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さらに邁進⑥
「お待ちしていましたよ。
わが校は梅原先生を歓迎いたします。」
校長はなかなか紳士的、長身・グレーの髪、なかなかの男前である。
ただし、油断は禁物だ。
こちらに対して偏見を持つ可能性を否定しておかないことだ。
例によって、ジュラルミンケースを右手に持ち、左手で握手する。
「利き腕を人に委ねるほど自信家ではありません。」
少々失礼かと思ったが、警戒心は解かない。
太郎吉先生はおっしゃっていた。
「足元を見てくる輩が、教員の中にもいるものだ。
だから、こちらから仕掛けていけ。
受け身になっては、それこそ軽く見られるというものだ。
成績優秀で職に就いたということもあって、
何かと試してくる『下品な同業者』もいるぞ。
できればそういう輩がいない職場がいいのだが、
中には主のような者がいる。
そういう業界だと、覚悟を持っておけ。
まあ、最初の職場は良い人ばかりであってほしいがの。」
太郎吉先生には経験があるのかもしれない。
ちょっとお休みします。




