Paw Coutureの試練
彩花と美咲は、商店街の小さなペット服店「Paw Couture」を守るため、日々奮闘していた。
しかし、ショッピングセンターにオープンした「PetPop」の低価格戦略に押され、客足はさらに遠のいた。
そんな中、彩花がSNSで新作デザインを公開した直後、驚くべきことに「PetPop」の新商品が「Paw Couture」の人気デザインと瓜二つだった。
細かな刺繍やリボンの配置まで酷似しており、盗作を疑わざるを得なかった。
「これ、絶対パクられたよね…?」彩花が憤慨しながらスマホの画面を見せる。美咲も目を細めて頷くが、証拠がない以上、どうすることもできない。
「悔しいけど…私たちの服にはストーリーがある。それを伝えなきゃ」と自分を奮い立たせる美咲だったが、内心の苛立ちは抑えきれなかった。
店の経営は安定しているものの、売り上げは横ばいで成長の兆しが見えない。
常連客の支持は厚いものの、新規顧客の開拓は難しく、資金繰りも厳しさを増していた。
そんな折、大手ペット用品メーカー「HappyPaws」からコラボの話が舞い込んだ。
彩花と美咲は目を輝かせ、デザインの自由度やブランドの価値を高めるチャンスだと期待した。
しかし、打ち合わせで明らかになったのは、コラボではなく実質的な「傘下入り」の提案だった。
「HappyPaws」のブランド名で「Paw Couture」のデザインを量産し、店舗は彼らのチェーン店の一つとして運営される。
彩花は「私たちの想いが薄まる気がする…」と呟き、美咲も「これでいいのかな。自分たちの店じゃなくなるみたい」と複雑な表情を浮かべた。
夜、店を閉めた後、二人はカウンターで向かい合う。彩花は疲れた声で言う。「SNSも伸び悩むし、デザインは真似されるし…このままじゃ、私たちの夢、潰れちゃうよ…」美咲は黙ってコーヒーをすすり、考え込む。
「でも、諦めたくない。PetPopやHappyPawsにはない、私たちだけの何かを見つけなきゃ。」
二人の悩みは尽きない。商店街の未来、店の存続、そして自分たちの信念を貫く道――。彩花と美咲は、試練のなかで何を決断するのか。