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俺とお前のブラックシャインファング  作者: たかくん
第2章 仲間を増やして次の悪事へ...
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●悪事その⑨ 聖夜阿鼻叫喚収納劇?後編


第22話



「うわぁ!このぬいぐるみ可愛いです!先輩もそう思いませんか?」


「まぁ、確かにそうだな。」


「ですよね!」


それから俺と宇來は綺麗なイルミネーションを観に行ったり、色々と買い物をしたりとクリスマスを満喫していた。なお、俺はこの後にクリスマスパーティーが控えているので食事はしていない。


ちなみに少し気になった事があってだな...


「なぁ?宇來、その...さっきからやけに興奮しているようだがちょっと大げさじゃないか?」


「何を言っているんですか!?私、日本のクリスマス文化を楽しむのは初めてなんですよ!?興奮しちゃうに決まってるじゃないですか!」


「そっか、お前は去年までウクライナにいたんだっけな...」


「そうですね...厳密に言うと去年のクリスマスの時期には日本に帰国していたのですが、その頃の私達はお母さんを失ってまだ日が浅かったんです...とてもじゃないですがクリスマスを楽しめる気分ではなかったので...」


「あっ、それは済まない事を聞いてしまったな...」


「もう気にしないでください...」


ウクライナ育ちの宇來にとっては日本のクリスマスはある意味では初めても同然。興奮してしまうのも無理はないな...


「それよりも神城先輩!次はあっちの店に買い物に行きましょう!早く早く!」


「おいおい、引っ張るなって...」



興奮気味の宇來に引っ張られながらも何だかんだでクリスマスを満喫している俺。その光景に一瞬だけまるで本当のカップルのように思ってしまったのはちょっとした気の迷いだろうか?













「神城先輩!今日はありがとうございました!とっても楽しかったです!」


「あぁ、俺の方もそれなりに楽しめたぜ。」


辺りが暗くなり始めた頃、俺はそろそろ家に戻るためにここで宇來に別れを告げようとしていた。


何だか名残惜しい気もするがこれ以上、寘杏達を待たせるわけにもいかないだろう。


「じゃあ、ここでお別れだな。」


「...ですね。正直、名残惜しいですが...」


そんな感じで何か良い雰囲気で俺達が別れようとした時だ。その雰囲気をぶち壊すかのような声が聞こえたのは...


「あれ~?宇來じゃん!」


「えっ、嘘~?マジじゃん!」


「まさか、こんなところで...」


宇來と同い年らしき三人組の女子が宇來に声をかけてきたのだ。


「宇來、知り合いなのか?」


「えぇ、クラスメートの牛井遍羅鏤(うしいべらる)さん、蝶泉喜多(ちょうせんきた)さん、浅俊莉愛(あさどしりあ)さんです。」


どうやら、この三人組は宇來のクラスメートらしい。まさか、この状況で友達と出くわしたとなれば宇來も複雑な気分だろうな...


「何でここに...」


「はぁっ!?何でってクリスマスを三人で満喫するために決まってんでしょ!そもそもこっちこそ聞きたいんだけど?あんたみたいなクリスマスが似合わなさそうな女がどうしてここにいるわけ~?」


...どうやら、前言撤回のようだ。


宇來の険しい表情や三人組の言動を見るにお世辞にも仲が良い者同士とは言えない関係である事は女心に疎い俺でも分かった。むしろ、お互いが相手を嫌っているみたいな...


「ねぇ、隣にいる男の人ってあんたの彼氏~?」


「えっ?マジで!?」


「何を本気にしちゃってんの?冗談に決まってるし!こんなカッコいい人が宇來なんかの彼氏なわけないじゃん!莉愛もそう思うでしょ?」


「あっ、そうだね...」


三人組の言動に黙っていた宇來も徐々にイライラしてきたのか、プルブルと体を震わせて握り拳を作っている。


そして、怒りのあまりに宇來はとんでもない発言をしてしまった。


「えぇ、そうですよ!この方は私の彼氏です!」


「「「「えっ?」」」」


三人組と俺の声が見事にハモった瞬間だった。


いやいや!俺と宇來が恋人同士だと?流石に洒落にならないって!


「おい、宇來...」


「...すみませんが今は合わせてください...」


俺は抗議しようとするも宇來に小声でそう懇願されてしまい、思わず引き下がってしまった...


「せっかくのクリスマスなので彼氏とクリスマスデートを楽しんでいたんです!これ以上、邪魔をしないでいただけますか?」


「なっ...コイツ!生意気な!」


「そっ...そうよ!あんまり調子に乗らないで!」


宇來の挑発によってさらにこの場がヒートアップしかけた時だった。


「ねぇ、もう行こうよ...こんな奴のためにせっかくのクリスマスの時間を無駄にしたくないじゃん...」


「うっ...まぁ、それもそうね。」


「ちっ!宇來!冬休みが明けたら覚えておきなさいよ!」


三人組の内の一人の発言がきっかけで残りの二人も流石にこれ以上の時間を無駄にしたくないと思ったのか、捨て台詞を吐いて立ち去っていった。


「神城先輩...またあなたを巻き込んでしまって本当にごめんなさい!」


「いや、気にするな。ところで...あの三人組とは仲が悪いのか?」


「仲が悪いというよりかはいじめられていますね...普段は三人とは別にもう一人の子がいてその子が主犯格なんです。あの三人組はその子の取り巻きみたいな感じですね...その子と牛井さんと蝶泉さんは積極的にいじめてきます。ただ、浅俊さんは他の三人から仲間外れにされるのを恐れて仕方なく私のいじめに関与している...そんな感じです。」


「マジか...お前も大変なんだな。」


「あと数ヶ月で高校生ですからね。少なくとも牛井さんと蝶泉さんとは進学する高校が違うと分かっていますし...それまでの辛抱ですので。」


確かにあの三人組の中で浅俊とかいう奴はそこまで態度はキツくなかったし、最後に間接的に残りの二人を止めていたからな...


「では、改めて...神城先輩!今日はありがとうございました!」


「あぁ、こちらこそな。」



こうして、宇來と別れて帰路に着いた俺だったが帰りが遅くなった事を寘杏や梨華に少し怒られたのは言うまでもないのであった...




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