新しい道
佐藤さんからの返信は、予想以上に温かく、力強いものだった。
「Paw Coutureの信念に心から共感します。拡大ではなく、品質と絆を重視する姿勢を応援したい。オンラインシステムの強化とデザイン保護のための資金として、ぜひ協力させてください。具体的な計画を教えてくださいね。」
彩花と美咲は、佐藤さんの言葉に背中を押された。
彼女たちは早速、ノートに新たな計画を書き出した。
オンラインオーダーメイドのシステムを強化するため、使いやすいウェブサイトの構築と、顧客がペットの写真や好みをアップロードしてカスタムデザインを注文できる機能を追加すること。
そして、デザイン盗用を防ぐための法的サポートを強化し、特許や商標登録の手続きを進めること。
さらに、商店街の他の店舗や地域のペット関連事業者と連携し、Paw Coutureの理念を広めるためのネットワークを築くこと。
これらが、彼女たちの新たな目標となった。
数週間後、佐藤さんの出資が正式に決定し、資金がPaw Coutureの口座に振り込まれた。
彩花と美咲は、早速ウェブデザイナーと契約し、オンラインストアのリニューアルに着手。
新しいサイトは、シンプルながら温かみのあるデザインで、顧客がペットの物語を共有できる「ストーリー投稿コーナー」を設けた。
そこには、コタローや他の常連ペットたちの写真とともに、飼い主たちの心温まるエピソードが並んだ。
このコーナーは、瞬く間に人気を集め、Paw Coutureのファン層を広げるきっかけとなった。
一方、ネット上の嫌がらせは、佐藤さんの出資のニュースが広まるにつれて勢いを失っていった。
Xの投稿では、Paw Coutureを擁護する声が目立つようになり、
「手作りの温かさが最高!」
「こんな素敵な店、応援したい!」
といったコメントが溢れた。
特に、コタローおじさんが商店街の朝市で熱心に応援の声を上げてくれたことが、SNSを通じて拡散され、Paw Coutureの評判はさらに高まった。
「コタローおじさん、ほんとすごいよね。あの人の一言で、商店街のみんなも私たちを応援してくれるようになった」と彩花は笑顔で言った。美咲も頷き、「あの握手、めっちゃ力強かったよね。私たち、絶対負けられないよ」と応えた。