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邁進⑥
「答えは決まっています。」アタシは答えた。
「当日はスーツで行きます。
『時と場に応じた服装』をキーワードに、
生徒や同僚、自分に対しても『柔軟』であることをアピールしてきます。」
「パーフェクトだ。自信持って行ってこい! 」
太郎吉先生は滅多に褒めない。
その先生が「自信を持って行ってこい! 」と送り出した。
これほど勇気づけられることはない。
やっぱり、1次試験とこの面接での服装の違いを面接官は指摘してきたが、
想定された問いだったので、動揺はなかった。
ただし、『あの服装』も、単なるコスプレではなく、
イギリス直輸入のれっきとした『正装』であり、
普段に着る10着に加えて、予備に10着、
さらに予備がなくなったとき用に10着の用意があることも述べておいた。
太郎吉先生はさらに、こうも言っていた。
「1次を満点通過した者の服装が気に入らんと言って落としていたら、
優秀な人材を他業種に流出させてしまうだろ?
そんなアホをあいつら面接官がやってみろ、
すぐに降格処分じゃよ。
『落とせるものなら落としてみろ』くらいに開き直っていい。」




