王城からの特命と、賢者の森の二つの真実
1. 王城の招集と不穏な沈静化
ある日、シエルは王都の王城から指名による招集を受けた。彼が受け持った特命の調査は、極めて重大なものだった。
「シエル。貴様には、勇者の歴史の再調査と、七賢者の秘宝の所在特定を命じる」
王城の重鎮が告げた。
「最近、ホムンクルスたちの動きが不自然なほど沈静化している。これは、彼らが何か大規模な計画の最終段階に入っているきな臭い兆候だ」
ホムンクルスたちが**「静寂」を保っていることこそが、最大の脅威である。シエルは、その非論理的な沈静化が、破壊の王ビアスの計画と結びついていると演算した。彼は、調査地である賢者の森**へと向かう準備を整えた。
2. 古老の提言:真の力と短命の呪い
シエルが賢者の森に足を踏み入れると、そこは精霊の穏やかな魔力に満ちていた。彼は、エルフの集団の長である古老と会い、会談を始めた。
古老は、シエルが背負う短命の呪いの残滓を見抜き、切り出した。
「シエルよ。貴方たち勇者の一族は、短命の呪いを恐れ、精霊との契約を不完全に終わらせた。しかし、今こそその過ちを正す時だ」
古老は、静かに究極の提言を行った。
「今すぐにでも、我々精霊と再契約を行い、勇者の真の力を目覚めさせる必要がある。そうすれば、貴方たちが求めているビアスの破壊の数式を上回る絶大な力を手に入れられるだろう」
しかし、その代償は、かつて祖先たちが恐れ、逃げ出したものだった。
「代償として、貴方たちの身体には再び短命の呪いが付きまとうことになる。しかし、真の力とは呪いと表裏一体にあるのだ」
安息の維持を最重要執務とするシエルにとって、これは究極のトレードオフだった。彼は、自身の生存と世界の安息という二つの数式の間で、演算を停止させた。
「その提言については、熟慮する時間が必要です。考えさせて欲しい」
3. 七賢者の秘宝の衝撃的な行方
シエルは、一旦再契約の提言を保留し、本来の目的である七賢者の秘宝の所在について古老に尋ねた。
古老は、悲痛な表情を浮かべた。
「秘宝の正確な所在は、今や我々にも明らかになってはいない。だが、一つだけ確実に伝えられることがある」
古老の口から出たのは、ビアスの計画が最終段階に入っていることを示す、衝撃的な事実だった。
「かつて、この賢者の森に厳重に保管されていた秘宝は、既にホムンクルスの手に渡ってしまった。我々が気付いた時には、虚無の魔力だけが残されていた……」
それは、ビアスが既に七賢者の秘宝を複数所持しているという決定的な証拠だった。
4. 王都への帰還と緊急報告
シエルは、二つの重大な情報を携え、すぐに王都へと戻った。
王城へ直行した彼は、王族と重鎮たちの前で、冷徹な報告を行った。
「ホムンクルスの沈静化は、計画の最終段階に入ったことを示唆します。そして、最も危惧すべき事態が発生しました」
彼は、一族の生存に関わる**「精霊との再契約の提言」と、世界の危機に関わる「賢者の森にあった秘宝の喪失」**という、二つの重大な真実を、一言一句違わず報告した。
「特に、七賢者の秘宝は既にビアスの手に渡りつつあります。これ以上の安息の維持は困難です。我々は、非常時における新たな数式を、直ちに構築する必要があります」




