海底神殿のオーパーツ
南の海上の、轟音を立てて渦巻く巨大な渦潮の前。
グリムとマスターは、錬金術で作られた特殊なボンベを腰に巻き、ダイバースーツを装着していた。マスターが深呼吸を一つすると、二人は迷うことなく渦潮の激流へと身を投じる。
予想以上の勢いが二人を襲い、下へ下へと吸い込まれる強大な魔力の流れに抗う術はなかった。渦潮の奥には、苔むした古びた神殿の入り口が広がってい
た。
知らない元素と迷宮
激しい水流に揉まれたグリムが意識を取り戻したとき、マスターの姿はなかった。どうやら逸れてしまったらしい。
周りを見渡すと、そこは見たことがない元素で出来た巨大な神殿だった。壁や柱は幾何学的な紋様に覆われ、まるで迷路のように広がる地下空間が続いている。潜入は成功したようだ。
奥に進むにつれて、見たこともない奇妙な生物が生息しているのが見えた。グリムは弓矢のアルケミストの性で、それが何かに使えるかもしれないと考え、防水のメモ帳にそれらの生態や元素構成を急いで記録しながら先を進んだ。
やがて、彼は古代文字で覆われた隠し扉のような部屋を発見した。
古代の錬金術研究室
部屋の中には、奇妙な形をしたオブジェクトがいくつも並んでいた。グリムは考古学者ではないため、古代文字の解読は難航したが、絵の要素から、これが錬金術の類いで元素反応を加速させる装置、またはその観察のための施設であると推測した。
彼は試しに、自分の魔力を注いだ属性矢を一本作り、部屋の中心にある大きな水晶にかざした。
次の瞬間、属性矢はバチッという音と共に分解された。そして、水晶は見たこともない色に変化し、その表面に無数の古代文字が映し出された。
映し出されたのは、分析や解析を行うためのグラフのようなものだった。グリムは確信した。ここは賢者の秘宝の保管庫ではなく、その秘宝を作るための研究室だったのだろう。
秘宝なき後の大いなる収穫
しばらくして、オブジェクトの壁の向こう側から、マスターの落ち着いた声が響いてきた。
「グリム。無事か。秘宝は既にここにはなかった。どうやら誰かに先に回収されたようだ」
七賢者の秘宝の回収は無駄骨に終わったかに見えた。しかし、グリムはすぐに壁越しに部屋の謎のオブジェクトと、属性矢が分解された現象についてマスターに伝えた。
「無駄骨ではない」マスターは即座に判断した。「その古代の解析装置は、ビアスの錬金術を解き明かすための鍵となる可能性がある」
マスターは、王都の大学にある解析研究所に連絡を取った。グリムは謎のオーパーツと思われるオブジェクトと水晶を慎重に回収し、マスターが緊急展開した転移魔法陣を介して、二人で王都へと急いで戻った。
七賢者の秘宝は失われていたが、勇者の剣の制御、そしてビアスの計画の解明に繋がるかもしれない大いなる収穫を胸に、彼らは王都へと帰還した。




