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●悪役同盟結成?


第3話



「......ください。」


(...ん?何だ...?)


どのくらいの時間が経っただろうか?微かに耳元で聞こえてくる誰かが呼んでいるような声で俺の意識が少しずつ戻り始めていた。


「あの~!いい加減に起きてくださいよ。変態めくり魔さん。」


「ううっ...おわっ!」


そして、完全に意識を取り戻した俺の目の前には先程俺を思いっきり蹴飛ばした女の子の姿があった。まぁ、悪いのは完全に俺の方だから怒るに怒れはしないんだがな...


「やれやれ、ようやく意識を取り戻したようですね?この変態めくり魔さん。」


「いや、その...変態めくり魔さんって...俺がか?」


「はぁ...事実ですよね?女子中学生にスカート捲りなんてしておきながら、今更惚けようなんて無駄ですよ?私のスカートにはあなたの指紋がついてるのでそれが証拠になりますし。」


「はい...」


とにかく、今は何とかしてこの場を上手く切り抜ける必要がある。だから、少しでも従順な態度を見せておかないとな...


「さて、今から交番に向かいますよ?変態めくり魔さん。」


そう言うと女の子は俺の腕を絶対に離さないように掴んで交番がある方へと歩き始めたではないか。


「おっ...おい!ちょっと待ってくれよっ!お願いだ!今回だけ...今回だけはこの事は見逃してもらえないか!?なぁ、頼む!この通りだ!」


流石にまずいと判断した俺は必死に女の子に懇願する。何せ、この時点で警察沙汰になれば周囲の人間は俺を『悪』なんかではなく、ただの『変態』としか見なさないだろう。せめて警察に捕まるならもっと悪らしい事をしてから捕まりたい...俺はそう思っているのだ。


「そうですね~。だったら、私のお願いを聞いてくれますか?変態めくり魔さん。」


「あぁ!いいぜ!何でも言ってくれよ!」


幸いにも交渉する余地は残されていたようだ。できるかどうかは置いといてとりあえずは女の子の出すお願いとやらを聞いてみる事に...


「その...私を...あなたのお助けマンにしていただけませんか?」


「...はぁ?」



俺は女の子の言ってきたお願いの意味をすぐには理解する事ができなかった...













数分後...


「なるほどな...で、お前は周囲の奴らを見返すために悪のお助けマンになりたいって思ったわけか?」


「えぇ、そうです。」


俺は女の子の事情を聞いていた。その内容を簡単に言うなら彼女の父親が弁護士だったがために周囲から『悪者の仲間』みたいな悪口を言われ続けていたらしい。そして、ある日父親が何者かに殺されてしまい、その際の周囲の反応や警察の対応に失望してしまった事をきっかけに遂に開き直って悪のお助けマンになると決意したんだとか...大好きだった親を失うという気持ちは他でもない俺自身がよく分かっている。


まぁ、その話が本当かどうかまでは分からないんだがな...


「それはそうとして何で俺のその...俺を選んだんだ?だったら、別に他の奴でもよくないか?」


「えっ?理由ですか?そうですね...誰もいない場所で女子中学生を相手にエッチな事ではなくスカート捲りという幼稚な悪事しかできないあなたがイマイチ悪になりきれていないと私が判断したからです。」


「うっ...」


ちっ、ムカつくが痛いところを突かれてしまったな...確かに俺は元がお人好しの小心者であるせいか、イマイチ悪になりきれていないという自覚は一応ある。


「それでどうですか?あっ、そもそも今のあなたに拒否権なんかありませんよね?」


「ちっ、生意気な奴め...」


「心配ご無用です。自覚はありますから...まぁ、昔からこんなじゃなかったんですけどね...」


どうやら、もう俺に残された選択肢はこの喜愛輝星という少女を悪のお助けマンとして雇う事だけらしい。


「はぁ...分かったよ。その代わりと言ってなんだが、半年間のお試し期間を設けさせてくれないか?俺も今の段階じゃお前がどこまで役に立てるかの判断ができないからな。」


「分かりました。それでも構いません。」


せめてもの抵抗から出た言葉だったが、案外すんなりと俺の要求は聞き入れられた。


(これで後は適当な理由でクビにすれば問題ないだろう...)


こいつを信用できなかったというのもあるが、自分の悪事を手伝わせるのは申し訳ないと俺は内心で思っていた。


「そうか。じゃあ、これからよろしくな。えっと...」


「名前を言っていませんでしたかね?喜愛輝星ですよ。変態めくり魔さん。」


喜愛輝星...変わった名前をしてるんだな。でも可愛らしいし、どっかで聞いた事があるような名字だな...


「おう...ていうか、その変態めくり魔さんって言うのはやめてくれよ。確かにそれは俺が悪かったけどさ?俺にはちゃんと神城豪牙って名前があるんだし...」


「これは失礼を。改めてこれからよろしくお願いしますね。変...いいえ、神城先輩?」


「えっと...あぁ、よろしくな。喜愛...」


こうして、この俺...神城豪牙と謎の少女...喜愛輝星による悪役同盟?が結成されたのだった...




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