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邁進②
「ところで、早すぎるかもしれないけど、訊いておきたいことがあるの。」
実咲の母は言う。
いよいよ、『結婚』のことか?
身構えていると、意外なことを訊かれた。
「二人とも、試験当日もその恰好で行くの? 」
確かに、実咲は修道女、
アタシはこのメイド服。
大学院入試や教員採用試験の場にはそぐわない気もする。
実咲はしれっと言う。
「試験前に大学院での指導を希望する教官に会うときと、
試験日の午前中、筆記試験のときは、
この服装で行くわ。
私にとっての『勝負服』だもの。
それと、午前中の試験に合格したら、
トイレでスーツに着替えるわよ。
その方が、かえって気合を示すことにもなるからね。」
度胸があるな。
「同感です。
1次試験ではこのメイド服、
2次ではスーツにします。
ただ、赴任が決まったら、
実咲同様、今のこの服がアタシのプライドです。」
実咲の母は、
「そこまで考えているなら、大丈夫よ。」
にっこりとして、言った。




