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それでも⑦
他にいくらでも席があるのに、
わざわざ私に密着して座るとは、
何の用だろうか。
ただし、この女は知っている。
同じT女子高の同僚、英語科担当の翔子である。
帰国子女で、英検1級、TOEIC990点満点の才女、
白鷗大学の英語教育専攻の同級生だが、
在学中に接点はなかった。
当時からとにかく見た目が派手であり、
教頭からわが校の校風にそぐわない服装を
大人しいものにするよう指導されていたはずだ。
公立高校ということもあって、少しは抑えていたのだろうが、
今日は教頭の目が届かないので、いつもの調子に戻したのかもしれない。
それにしても、なぜ私の真横に座る?
体を寄せすぎだ。
妙な密着に、息苦しさを覚える。
私が妻帯者であることは先日の臨時集会で発表済みだ。
何が目的だ?
そう考えているうちに、翔子の方から話しかけてきた。




