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多額の出資


そんな中、意外な連絡が舞い込んだ。開店時に、クラウドファンディングで高額出資してくれた女性、佐藤さんからだった。

彼女は大阪の起業家で、ペット業界にも興味を持っている実業家だ。メールにはこう書かれていた。

「Paw Coutureの理念に感動しました。さらなる出資を検討しています。店舗拡大や新商品開発はどうですか? ブランドを全国に広げるチャンスです!」


彩花と美咲は顔を見合わせた。資金があれば、オンライン注文のシステム強化や、デザイン保護のための法的手続きをさらに進められるかもしれない。


しかし、佐藤さんの提案には「拡大」という言葉がちらついていた。それは、HappyPawsのような大量生産の道に引きずり込まれる危険性を孕んでいる。

「私たちの店は、量じゃなくて質で勝負してきたよね。拡大したら、コタローさんや常連さんとの距離が遠くなっちゃう」彩花が言った。


美咲も頷き、「でも、資金があれば、もっとデザインの幅を広げられるし、嫌がらせに対抗するための広告も打てるかも」と現実的な視点で答えた。


二人は再びカウンターにノートを広げ、議論を重ねた。佐藤さんの提案に応じるか否か。もし受け入れるなら、どの程度の規模で、どんな条件で進めるべきか。


翌日、商店街の朝市でコタローのおじさんが店にやってきた。

「ネットの騒ぎ、見たよ。うちのコタローが着てる服、こんな素敵なもの他にないって! 応援してるからな!」と力強く握手を求めてきた。

その言葉に、彩花の目が潤んだ。


美咲は決意を新たに、「嫌がらせには負けない。自分たちの信念を貫こう」と彩花の手を握り返した。二人は佐藤さんに丁寧な返信メールを準備した。

「佐藤様、ご支援に心から感謝いたします。Paw Coutureは、ペットと飼い主の物語を大切にする小さな店として、これからも手作りの温かさを守りたいと考えています。出資のお申し出は大変ありがたいですが、拡大よりも品質の向上と顧客との絆を深める方向で進みたいと思います。具体的には、オンラインオーダーメイドの強化や、デザイン保護のための資金に充てさせていただきたいです。」

メールを送信した後、二人は深呼吸して笑い合った。


「これでいいよね?」彩花が確認すると、美咲は「絶対にいいよ!」と力強く答えた。



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