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負けない男③
華菜は、それでもアタシの左腕にしがみついてきた。
でも、わずかにだが感じられる。
腰が据わっていない、ふらつく感じ。
今までは、前日、
どんなにバスケの試合が激戦になっても、
こんな感じはなかった。
なにか、必死に隠そうとしているのが
わかる。
「華菜、オマエ、男ができたか? 」
右腕側にいる実咲に気づかれないように、
ささやく。
無言でこくりとうなづく。
嬉しそうな、申し訳なさそうな、
今までに見せたことのない表情。
そして、
「男のくせに、勘が鋭いのね。」
そう言う表情を、
綺麗だと思う反面、
嫉妬の感情もわき上がる。
なぜだ?
そして、
その嫉妬の感情が急速に薄れていき、
安堵の感情に包まれていくのも
感じられるのだ。
なぜだ?
華菜はそれ以降も、
月曜にアタシの左腕にしがみつく日課を続けていた。
ただ、華菜は、
アタシではなく、
アタシの向こうに誰かを見ている。




