒々しい男は、シエルを一瞥する。
「シルファ、テメェみたいな上品な男もいる見てぇだぞ。ヒョロガリすぎて女かと思ったぜ。顔も整ってるから女なら生け捕りにでもしたんだけどな。勿論、おばさんには興味ねーんだ。帰っても良いぜ、俺は優しいんだ」ベリアルはマスターを一瞥した。
マスターは冷めた笑みを浮かべた。「大丈夫だ、私はこれでも人妻でな。お前に言われなくても男は選ぶさ」
激突:フィジカルと演算
マスターがそう言い放つと同時に、ベリアルに向かって一瞬で距離を詰め、拳を突き出した。ベリアルも面白そうに拳を突き返し、轟音と共に激突した!
「グリム、俺たちは向こうの指揮棒野郎だ。マスターなら簡単にやられはしねぇからな」グリムがそう言うと、シエルも魔力を整えながら頷いた。「まあ、妥当だな」
二人が臨戦体制に出ると、シルファと呼ばれた黒装束のホムンクルスは、小馬鹿にしたように指揮棒を振る。
「我に二人で挑むとは命知らずなことを。我の命を狩るなら軍隊を呼べ」
その言葉と同時に、いきなり床から赤い斬撃がグリムとシエルに向かって隆起した!
シエルは即座に盾を顕現させて防御した。グリムはシエルの後ろに隠れるようにしながら、「おい、大丈夫か」と尋ねる。
「問題無い。ただあいつ、地面からいきなり斬撃を飛ばしてきた。今までのホムンクルスじゃない」
シルファは優雅に答える。
「当たり前だ。我が指揮棒を持ってる理由を教えてやろうか?ホムンクルスたちを従える我は、ビアス様直属の『七天』の一人であり、原初のホムンクルスの一人だからだ。覚えておけ」




