それでも⑬
バタバタと引っ越しなどしているうちに、忘れていた。
結婚式というか、披露宴というか、
そうした『けじめ』的なものを、まだしていなかった。
シュウと実咲の話し合いが済んでこちらに戻ってきたので、
すぐさま、
「結婚式というか、披露宴というか、
そうした類のものをしていなかったな。
どうしようか? 」
と二人に尋ねたら、
なにを今更と呆れられた。
「リコさんのことだから、
すっかり忘れていると思って、
わざと訊かなかったの。
ようやく考えてくれるようになったのね。」と実咲。
「悪かった。
ただ、何をするにしても、
オヤジだけは呼びたくないな。
相変わらず、こっちに迷惑をかけているし。」
すると、シュウが改まった顔になり、
「お気持ちはお察ししますが、
お聞き願いたいことがあるのです。
実は、これは口止めされていたのですが、
吉田の御当主様からの『仕送り』は今も続いているのです。」
「私の就職をもって『仕送り』は停止となる約束ではなかったのか? 」
「私や陽子を抱えている状態で、
教員の初任給だけでは大変だと、
『仕送り』は継続となっていたのです。
それだけではございません。
4月からは、吉田グループ株主第3位、
つまり実咲様の御母上からも、
株の配当の一部が『仕送り』として入金されております。」
「母さんからも? 」これには実咲も驚く。
「これらは事実です。
リコ様、僭越ではありますが申し上げます。
もう御当主様のことはお許しになられた方が
よろしいのではないでしょうか? 」




