それでも⑤
金曜の朝、臨時の生徒集会が開催された。
生徒には内容は予告されていない。
体育館は、前日に体育館を使用していた部活動の生徒が中心となって、
パイプ椅子が並べられた。
生徒たちが先に入場して椅子に座り、
後から教職員の一団が入場する。
管理職と私が最後だ。
中島が体育館の出入り口の戸を閉める。
校長の挨拶の後、私が『発表』をする。
「この度、入籍し、結婚いたしました。」
悲鳴に近い嬌声、
生徒たちのこの反応は予測できた。
舞台袖の五十嵐が無線で各方面に指示を出す。
どうやら、立ち上がって暴れる女子生徒はいないようだ。
話を続ける。
「大学院に通う『女性』と結婚しました。
これからも変わらず、勉学に励みましょう。」
長々と話すと、何が起こるかわからない。
短く済ませたが、
『女性』のところは特に強調して話した。
なにせこんな格好をしているから、
普段から『誤解』されているかもしれない。
そして、どこからともなく
サングラスと黒服の男たちが10名くらいだろうか現れ、
生徒たちが体育館から出ていくよう促される。
これも五十嵐が手配した者たちなのだろう。
なんの混乱もなく、安堵した。
あっけない終了だったが、これも五十嵐の計画の周到さから。
礼を言うと、
「当たり前のことだ。」
私と同じ、無表情で応えた。




