●幼馴染は突然に...
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第20話
【あなたの考えた悪事を二人でやっておきます。】
(よし、何とかなりそうだな...笠武には感謝しておくとしよう...)
笠武から届いた携帯のメッセージを確認した俺はせっかく考えていた悪事が自らの急な体調不良で白紙になってしまうという最悪の展開にならずに済んだ事にひとまずは安心していた。
「...やれやれ、今回の悪事の内容的にあいつらだけでもやれそうだったのが吉と出たか...肝心の俺は寝込んでいるが具体的な事は笠武にやってもらってそれを喜愛が助っ人に入る...こんな感じなら喜愛も文句を言わないだろう。さて、今は眠るか...」
とりあえずは体調を治す事が最優先と考えた俺はそのままベッドに寝転んで眠りについたのだった...
俺が寝てからどれくらいの時間が経ったのだろうか?
「ううっ...」
ツンツン...
(...ん?何だ?)
今、頬に変な感触を感じたような?いや、気のせいか...
ツンツン...
(間違いない。これは気のせいじゃないな...たぶんあいつの仕業なんだろうが...)
俺は朦朧とする意識の中で起き上がると周囲を確認した。やはりというか、ベッドの周囲に二人ほどいるのが分かった。
そして、意識が完全に回復した時...俺はその二人の正体に気づいた。
「あっ、豪兄~!気がついた?」
「その...神城先輩、大丈夫ですか...」
「...やっぱり、お前らかよ...ったく、こっちは体調が悪いってのに...」
それは俺がよ~く見知った顔だった。
「ほら、寘杏ちゃん!やっぱり、今日は大人しく帰ってれば良かったんだよ...」
「えぇ~!だって~!せっかく豪兄の家に来たのにすぐに帰っちゃうなんてもったいないじゃん!梨華ちゃんだって強くは引き止めなかったから同罪だよ~!」
「はぁ...寘杏、頼むから静かにしてくれ...」
俺の事を【豪兄】と呼んでいる少女の名は煉鳳路寘杏。俺より1歳年下の女の子だ。
実は俺の親父と寘杏の父親が学生時代からの友人で家も近所だった。そのためか、幼少期から必然的に俺と寘杏が顔を合わせて一緒に遊んだりする機会も多く、幼馴染みたいな関係だ。故に寘杏は俺の事を兄のように慕ってくれている。
まぁ、成長するにつれてメスガキ感みたいなのが増してたまにうざくなってきたのが少し気になるがそれでも俺は何だかんだ言いながら寘杏の事は妹のように可愛がっているつもりだ。
「神城先輩、体調不良のタイミングで訪れてしまってごめんなさい...」
「いやいや、梨華が謝る事じゃないだろ...悪いのは体調を崩した俺なんだからさ...」
そして、寘杏と一緒に家にやって来たもう一人の少女の名は雨江梨華。こちらも俺より1歳年下の女の子だ。
俺は梨華とは親同士の関係は特にないが寘杏の昔からの友人で家も近所という事から俺と一緒に遊んだりした機会も多く、俺は梨華の事も妹のように可愛がっている。
ちなみに梨華の方は流石に距離感は弁えているようで俺に対しては礼儀正しい振る舞いを見せている。
「それにしても、どうやって...」
「それはね~?前に私が豪兄の家にいつでも出入りしたいっておじさんにねだったらおじさんが合鍵をくれたからそれを使って~!」
「あのクソ親父め...ゴホッ!ゴホッ!」
「先輩、あんまり無理をしないでください...」
親父の奴...いくら寘杏とは家族同然の付き合いとはいえ、流石に不用心過ぎないか?体調が治ったら文句を言っておこう...
「本当は三人で遊びに行こうと思って豪兄を誘いに来たんだけど...豪兄は苦しそうに寝込んでいたから体調が悪くて寝込んでるんだって察して急遽、豪兄のお見舞い並びに看病に変更したってわけ!」
「私はその...寘杏ちゃんが体調不良の先輩に変な事をしないかを監視するために付き添いました...」
「やれやれ、梨華ちゃんはお固いな~!そんな事するわけないって!実際に私は豪兄の将来のお嫁さんとして真剣に看病してるのを梨華ちゃんだって見てたでしょ?」
おいおい、将来のお嫁さんって...もちろん、寘杏が俺をからかうための冗談として言っているのは分かってるし、今までにも何度も聞かされたせいで聞き慣れているというのもあってか、そこまで気にしてはいないが...
「それ...くれぐれもよく知らない相手の前では言わないでくれよ?俺達からすれば軽い冗談なんだろうが、中には簡単に信じてしまう馬鹿もいたりするんだからな?」
「えっ...あっ、うんうん!それもそうだね。まぁ、それを信じちゃうお馬鹿さんはほとんどいないと思うけど...」
...ん?一瞬だけ寘杏の何やら様子がおかしかったような...
(俺、何か変な事でも言ったか?)
俺と寘杏は本当の家族みたいな親しい関係だがお互いに恋愛感情は抱いていないはず。というか、そこは否定しておかないと寘杏が本当に好きな人を見つけた時に良からぬ噂を流されたりと悪い影響が出るかもしれないからな...俺は寘杏に配慮しているつもりなのだ。
「それはつまり、私も神城先輩のお嫁さんになるチャンスがあると...まぁ、神城先輩が寘杏ちゃんに本気なら身を引きますが...」
「梨華まで冗談はやめてくれって...よりにもよって体調が悪い時によぉ...」
「冗談...はい、冗談ですよ。寘杏ちゃんに影響されちゃったのか、私もたまに神城先輩にそんな事を言いたくなる時があるんです...」
それから、仕事に行っていた親父が帰ってくるまでの数時間...俺は二人に看病されたり、会話するなりして時間を潰した。幸いにも二人と過ごしている内に体調は良くなっていき、大事に至らずに済んだ。
「寘杏ちゃんに梨華ちゃん、俺がいない間、うちの息子の看病してくれてありがとうな。」
「どういたしまして~!看病も花嫁修行の一環に...」
「おじさん、さようなら~!ほらっ!寘杏ちゃんも帰るよ!」
「梨華ちゃん~!引っ張らないで~!」
そう言いながら帰っていった寘杏と梨華の二人を俺は親父と一緒に見送った。
「ははっ!相変わらず、元気な子達だったな。豪牙は将来のお嫁さんにも困らずに済みそうで俺も安心だ。」
「いや、勝手に決めんな。俺にもあいつらにも選ぶ権利はあるんだからな...そもそも何で寘杏に合鍵を渡したんだよ?」
「すまんすまん!現役の女子中学生にあんなにあざとく頼まれたら断れなくてな...」
「このクソ親父が!」
やれやれ、今日はとんだ1日になってしまったな...




