●悪事その⑪ 西聖高等学校潜入大冒険?
今回はちょっと短め!
第27話
「そんなわけでさぁ~!わざわざあのゲームのデータを消す手間が省けたんだよな~!誰の仕業か知らないけど感謝しかないぜ!」
「そうか。それは良かったな...」
「まさか、お前か輝星ちゃんの仕業だったりして~!な~んてな!」
「ははっ!バカ言うなよ...」
この日、昼休みの学校の校庭にて俺は友人であるホセこと今崎蓬仙の話を聞かされた事で悪事その⑩同胞遊戯記録消去の失敗を知る形となった。
(ちっ、本当に悪運の良い奴だな...)
あの時、標的に選んだゲームソフトだけが別の場所に保管されていたので俺と喜愛はそれはホセが一番大切にしているゲームだと早合点してしまったが、実際は単に飽きたゲームを別の場所に保管していたというオチだった。
「ん?豪牙、何か元気なさそうだな?大丈夫か?」
「いや、単なる睡眠不足だ...気にするなって...」
「俺が言える立場じゃないかもしれないけど、あんまり夜更かしし過ぎるなよ?」
自分が俺達のターゲットにされてるとは夢にも思っていない様子で俺の体調を気遣うホセに俺の中で少なからずの罪悪感が芽生えていた。
(全く...お前は俺と同じくらいのお人好しで友人思いでいい奴なんだよな...バカだけど。)
もう今度からはホセを悪事のターゲットに選ぶのはやめておいた方がいいかもな。喜愛にもその事を話して...
「あっ、そうだ!豪牙、お前って輝星ちゃんの連絡先知ってるんだよな?俺にも教えてくれよ!今度輝星ちゃんに会ったらデートに誘ってやるからよぉ!」
うん、前言撤回だな。今度コイツを悪事のターゲットにする時は絶対に失敗しない悪事を考えるとしよう...
「あのな?喜愛に無断で教えられないっつーの。」
「でもよ~!お前と輝星ちゃんは幼馴染なんだろ?だったら、輝星ちゃんもそれくらい許してくれるって!な?」
「でもな...」
ちなみにホセには俺と喜愛は幼馴染だと初対面時に伝えている。カップルとかだとホセに嫉妬されて喚かれるのが面倒だったので幼馴染という形にさせてもらったがどこかでボロが出ないように注意しておかないとな...
「おっ!?噂をすればあそこにいるのって輝星ちゃんじゃないか!?」
「いやいや!そんな事あるわけがないだろ?いくら喜愛でも俺が通っている学校を知ってるわけがな...はっ!?」
俺が少し呆れた様子でホセが指を指す先を見てみると何とそこには本当に喜愛の姿があるではないか!しかも普通に歩いてるし...
(いや、何やってんだ!あいつは!)
喜愛の姿が視界に入った次の瞬間、俺はいてもたってもいられずに猛ダッシュして喜愛の元に駆け寄った。
「おい!喜愛!?」
「えっ、神城先輩...」
「この西聖高等学校で何をやっているんだ?俺の通う学校だぞ?」
「嘘...」
俺を見た喜愛は何故だか驚いたかのような表情を見せているが驚きたいのは俺の方だ。
「えっと、その...下...ではなく!悪事その⑪として西聖高等学校潜入大冒険という悪事をやらせてもらってました~!」
「はぁ?」
いやいや!明らかにその場しのぎのでっち上げにしか聞こえない。
助っ人の癖に悪事を俺に無断でおこなっている点、舞台に俺の通う学校を選んでいる点、わざわざ目立つ中学の制服で来ている点、そもそも潜入の割に喜愛には隠れるといった隠密行動が特に見られずに堂々と歩いている点、喜愛にしては悪事のネーミングがいつもと比べて安直すぎる点など...ツッコミどころが満載だ。
「なぁ?流石にそれは無理が...」
「へぇ~!潜入ねぇ!輝星ちゃんも中々ワルでカッコいいところあるじゃん!」
「ホセ?いつの間に...」
俺が喜愛を問いただそうとした時、いつの間にか俺に追いついていたらしいホセが輝星に話しかけていた。
「そっ...そうですよね~!ホセ先輩はエンターテイナーを分かってくれて何よりです!そこの誰かさんとは違って...」
咄嗟に喜愛もホセに乗っかって上手い事を言って誤魔化そうとしている。
「だよな~!俺も小さい頃は潜入ってあこがれたもんだぜ!豪牙、お前は固すぎるって!こんな可愛い女の子が俺達の学校に潜入してたんだぞ?夢があるといっても過言じゃねぇ!」
「はぁ...」
冷静に考えるとただの不法侵入でしかないのだが...この時ばかりはホセが単細胞のバカで良かったぜ...
それは置いといて喜愛の奴...本当は何の目的で西聖高等学校に来たんだろうな?




