◯改名?その名はBLACK輝牙!
間違えて加筆修正前のやつを投稿してしまったのに今になって気づいてしまったので改めて再投稿!
第23話
12月31日の大晦日。あと数時間で今年が終わる...そんな日に私は自分家に神城先輩と藍夏先輩を招いていた。
もちろん、ただの遊びのつもりで呼んだわけではない。
「さて、メンバーが全員揃ったところで今年の悪事について振り返ってみましょう。」
「はっ?」
「まぁ...」
私の発言に神城先輩は呆れたような表情で...逆に藍夏先輩は興味深そうな表情で私を見つめる。
「おいおい...まさか、そんな事のために俺達を呼んだのか?」
「そんな事?そんな事とは何ですか!?もうすぐ今年も終わりという節目に悪役同盟の暗躍の歴史を振り返るのだって悪くないではありませんか?」
「よく考えてみろ...結成して1年未満だぞ?別に歴史を築けるほどの年数も経っていないだろうが...というか、暗躍以前にろくに成功すらしてねぇし...」
私が説明してもなお、神城先輩は呆れた表情をしている...まぁ、結成されて日が浅いのは否定できないけど...こうやって振り返る事だって悪くはないじゃん!
「面白そうですね...加入して日が浅い私は是非とも聞いてみたいですね。神城君と輝星ちゃんの出会いや悪役同盟を結成されたきっかけなども...」
「うんうん!そうですよね?」
一方の藍夏先輩は興味津々の様子だった。確かに悪役同盟に加わって間もない藍夏先輩からすればまだ知らされていなかった事も結構あるだろうからね...
「神城先輩、どうしますか?嫌なのであればお帰りになっても構いませんよ?尤もその場合は大晦日にわざわざここに来るまでの時間が完全に無駄になってしまいますけどね?」
「ちっ、仕方ないな...付き合ってやるよ...」
「本当ですか!ありがとうございます!」
私と藍夏先輩が賛成している事や貴重な休みに無駄な時間を作ってしまうのを恐れていたのか、渋々といった形だが神城先輩も折れてくれたようだ。
「...でしたら、まずは私と神城先輩の記念すべき運命の出会いからですね...まさにあれは突然の出来事といっても過言ではないでしょう。なぜならば見ず知らずの年下の女の子に対していきなりスカート捲りなんて幼稚な真似をしてく...」
「おい、ちょっと待てって!ストップ!ストップ!その話はやめろって!」
「紛れもない事実ですよね?あれを忘れたとは言わせませんよ。」
「ううっ...済まなかったな...」
実はあの一件は未だに少しだけ根に持っていたりする。神城先輩は抗議しているけどターゲットが私じゃなかったら神城先輩は変態として社会的に人生が終了していたはずだし、逆に私には感謝してほしいくらいなのだ。
「あら、神城君がそんな事をしていたなんて意外ですね。必死に悪になりたがる聖人君主さんとばかり思っていましたが...あなたにも下心というものはお有りだったと...前から聞いていた神城君の記念すべき最初の悪事というのはこれだったんですね...」
「なぁ、頼む...頼むからそんな憐れんだ微笑みで俺を見ないでくれ...」
神城先輩からすれば軽蔑されるよりも自らを憐れに思われる事の方がよっぽどダメージにきたらしい...
「藍夏先輩も気をつけていないといつか被害に遭ってしまうかもしれませんよ?」
「ふふっ、私は別に構いませんのに。」
「えっ?」
「神城君、私のも見たいですか?でしたら、この場でスカートを捲って差し上げ...」
「いやいや!絶対にダメですから!からかうにも程がありますって!あっ、神城先輩も藍夏先輩を嫌らしい目で見るのはやめてくださいね?」
「俺、何にも言ってないんだが...」
言い出した私の方がビックリした...藍夏先輩には羞恥心というものがないのだろうか?
「いえいえ、冗談...ですよ?」
「でっ...ですよね~!」
一応、冗談とは言っていたがその余裕の笑みがまた不気味だ。まるで面白いものを見つけたかのような雰囲気を感じてしまった...
その後は気を取り直してこれまでにおこなった幾つもの悪事をおさらいの時間になった。
「なるほど、宇來ライナさんですか...随分と苦労をされている方なんですね...是非とも私も会ってお話をしてみたいですね。」
「でしたら、今度紹介してあげましょうか?私、ライナちゃんの連絡先も知っていますし...」
「輝星ちゃん、わざわざありがとうございます。」
ここにはいないライナちゃんとの出会いについて藍夏先輩が興味津々だったり...
「なるほど、そんな場所から...私と神城先輩が気づかなかったのも無理はありませんね...」
「ちなみに私も神城君だと気づくのに時間がかかってしまいました。まさか、食い逃げの謀議を...」
「その話、もうやめようぜ?」
ラーメン店にて藍夏先輩が私と神城先輩の悪事をどこからどうやって観察していたかを聞き出したり...
「そういえばお前らは知らないだろうがな!悪事その⑨として聖夜阿鼻叫喚収納劇をおこなって見事に成功したんだぞ!助っ人の宇來にも感謝だぜ!」
「いや、で・す・か・ら!勝手にライナちゃんを助っ人認定するのをやめてください!あの子を巻き込まないでくださいよ...というか、真の助っ人である私が働いていない時点でその悪事は失敗ですからね?それも私に無断で勝手な...」
「お前らだって俺に無断で俺が考えた悪事を改竄しただろ?だからお互い様だ!」
私の全く知らないところで未知の悪事がおこなわれている事を知ったり...
そんな感じで今までの悪役同盟の活動について振り返っていると時間はあっという間に過ぎていって外が暗くなっているのが分かった。
「あっ、もうすぐお母さんが帰ってきそうなのでそろそろ解散といきましょう。」
「そうだな...」
「ですね...」
お母さんが帰ってくる時間が迫り、私達が解散の準備を進めようとした時だった。
「あっ、すみません...新入りからの提案です。そもそもですが私は『悪役同盟』って名前はどこか小物臭がすると思っていたんですよね...これを機にもっとカッコいい悪が似合う名称に改めてみるのはいかがでしょうか?」
「改名...ですか...」
仲間も増えて年明け以降は更なる飛躍が予想される以上、これを機に改名してみるのも悪くはない。
「う~ん、お二人に希望がなければ私が決めますけどよろしいでしょうか?」
「名前くらい勝手にしろ...」
「私も特に希望...はありませんね...」
さて、カッコよくて悪が似合う名前ねぇ...何かいいのは...
(あっ、そうだ!これなら...)
そういう部分は流石はネーミングセンスに長けた私といったところだろうか?
「ゴホン...新年より【悪役同盟】は【BLACK輝牙】と名を改め、更なる飛躍を目指すものとします!二人ともよろしいですね?」
「何か俺とお前の名前を合体しただけなような...」
「とんでもない!黒き輝きを持つ私達、悪者が他者に牙を向く...こんなに恐ろしい名前がありますか!」
「あらあら、輝星ちゃんらしい個性的なネーミングですね。」
何はともあれ、来年もこの三人で悪役同盟...いや、BLACK輝牙として頑張っていかないとね!




