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自称悪な俺と悪のお助けマンな後輩ちゃん  作者: たかくん
第2章 仲間を増やして次の悪事へ...
20/32

◯悪事その⑧ 虚偽悪事内密計画?

高評価・ブックマークよろしくお願いします!(作者のモチベーションに繋がります笑)


第19話



「あ~あ、今日はせっかくの悪事決行の日だと言うのに神城先輩って人は...」


「まぁまぁ、人間誰にだって体調不良というものはありますし...あんまり神城君を責めないであげてください。」


「はぁ...笠武先輩は優しいんですね、私だったら罰として後日何かを奢ってもらうというのに...」


この日、せっかくの悪事その⑧を実行する予定だったのに当事者の神城先輩が急な体調不良で寝込んでしまったらしく、ドタキャンしてしまった。よって、この場には私と笠武先輩...助っ人と新入りの二人だけが集合しちゃっている状態だ。


「さて、どうします?神城先輩がいないんじゃ...悪事の助っ人もしようがないですし...」


「そうですね、どうしましょうか...」


私と笠武先輩は黙って思考を巡らせる。


(う~ん、今日はこのまま帰ってしまった方がいいかな?それとも何か別の事をするって手もあるけど...)


そうして、しばらく時間が経って...先に口を開いたのは笠武先輩だった。


「私に名案があるのですがお聞きしますか?」


「何か思い付いたんですね。どうぞ...」


「仕方がないので今日は私達で悪事を致しませんか?悪事の内容自体は私が考えますので喜愛さんはその助っ人に入っていただけたらと思いまして...」


「なるほど...」


新入りとはいえ、笠武先輩も立派な悪役同盟の一員だ。何も神城先輩に限らず、笠武先輩の悪事の助っ人ができれば私の目的は果たされる...確かに私にとっても悪くはない提案かもね...


「ちなみにですが...笠武先輩はどのような悪事を思いつかれたのでしょうか?」


「至ってシンプルな悪事ですよ?その名も虚偽悪事内密(きょぎあくじないみつ)計画(けいかく)というものです。」


笠武先輩はまるで愉悦を感じさせる笑みを浮かべながら自らが考案した悪事を発表する。


「私や神城先輩とはネーミングセンスが大違いですね...お嬢様ならもっと派手なネーミングにするとばかり思っていましたが意外と普通です。」


「えぇ、確かに名称こそシンプルですが悪事の内容は少し酷なものになります。」


「酷...?とりあえず、具体的な内容の説明をよろしくお願いします。」


意味深なその単語を強調するという事は今までで一番えげつない悪事なのではないのか?そんな悪事の助っ人を私ができるんだ!と不思議に胸が高鳴ってしまう...


「実を言いますと私は神城君から今日行う予定だった悪事の内容を聞いているのですが...ここで神城君には【あなたの考えた悪事を二人でやっておきます。】と携帯で伝えておきましょう。そして、当の私達はその悪事をやる振りをして二人で適当に遊ぶなりして時間を潰す...それだけです。これこそが虚偽悪事内容計画の全容ですね。」


「うわっ...それって地味に神城先輩がかわいそう...」


違う意味でえげつない悪事だったよ...まさか、神城先輩も体調不良で寝込んでいる自分をターゲットにした悪事が行われるなんて予想できないだろうし...


「というわけで喜愛さん、あなたとは親睦を深めたいと思っていましたし...今から二人で遊びに行きましょう。」


「えっ、別に構いませんがどこに...」


「まずはですね...」



こうして、予期せぬ形で私と笠武先輩の親睦会が開かれる事になったのだった。













(ふぅ、何だかんだで楽しかったかもね...)


楽しい時間というものは進むのがあっという間に早いらしく、気づけばもう夜になっていた。


「こんなに遅くまで付き合わせてしまって申し訳ございません。」


「いえいえ!私の方は全然大丈夫ですよ!むしろ、笠武先輩の方こそ大丈夫だったんですか?お嬢様って結構忙しいんじゃ...」


「ご心配なく。元々、今日は習い事なども全てオフの日ですので...」


親睦会というよりかは笠武先輩の行きたい場所に私が付き従うみたいな感じだったがそれなりに楽しかったし、何よりも笠武先輩の意外な一面も知る事ができた。


まずは陽気で愉快なところ。カラオケボックスで歌っていた時の笠武先輩は普段の清楚さとは正反対と言える程に明るく楽しそうな表情をしていた。まぁ、悪役同盟に入りたいと言ってきた時点でそのような陽気さや愉快さは内に秘めてるのでは?とつくづく思ってはいたのだが。


次に他人の恋愛に興味ありというところ。本屋さんで気になる恋愛小説を買おうとしていた私を見てやや興奮気味に話しかけてきた時はちょっとだけ驚いた。どうやら、笠武先輩は親によって将来は政略結婚が決められているらしく、自由に恋愛ができる私が羨ましいようだった。


最後に...見栄っ張りなところ。夕食として回転寿司に行った際に笠武先輩は『自分は大人』だと言って自らの寿司に大量のわさびをかけたのだが一口食べるなり悶絶していた。そりゃ、あんなにわさびをかけたら辛いのは当たり前だし、別に見栄を張る程度の事じゃないのに...笠武先輩にもお嬢様特有のプライド?みたいなのはあったのだろうか?


まぁ、最後に寿司代を全額奢ってくれる優しさも見せてくれたので良しとしておこうかな?何か私の中で笠武先輩の見方が少し変わったような気もするし...


「本当に今日は楽しかったです。ありがとうござい...」


「ちょっと待っていただけないでしょうか?」


「はい、どうしましたか?」


自宅近くに差し掛かり、私が笠武先輩に別れの挨拶を告げて帰路に着こうとしたところ、何故だか笠武先輩に呼び止められてしまった。


「今回の親睦会で私と喜愛さんはお互いの色々な部分を知る事ができました。ですので私としましては喜愛さんとさらに距離を縮めたいのです。」


「そうですね...それは私としましても大歓迎です。」


「もし良ければですが、私の事は名前で...『藍夏』と呼んでいただけないでしょうか?」


「えぇっ!?」


思わず大きな声が出てしまった。だって、ライナちゃんの時みたいに私の方から名前で呼んでほしいと頼んだ事こそはあったが、他人から名前で呼んでほしいなんて...そんな事を言われたのは多分人生で初めてだったからね...


前にも言ったように私は昔から周囲から浮いていた。そんな私が悪役同盟を結成して半年も経たない内に交友関係を広げている。こんな事予想できているはずがなかった。


「わっ...分かりました。では、私の事も『輝星』と呼んでもらっても構いませんよ?」


「ありがとうございます...輝星さん。」


「その...良いと言っておきながら注文なんですけど、『ちゃん』付けで呼んでいただけないでしょうか?」


これは私のちょっとしたワガママだ。もしも、私にお姉ちゃんがいたら『ちゃん』付けで呼んでくれてとことん甘やかしてくれる...そんなお姉ちゃんがいいと昔から思っていた。


決して笠武先輩をお姉ちゃんのように思ったわけではないが不思議とそう呼んでほしいという気持ちになったのだ。


「分かりました...では、これからもよろしくお願いしますね?輝星ちゃん。」


「こちらこそよろしくお願いします!藍夏先輩!」



神城先輩が体調不良でドタキャンすると聞いた時はどうなるかと心配したけど...そのおかけで笠武...いや、藍夏先輩との絆を深める事もできたし、結果的には良かったかもね...




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