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●記念すべき第1回目の悪事とは?


第4話



そんなわけで喜愛と悪役同盟を結成した翌日、


【今日の放課後に△△駅で待ち合わせしましょう。そこで記念すべき第1回の悪事について聞かせて頂きます。もちろん、考えてますよね?】


俺の携帯に喜愛からのそんなメッセージが届いた。少々上から目線なのがムカつくが俺は文句を言える立場ではない。


【安心しろ、ちゃんと考えてある。最初の方だから初歩的で簡単な悪事だがな。とはいえ、サポートも必要になってくる。】


【期待しておきますよ。神城先輩?】


喜愛にメッセージを返し終わった俺はクラスメートと何気ない会話をしながら休み時間を満喫する。


あの日に悪になると決めた俺だったが、クラスメートの前では当分は今まで通りの俺を演じる事にしている。


(芽生えた新たな本性を隠して今まで通りのお人好しの奴隷を演じる...これも中々に悪だろう?)


どこかの中二病みたいな考えに浸っていると瑠莉が俺に向かって蔑んだような笑みを浮かべてきた。思わずぶっ殺したくなったが、流石にここは我慢だ。今の俺は瑠莉を見返せるほどの悪事を成し遂げていない...


それにいくら悪になるといっても流石に殺人という行為には俺にはまだまだ抵抗がある。だからこそ、まずは些細な悪事から慣らしていく必要があるのだ。そして、来るべき日が来た時は...ってやつだろうか?


いや、待てよ?見返してやるという目的なら逆に瑠莉は生かしておく必要があるな。一応、瑠莉への好意が完全に無くなったというわけでもないし、俺のワルさに瑠莉を逆に惚れさせてやるよ!そうだ、それがいい。


(それはそうと、喜愛の奴は本当に悪のお助けマンとして頼りになるのか?)



俺は頭の中でいろんな思いを浮かべながら、休み時間を潰していた。













そして、放課後...


「おやおや~?逃げずにやってこれた事を褒めてあげますよ。神城先輩?」


「ここまで来て俺が逃げるわけないだろ。大体なぁ...お前の事情を聞くだけ聞いて逃げるなんて真似はしねぇから。」


「なっ...」


ん?よく分かんないんだが、さっきまでは俺をからかうような表情していた喜愛が一瞬だけ驚いていたような表情を...俺は何か変な事でも言っただろうか?


「なぁ、どうしたんだ?」


「いいえ、何でもありません。それよりも聞かせてくださいよ。私達、悪役同盟がおこなう最初の悪事ってやつを...」


「分かった。俺が考えたのはな...」



その後、記念すべき第1回目の悪事の詳細を説明し終えた俺は喜愛と共に()()()()()()()()()へと向かったのだった...













1時間後...


「着きましたよ。神城先輩。」


「ここが...」


俺達は悪事をおこなう舞台...()()()()()へと到着した。


「さぁ、入ってください。この時間帯には母はまだ帰ってませんので。」


「おっ...おう。じゃあ、お邪魔します...」


歳が近い女子の家に入るのが久しぶりだった俺は緊張しながら喜愛の家へとお邪魔した。


そして、そのまま階段で二階へと上がり、喜愛の部屋に入る。


「おいおい、いいのかよ?自分の部屋に男の俺を入れて...」


実は喜愛は本当は俺を自分の部屋に入れたくなどないのかもしれない...それでも、今日のために無理をしてるんじゃ...


「ご安心を。もしも、私の下着を盗むなどの変な事をしたら私はあなたを即座に警察に突き出すつもりですので。それに大前提として私はあなたの事は冴えない協力者として見ていませんが?何を勘違いしているのですか?」


...なんて、少しでも心配をしていた俺がバカだったようだ。


「はいはい、冴えない先輩で悪かったな。それで?お前の母親は何時頃に帰ってくるんだ?」


「今日は確か...18時と言っていたような気がします。」


「げっ...マジか、あと1時間以上も待つのかよ...」



今回の悪事の都合上、早く喜愛の母親が帰って来なければ意味がないのだから...













そして、さらに1時間後...


俺が暇潰しに喜愛と最後の打ち合わせや何気ない雑談をしていた時、遂にその時は訪れた。


「ただいま~。」


『『......!!』』


そう...喜愛の母親が家に帰ってきたのだ。


「さて、母も帰ってきたようなので準備に取り掛かりましょうか。」


「とりあえず、俺は出番が来るまではこの部屋に隠れて待っていればいいんだよな?」


「えぇ、悪のお助けマンとしてこの私が上手くフォローしますので神城先輩は首を長くしてお待ちくださいね。出番が来たタイミングで呼びに行きますので。」


そして、喜愛は俺を残して部屋から出ていこうとして...何かを言い忘れたかのように俺の方へと戻ってきた。


「ん?おい、どうしたんだ?」


「言い忘れてました。これより、私と神城先輩による晩食破壊(ばんしょくはかい)作戦(さくせん)のスタートです!」


「いや、別に改めて言うほどでもないだろ...」


それはそうとして...喜愛のその大げさでふざけたネーミングセンスはどうにかしてほしい。



これから実際におこなう悪事はその物騒な作戦名に似合わず、しょうもないものなのだから...




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