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続く試練


商店街の小さなペット服店「Paw Couture」のカウンターには、彩花と美咲が並んで座っていた。

ノートパソコンから放たれる青白い光が二人の顔を照らし、深夜の静寂の中でキーボードの音だけが響く。


「PetPopがHappyPawsの傘下に入ったって、本当かな?」彩花が眉をひそめながら呟いた。スマートフォンの画面には、Xの投稿が次々と流れてくる。


業界大手のHappyPawsが、ライバルのPetPopを吸収したというニュースは、まるで嵐の前触れのようだった。

「本当なら、ますます私たちのデザインを守らないとね。PetPopの量産品がHappyPawsの資本でさらに勢いづくかもしれない」美咲が冷静に答えたが、声にはかすかな不安が滲む。


その時、彩花のスマホに通知が飛び込んできた。「Paw Couture 高い」と検索ワードがトレンド入りしている。クリックすると、Xやレビューサイトに心ない投稿が溢れていた。


「値段が高すぎる。こんな服、犬に着せるなんて理解不能」

「Paw Couture、経営傾いてるらしいね。すぐ潰れるよ」

コメントの中には明らかな嘘も混じっていた。彩花の顔が青ざめ、美咲の手が思わずマウスを握りしめる。


「誰かが嫌がらせしてる…? こんなの、うちの服を愛してくれるお客さんへの裏切りよ!」彩花の声が震えた。


美咲は深呼吸して、「まずは落ち着こう。火消しのために、誠実に対応するよ」と答えた。二人はすぐに公式アカウントで声明を発表した。 


「Paw Coutureは、ペットと飼い主の物語を大切に手作りしています。価格は素材と職人技の価値を反映したものです。ご愛顧いただいている皆様に、心から感謝申し上げます。」


さらに、常連客のコタローさんのおじさんや、他の顧客からの温かいレビューを引用し、感謝の動画を投稿した。コタローが新作のセーターを着て尻尾を振る姿に、飼い主の「こんな愛情たっぷりの服、他にないよ!」というコメントを添えた。


しかし、ネットの炎上は簡単には収まらなかった。匿名のアカウントが執拗に悪評を書き込み、まるで組織的な嫌がらせのようだった。


「PetPopの仕業じゃないよね…?」彩花が疑念を口にするが、証拠はどこにも無かった。



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